ラウンド・ロビン(Round Robin)


マニアにはたまらない(?)蒸気機関車

話はちょっとさかのぼって4月12日(金)
ノブコ:Pi-子、次の日曜日はヒマ?
Pi-子:ん・・・土曜日は出かけるけど、日曜日は予定なし。
ノブコ:日曜日に私の友達何人かとラウンド・ロビンに参加する予定なんだけど、Pi-子も行ってみない? ラウンド・ロビンって知ってる?
Pi-子:あ〜、聞いたことある、蒸気機関車に乗ってどこだかに行くツアーでしょ。
ノブコ:そうそう、ペイントンから蒸気機関車でダートマス(Dartmouth)へ行って、そこからフェリーでトトネス(Totnes)へ行って、 最後はバスでペイントンまで帰ってくる・・・ってやつ。
(「TOP」の地図を参照ください)
Pi-子:おもしろそうだから行ってみようかな〜。
ノブコ:アキコは?
アキコ:・・・私は今日で授業終わりで月曜日にはペイントンを発つからやめとく。荷物の整理とかしなくちゃ いけないこととかあるし。
ノブコ:そっか・・・じゃ、Pi-子、日曜日に9時半にペイントン駅で集合ね。
Pi-子:分かった。



4月14日(日)
9時半ジャストにペイントン駅に着くが・・・ノブコの姿はなし。
う〜む、確かにペイントン9時半集合だったよな・・・。

きょろきょろしていると見知った顔、発見。
Pi-子:おはよう、ユースケ。ユースケも今日はラウンド・ロビン?
ユースケは(名前からして)日本人で、私より1つ上のクラスで"Intermediate"クラス。
ふけ顔のため、私と同じとしぐらいか年上かと思っていたら、かなり年下でしかも大学生であった。

ユースケ:おはよう、Pi-子姉さん。そうそう、俺も一緒。
Pi-子:そちらは?

ユースケと一緒にいた東洋系の男性2人の方を見る。

ケヴィン:僕はケヴィン。台湾から来てるんだ。
???:僕は・・・ナニ人だと思う?

ええ〜っ、ケヴィンはなんとなく台湾かな〜と思ったけど、こっちの人はナニ人だろ?
背が高くて、メガネかけてて、ロン毛で・・・服装はケヴィンよりも日本人っぽい気がする・・・こうゆうこと訊いてくるってことは・・・
Pi-子:日本人?・・・だったりして・・・
???:うそっ、僕、日本人に見える?


正解は韓国人でした。名前はナンキウ。
前方から一人の東洋系の女性がやってきた。
ナンキウ:彼女はナニ人だと思う?
Pi-子:・・・韓国かな?

これは当たりでした。ロングヘアで典型的な韓国美人といった感じ。
名前はメイシー、彼女も今日一緒に行くメンバーの一人でユースケのクラスメイトでした。

Pi-子:ノブコ遅いね〜。
メイシー:彼女はいつも遅れるから。

そ・・・そうなんだ。

しばら〜くしてから、やっとノブコ登場。
全員:遅いよっ!
ノブコ:ごめん、ごめん。

やっと出発だ。

ペイントン駅のほぼ隣にペイントン蒸気機関車駅(観光用の蒸気機関車駅の方が大きくて立派だ)で"Round Robin"の切符を購入。
ここではペイントン→ダートマス→トトネス のツアーだけでなく機関車だけとか機関車+フェリーだけ、といろいろ扱ってますが、 とりあえずフルコースでいきましょう。値段は12ポンド(約2400円)也。
ケヴィン:学割きかないし、けっこう高いね。
観光価格なんでしようがない。

出発時間ぎりぎりだったため、みんなで座れるような空席が見つからず、Pi-子&ユースケ、ノブコ&メイシー、ケヴィン&ナンキウの3組 別々に座ることになってしまった。

座席はボックスシート。
発車して間もなく、Pi-子とユースケの座席の向かいのおじさん(イギリス人)がビデオカメラを取り出した。
Pi-子:見て、見て、前のあのビデオカメラ、でかいねぇ。日本のだったら今どきパスポート サイズより小さいよ。
ユースケ:いきなり日本で・・・
(今までは英語で会話してました)確かに 業務用みたいなカメラだね。でも、イギリスでは最新型だったりして。
Pi-子:言えてるっ、私の電磁調理器だって日本のに比べると重くてゴツい・・・

いけねっ、おじさんと目が合ってしまった。
Pi-子:*1Good Cine-Camera!
おじさん「そうだろ」という感じでにっこりと微笑んでくれた。
言葉が通じないって、たまには便利なものですね。

