私は妻子ある男性を愛してしまいました
(I'm in love with a man who has a wife and children.)
ランチタイム
4月17日(水)
朝、8時半。今日も(当然)授業です。
Pi-子:おはよう!
元気よく教室に入る。
Pi-子は朝がとても弱く、いつも不機嫌なのですが、イギリスに来てから調子いいのよね〜。
(後から考えれば、この時まだ時差ぼけしていたのではないか・・・と思う。)
ヴァルデマー:
・・・おはよう・・・
うむ。すでに来ていたドイツ人の女房1人+子供3人を持つ、おじさんのクラスメートがちょいと元気なさげ。
見たところ疲れてるっぽいけど、どうしたんだろ?
Pi-子:・・・どうしたの?疲れてるみたいだよ。
ヴァルデマー:いや、ちょっと、昨日飲み過ぎてね。
アン:Good-morning!
先生、アンの登場。
アン:ヴァルデマーどうしたの?疲れているみたいね。
ヴァルデマー:昨日、友人と飲みに行きまして・・・そうそう、それで思ったのですが、 なぜかビールを飲んだ時の方が(シラフの時よりも)英語が流暢に話せるようになるんですよね。不思議なことに。
アン:あら、じゃあ、私は毎日ビールを1ダース抱えて授業に来た方がいいのね?(笑)
ヴァルデマー:それは名案だ。(笑)
アン:さて、今からプリントを配ります。
そのプリントには上段に5人の相談事、下段にその回答と思われる文章が書いてあった。
アン:文章を読んで、上段の相談に対して下段のどれが回答にあたるのか、隣の人と 考えながら書いてみて。
Pi-子は隣のヴァルデマーと文章を読みながら・・・
Pi-子:まず、1番のいじめの相談の答えは、5番の
ヴァルデマー:そうだね。2番の相談の答えは・・・
文章はそれほど難しくなく、早々に問題を終わらせる。
Pi-子:1番のいじめ問題ね・・・日本ではいじめって深刻な問題で、中には自殺する 子供もいるぐらいだよ。
ヴァルデマー:そうなんだ。ドイツで一番深刻な若者の問題は麻薬だね。日本では 麻薬の問題はないの?
Pi-子:いや・・・東京では外国人が麻薬を売っていて、それを気軽に買っちゃう 子供が増えてる、って新聞で読んだことがあるな。
ヴァルデマー:東京だけ?
Pi-子:いや〜、東京だけではないと思うけど・・・
アン:はい、そこまでで答え合わせしましょう。
答え合わせが終わり、次は隣の人とペアになって、自分たちで相談事を書き、違うペアに回答を書いてもらう、 ということをやることになった。
Pi-子:何を書こう?ヴァルデマー、何かある?
ヴァルデマー:う〜ん、・・・じゃあ、こう書こう。Pi-子、書いてもらえる?
Pi-子:いいよ。
ヴァルデマー:私は英語ができずに悩んでいますが、ビールを飲むと流暢に話せるように なります。そのことを先生に話すと「毎日、ビールを持ってくる」と言われましたが、それでは私はアル中に なってしまいます。アル中にならずに英語をうまくしゃべるにはどうしたらよいでしょう?
Pi-子:あっはっは。それいいよ。すごい深刻な問題だね。
かきかき・・・
全員、悩み事を書き終え、アンが回収した。・・・で、爆笑した・・・何だ?
悩み事を書いた紙をミックスし、回答を書くべく、悩み事を書いたのと違うペアにそれぞれを配る。
誰かの書いた悩み事に回答を書けばいいわけだね。・・・どれ、どれ?
私はイギリスに留学に来ていますが、ドイツ語を話す人が多く、英語の勉強になりません。 どうしたらよいでしょうか?
この中でドイツ語をしゃべるのはレティッツィアとクラウディア・・・クラウディアかな?
Pi-子:ん〜、これはね・・・「私はドイツ語を話せません!」と書いた紙を持ち歩く・・・ ってのはどう?
ヴァルデマー:そうだね・・・でも、紙を持ち歩くんじゃなくて、「私はドイツ語を話せません!」 と書いたTシャツを着る・・・ってのはどうだろう。
Pi-子:いいね、そうしよう。
かきかき・・・
回答を書き終え、違う悩み事にチェンジ!さ、次はどんな・・・
私は奥さんと3人の子供のいる男性を愛してしまいました・・・
え?・・・
マジですかい!?
彼とは同じクラスのクラスメートです。
奥さんと3人の子供・・・
クラスメート!?
