ダートムーア国立公園(Dartmoor National Park)
ムーア(荒野)です
4月13日(土)
今日は土曜日だから授業はおやすみだ〜!\(^○^)/
でも寝坊はしてらんない。なぜなら、アキコと学校が主催する日帰りツアー、ダートムーア国立公園に
参加することにしたから。
朝8時に学校に集合。日本と違って遅れても"自己責任"ってことでおいていかれそうだから、早めに7時半にホテルを出発した。
余裕で学校に着くと運転手さんが来ていて、参加者名簿にPi-子とアキコの名前を確認。
さっそくミニバスへ乗り込み、出発を待つ。
初日で遅刻はもうこりごりだよ、早く来て正解だい。
8時になったが、バスはまだ出発せず・・・どうやら、来ていない参加者がいるらしい。
この時、運転手さんの携帯がなり、少し話をすると突然、出発になった。
未着の参加者から欠席の連絡でもあったのかな?
・・・などと思いながらバスに乗っているとバスは私たちの滞在しているホテルへ向かった!?
アキコ:あれ?集合は学校だったよね?ホテルには行かないって聞いたけど。
Pi-子:ホテルによってから行くんだったっけ?・・・早起きして損した。
ホテルの前で笑いながら手をふっている男性がいた・・・集合場所を間違えたんだろうか?
男性:Good-morning! How are you?
彼がみんなに挨拶をしながら乗り込んできた。彼・・・そう、初日でPi-子と一緒に遅刻したトーマスが!。
アキコ:・・・日本だったら「すみません」とかって謝りそうだけど、ドイツ人って
そうなのかな?それともキャラクターなのかな?
Pi-子:ドイツ人って、時間に正確ってイメージなんだけどね・・・キャラクターかも。
バスは少し遅れてペイントンからダートムーアへ向かった。
ダートムーアという所は、何百年も前の火山活動でできたと言われる岩山が連なる丘陵地帯で、その一部が国立公園として国に管理されている。
「あまり木の生えていない山々は殺風景で、まさにムーア(荒野)そのもの。」
と本には書いてあったけど・・・うん、まぁ、はずれてはいないな。
日本で山というと森林が生い茂っていて・・・というイメージだけど、ダートムーアは地盤が岩だからか
あまり背の高い木はたっていなくて、ヒースや芝生など、背の低い草花がが地面にはりつくように生えている。
「素朴で小さな村が点在してる」とも書いてあるけど、お会いするのは牛と羊、たまに馬・・・という感じ。
しかし、有名な教会、古城、先史人の住居跡、幽霊スポット・・・などがあるようで、人間的な(?)所でも
あるのだろうなぁ。数々の文学作品が生まれたところでもあるし・・・この話は後ほど。
運転手:さぁ、到着したよ。
さっそくだだっ広いムーアでバスを降ろされる。
4月だけど、まだまだ寒いイギリス・・・ここはペイントンよりさらに寒いっ!
運転手:寒い?丘を登れば暖かくなるよ。
非常に的を射たお答え・・・よって、Pi-子、丘をスタスタ登る。
丘の上の方までくると、小さなストーンサークルが!?
遺跡かな?UFOの仕業なのか!?
運転手:ここは青銅器時代の集落の跡で、20〜30軒ぐらいの住居や家畜小屋
の跡が残っているよ。
やっぱり、遺跡か・・・だと、思いました。
ずっとバスに乗っていたので、少し体を動かしてから、次へ出発。
なんだかすごく古そうな石橋の横でバスは止まった。
運転手:あ〜、ここにある石の橋は800年前に鉱山夫と羊毛の貿易商たちによって作られたもので、
いつでも商品を運べるようにしたものだよ。特に雨が降った時でもね。
Pi-子:はぁ、800年前か・・・石文化の建築物ってのは強いね。でも、そんな古い橋の上を車なんかで通っちゃって大丈夫なのかね。
アキコ:え?この橋(現在、自分たちが立っている)じゃなくて、あっちの橋でしょ。
アキコの指差した方を見ると・・・あ、あれ?(左写真/中央にいるのはPi-子)
800年前・・・納得。今は水かさの少ない川だけど、雨降って視界の悪い時に荷物持って渡るの怖いなぁ・・・。(^_^;)
この時は知らなかったのですが、ここ、実は「出る」スポットだそうです。
毛むくじゃらの手だけお化けというのが出るということですが・・・本当かどうか、機会があったら確かめてみてください。
バスは次に有名だというプリンスタウンの刑務所の前を通り過ぎた。
刑務所の前、といっても距離はかなり離れてるけどね。前述の通り、荒野なので、かなり見晴らしが
よいのです。距離感がつかめんわ!