機関車は海沿いを走っているので海と丘陵の景色がとてもきれい。
今日は日曜日なので丘陵を散歩している人も多く、機関車に向かって手を振ってくれたりします。

・・・あれ?手を振っている人の中に(ホテルの部屋が)お隣のカタリナとクラスメートのズザナを発見。
向こうはこっちに気づいてないと思うけど・・・。

途中でチャーストン(Churston)駅というところに停車しますが、この近くにアガサ・クリスティの住んだ「グリーンウェイ」という家が あり、クリスティもしばしばここから汽車に乗り旅に出たとか・・・。
グリーンウェイには今でもクリスティの娘さんロザリンドさんがお住まいだそうです。

ペイントンを出発してから、約30分で終点のキングスウェアへ到着。
Pi-子:キングスウェア?ダートマスじゃなかったの?
ケヴィン:ここからフェリーで向こう岸のダートマスまで渡るみたいだよ。


ケヴィンの言った通り、人の流れに身をまかせて歩いていくとフェリーが待っていて、それに乗ってダートマスへ渡った。

ダートマスからトトネス行きのフェリーは・・・と。3時間後か、かなり時間があるな。
メイシー:私、お腹減った〜。
ケヴィン:じゃ、お昼にしようか。


いただきま〜す

お昼を終えて、街を散策。
川沿いを南に向かって歩いていくと、左側は大きなマリーナが広がっており、右側は急な丘になっている。
そして丘にへばりつくようにお店や家が建っている。
ここで住むには坂道ばかりでたいへんそうだな・・・。

しばらく歩いていくと、何やら由緒正しそうな砦にぶちあたった。
そういえば、ポーツマス、プリマスなど地名の後ろに「マ(ウ)ス(-mouth)」がつくのは昔からの港があった街だって、何かで読んだ ことがあったような、なかったような・・・。
しかし、砦があったということはあながち外れてはいないだろう。

砦から今度は丘の上にあがり、お店のショウウィンドーなぞ見ながらぷらぷら歩く。
ここはイギリスで日本みたいに日曜日はお店がやっていないので「あ、あれ、いいな」と思ってもお店がやってないのだ。
衝動買いをしなくてよいので、よいっちゃよいのだが・・・

メイシーが貴金属店の前で足を止めた。
ショウウィンドーをのぞきこむと、かわいい指輪、ネックレスなんかが飾られている。
やっぱり女ってこうゆうの好きよね・・・なんて、思っていると・・・
メイシー:モッコリ。

い・・・今なんて言った?美人がそんなこと言っちゃいけません。
それにしてもメイシー、そんな日本語どこで覚えたのだろうか・・・

メイシー:モッコリ。
ああ、また、そんなことを・・・
今度はメイシーちょっとけげんそうな顔をして、首になにかをかけるようなジェスチャーをしている。
もしかして・・・

ユースケ:ハングルでネックレスのことをそうゆうんだよ。俺も前に韓国の友人から繁華街のど真ん中でいわれて びっくりしたことあったよ。
そ・・・そうなんだ、そんなような気はしたんだけど。

ナンキウ:ナニ?(日本語だった)
ユースケ:え?・・・いやね、日本で「もっこり」っていうのは、こうゆう意味なんだよ。
ユースケ持っていた電子辞書でごていねいに日本語の意味を調べてナンキウに見せた。(説明文は英語)

ナンキウとケヴィンは大爆笑。
メイシーはちょっと恥ずかしそうに下を向いた。

ヨーロッパの言語が一つできると言葉が近いから2,3ヶ国語を話せるっていうけど、日本語と韓国語と中国語ってのはまったく別のもんだからな〜。 似ている「音」はあるっちゃあるけどね・・・。

小さな街なので、あっという間に一周してしまった。
ユースケ:フェリーの時間まであと1時間半もあるけど・・・どうしようか。
ケヴィン:う〜ん。

ケヴィン、少し考えてから、丘の上に建っている目立つ建物を指差して
ケヴィン:なんだか知らないけど、あそこ行ってみる?
全員:行ってみよ〜
(暇だから)

一同、建物を目指して、もくもくと丘を上る・・・そして、建物の前まで見た時にそこが何であるのか分かった。

「BRITANIA ROYAL NAVAL COLLEGE」
ユースケ:つまり、イギリス海軍の学校(*2ダートマス海軍兵学校)・・・ここは入れないだろ。
ノブコ:え〜、でも、この建物の中を見学したことがあるって人がいたよ。
Pi-子:その人は事前に予約していた・・・とか?
ノブコ:それは分からないけど。
ナンキウ:じゃ〜とりあえず、入っていいかどうか訊いてみようか?
ケヴィン:誰が?