英語を勉強していますが、勉強など手につきません・・・どうしたらよいでしょうか?
この中で当てはまる人は一人しかいないよな〜・・・隣のヴァルデマーの様子をうかがうと・・・
・・・・・・う・・・真剣な顔して読んでる・・・
まさか、本当に本当ってことは・・・
顔を上げると正面の席に座っていたアキコとレティッツィアが
大笑いしてた。
あいつらか〜。
ヴァルデマーも気付いて、ホッとしたように笑った。
さ〜、回答を書こう・・・その前にノブコ&ナオヤの書いた答えを参考までに読んでおこう。
あなたがいくら彼を愛していても彼には妻子がいるのです。
けっこう、まともなこと書くなぁ。
それより、私はナオヤをお薦めします。彼なら独身ですし、なかなかのナイスガイだと思いませんか?
…何考えてるんだ、あの人。真面目そうだと思ったけど、けっこう
変な人
なのかも・・・
Pi-子:ヴァルデマー、何て書く?
ヴァルデマー:Pi-子、また、書いてもらえる?
Pi-子:いいよ。
ヴァルデマー:彼には妻子がいます・・・でも、そんなこと問題ではありません。
愛がすべて
です。
こ・・・この
オヤジ
め!
でも、かきかき・・・
全員の回答が書き終わった。
アン:みんな、いろいろな悩み事と回答をありがとう・・・特にこの「妻子ある男性を 愛してしまった」という悩み。(笑) この中で既婚男性のヴァルデマーは「愛があればいい」って答えて いるけど、この中で既婚女性のズザナは自分の夫がこう言ったらどうする?
ズザナ:私だったら・・・
(首をしめるジェスチャーをする)
ヴァルデマー:怖い、怖い。(笑)
本日の授業は爆笑!でした。
時刻は夕方になりました。
Pi-子は先週買ってきた電磁調理器でお料理中。
スパゲティがあるから、今日はうんとにんにくのきいたペペロンチーノ(もどき)なんか作っちゃうぞ!
じゃっ、じゃっ、じゅ〜
(にんにくを炒める音)
トン、トン
(ドアをノックする音)
ぎくぅ!
ホテルの従業員だろうか・・・ヤバいなぁ・・・
Pi-子:は・・・はい。どちら様?
アキコ:私、アキコ!
アキコか・・・よかった。
Pi-子がドアを開けるとアキコとナオヤが立っていた。
Pi-子:早く、中に入って。匂いが外に出るから。
ナオヤ:廊下だってずいぶん匂うよ。何?料理してるの?
Pi-子:実はね・・・(^_^;) ところで、どうしたの2人で。
アキコ:さっきはびっくりしちゃった。道を歩いていたら、いきなり車の中から 「アキコ」って名前呼ばれて、見たらナオヤが乗ってるじゃない。
ナオヤ:今日は親しくなったドイツ人たちにドライブに連れていってもらったんだよ。 しっかし、怖かったよ〜。イギリスは日本と同じで車は左を走るけど、ドイツでは右じゃん。曲がる時に 右側に入りそうになってるんだよ〜。
ドイツでレンタカー借りたからよく分かるな〜・・・
ナオヤ:それで、アキコからPi-子は折り紙を持ってるって聞いて・・・お願いがあるんだけど・・・。
Pi-子:何でしょ?
ナオヤ:鶴を折ってくれない?
Pi-子:別にいいですよ。
アキコ:ドライブのお礼に渡すの?
ナオヤ:違うよ!その中にローゼマリーちゃんって
かわいい娘
がいたんだよ。
・・・・・・・・・をいっ・・・・・・・・・
ナオヤ:じゃ、よろしく。ところで話は変わるけど、Pi-子は2ヶ月もいる予定 なんだってね?仕事はどうしたの?
Pi-子:え・・・辞めてきたんスよ。
(正確には辞めさせられたんだが)
ナオヤさんは休暇ですか?
ナオヤ:そうだよ。今、辞めちゃうと
次の仕事があるか分からないじゃん。
アキコ:私も今、無職なんだよね・・・
・・・・・・・・・(ヘヴィな空気)・・・・・・・・
アキコ:・・・ナオヤはどうしてお休み使って留学しようと思ったわけ?
ナオヤ:そりゃ、
国際結婚が目的に決まってんだろ!
・・・・・・・・・(石になるPi-子とアキコ)・・・・・・・・
ナオヤ:冗談だよ、
冗談!
本当に冗談なのか!?
(Pi-子)