ここいらで時間は1時を過ぎていて「お腹へったなぁ」と思っていると、昼食をとるのでボヴィー・トレーシー(Bovey Tracy)
という町へ向かっている、とのこと。q(^○^)p
ボヴィー・トレーシー・・・どっかで聞いたような名前・・・確か「林檎の樹(The Apple Tree)」という話に出てきたかな。
ストーリーはありがちな話で、都会のお金持ち坊ちゃんがダートムーアに来た時に地元のきれいな娘さんと恋に落ちる。
そして、結婚の約束をして街へ帰るが、街で友人に出会うとついうっかりダートムーアに帰りそびれてしまう。
田舎娘さんがしびれをきらして、街へたずねてくるのだが、坊ちゃんは彼女を見つけながら、声を掛けることはしなかった。
なぜなら彼らの身分が違いすぎていたから・・・。
数年後、同じ貴族の娘さんと結婚した彼はダートムーア再びやってくる。そこで数年前、恋に落ちた田舎娘のお墓を発見する。
彼女はあの後、自殺したのでした。
このお話は「サマーストーリー」というタイトルで映画化されていて、ロケも実際にダートムーアで行われました。
坊ちゃんが都会(実はトーキーだった)へ帰る時、ボヴィー・トレーシーから列車に乗ったんだ。
(現在、その列車はありません。)
坊ちゃんの優柔不断さにはムカついたが、実際イギリスの階級社会ってすごかったんだろうなぁ。
(今もすごいのかもしれないけど。)
ボヴィー・トレーシーではパブで食事をとる。
Pi-子:ふぅ、お腹いっぱい。
運転手:お腹いっぱい?ちょうどいい、次は歩くよ。
これでバスに乗ってるとブロイラーになっちゃうからちょうどいいや。
バスはハウンド・トー(Hound Tor)へ到着した。
ぞろぞろぞろ・・・運転手さんを先頭に丘を歩いて行く。
ここも、やはり岩山。でも、この岩の形がいびつで面白い。地面に草木がぜんぜんなかったら、アメリカの
グランドキャニオンみたいなんじゃないかな。
最初に行った丘は、先史人が作った人工物だったけど、こっちのは自然のものだ。
丘の上まで来るとすごいいい眺め。
運転手:さ〜、みんな、あっちの丘までウォーキングだよ。自分は向こうへ行って
待っているからね。
丘っつーか、山っつーか・・・けっこうたいへんそうなんですけど・・・食事した後だし、がんばりますか。
こうしてカロリー消費のために歩き出したのでした。
ハウンド・トー(Hound Tor)について、少し補足しておきましょう。
1901年、作家のコナン・ドイル氏がダートムーアを訪れ、ハウンド・トーを舞台にした「ヴァスカビル家の犬
(The Hound of the Baskervilles)」を書き上げたそうです。
小学生の時に近所の図書館でシャーロック・ホームズシリーズよく借りてよんだけど、殆ど覚えてないな〜。
でも、Pi-子は犬が嫌いだったのでヴァスカビル家の犬の表紙はよく覚えてるんだな。
怖そうな犬がでっかく描いてあって、後ろにお姉ちゃんとホームズとワトソンがいたような気がした。
時間があったら、そのうち読んでみよう。
ちなみにトー(Tor)ケルト語で「塔」という意味だそうです。日本語と似てませんか?
1時間と数分後、Pi-子はお隣の丘(山?)へ到着!
歩道(Foot Path)がちゃんとあるとはいえ、けっこうハードでした。
運転手:タイムはそう悪くないよ。
Pi-子:そう?やったー\(^○^)/
運転手:あ・・・あそこ、迷子になってる
本当だ。5,6人の群れが"歩道"からはずれているような・・・確かに"歩道"とそうじゃない所の区別
ってつきにくいけどさ。・・・アキコもトーマスもあの中にいるような気がする・・・まぁ、がんばってくれ。
ところで私が到着したこちら側のトー(Tor)はヘイ・トー(Hey Tor)という所でして、アガサ・クリスティが
ダートムーアに来た時にはこのあたりを散歩したそうです。
また「スタイルズ荘の怪事件」「白昼の悪魔」など・・・いくつかの作品をダートムーア滞在中に執筆しています。
迷子になっていた団体がやっとゴールに着いたみたいだ。
Pi-子:お疲れさん
トーマス:うん、まぁまぁ疲れたね。
と言って、持っていたペットボトルの水を飲むトーマス。
トーマス:あ・・・飲む?
Pi-子:私のまだあるからいいよ。
トーマスは親切なんだが・・・もうちょっと違うところに気を使えよ・・・。
ヘイ・トーの丘を下りるとすぐに駐車場があった。
それほど疲れていないと思っていても、座るといっきに来るなぁ。
アキコ:明日は筋肉痛になりそう。
このまま帰ったら、バスの中で爆睡間違いなしだな〜、と思っていたら、バスは教会のある小さな村で止まった。
高いトーに囲まれた中にひっそりところにある村で・・・お土産屋さんとお茶屋さん発見!
でもお茶している時間はないだろうな。
ここはウィディコム・イン・ザ・ムーア(Widecombe-in-the-Moor)というところで、マザーグースの詩の中にも
登場する有名な村だそうだ。
高い塔を持つこの村の教会は Church of St.Pancras という名前だけれど、正式にはダートムーアの中で
唯一の"Cathedral(大聖堂)"ということです。
そして、アガサ・クリスティのシリーズもの、おばさん探偵ミス・マープルが住む村がここ。
「セント・メアリ・ミード」のロケ地として使われたのがこの村でした。
塔には上れたかもしれないけれど、上る気なし。
お土産屋さんをぷらぷら見てからバスへ戻ったのでした。
帰りのバスの中ではお決まりの爆睡したのでありました。
(Pi-子)