一同、ナンキウを見つめる。

ナンキウ:分かった、行ってきましょう。
そうゆうとナンキウ、門の中へ入って行った。
もくもくと歩いていくその姿をうかがう一同。
拳銃を隠しているとか爆弾を持っているようなしぐさをしていれば、もっと楽しめるのに・・・(ヤバいって)

ナンキウ、守衛さん(?)と何かを話したかと思うとUターンして歩いて来た。
首を横に振っているので、やはりダメだったんだろう。
よし、哀愁のナンキウを一枚。(右写真)

ナンキウ:わ〜っ、Pi-子、写真はダメだって!逃げろ!!
Pi-子:え〜、まじですかい!?どうしよ〜!
ナンキウ:ウソ!

なかなか香ばしいキャラだぞ、ナンキウ。

後から知ったのですが、ここはアメリカのアナポリス海軍兵学校、江田島の旧海軍兵学校(戦前まで)とともに世界3大海軍兵学校 に入っていたのだそうです。(今の世界3大海軍兵学校は分かりません。ご存知の方は情報ください。m(_ _)m)
また、エリザベス女王とそのご主人エジンバラ公との出会いもここだったとか。

船着き場近くの公園でアイスなんぞパクついていると、やがてフェリー出航時間となった。
いやぁ、長かった。


船に乗ってちょっと行くと、先ほどのダートマス海軍兵学校が見えてきた。
(左写真をクリックすると拡大図が見れます)
予約しておけば見学できたのかいな?・・・まぁ、いいや。さようならダートマス。

フェリーに乗ってトトネスへ。

フェリーを降りて、ペイントンへ帰るバスの時刻を調べると1時間おきにバスは出ているようで、ダートマスの時みたいに待たなくてよいみたいだ。
では、街中散策へ行きますか。

船着場からはダート川に沿って歩き、トトネス橋を渡ると坂道の街が見えてきた。
ここがこの街で一番の繁華街なんだろうけど、ペイントンと比べても小さくておもちゃ箱のようでかわいい。
残念なのは日曜日の夕方なので、お店はすべてclosed になってしまっているのだ。

またしてもショーウィンドウを見ながら歩いていたが・・・
ノブコ:あ、もうこんな時間だわ。(ホストファミリーとの)夕食の時間だから、私は帰るわ。みんなは?
ケヴィン:トトネス城まで行ってみようと思ってるのだけど。

お城なんかあるんだ。

ノブコ以外は全員トトネス城まで行ってみるということで。ノブコ1人、あわただしく帰宅。

緩やかな坂道を上り、トトネス城まで行ってみると・・・あれ?なんかイメージと違うような・・・
Pi-子は中世のお城みたいのを想像していたのだけど、もっと前の時代のお城だったようだ。
それもそのはず、これも後から知ったのですが、トトネスは英国で2番めに古い自治町村だったそうで、「トトネス」という街の名前はサクソン語で「砦」という意味だそうです。

お城は中に入らなくても十分見える。(左写真)
ケヴィン:このお城だったら、わざわざ入場券払わなくたって、外から見れば十分だよ。
Pi-子:私もそう思う。ここから見るだけで十分だよ。
ナンキウ:学割効くんでしょ、行くだけ行ってみようかな。
メイシー:行ってらっしゃい。


ナンキウ、ダッシュでお城(っていうか砦?)の上まで上がり、降りてきた。
ケヴィン:何かあった?
ナンキウ:いや、特になし。

やっぱり。

じゃ、我々も帰るとしますか。

船着場まで戻るとほどなくペイントン行きのバスがやってきた。

いや〜、今日は歩き回ったから疲れたなぁ・・・。隣に座ったメイシーも眠そうだ。
ケヴィン:Pi-子、Pi-子、寝ちゃダメだよ。
ケヴィンが後ろからつつくけど、私よりメイシーの方が・・・あ・・・あれ?目が開かない。

帰りのバスでいつの間にか爆睡したPi-子でありました。

(Pi-子)





*1 Cine-Camera(英) Video-Camera(米)
*2 帝國海軍への鎭魂頌 ダートマス海軍兵學校
 ダートマス海軍兵学校についての説明が載ってます。他にもアナポリス海軍兵学校などの説明もありますので興味のある方はぜひ訪問してみてください。