板門店(Panmunjom)
軍事境界線に立つ直立不動の兵士
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実はソウルから板門店を経由して平壌まで道は続いている。
ソウルから板門店までの道を「自由路」と呼び、板門店から平壌までの道は「統一路」と呼ばれているそうな。
「自由路」は道途中から3車線ある幅広い道路が続く。
中央分離帯がいやに広かったが、これはやがて統一された際、交流が活発になることを見越して道路を拡張するために残されているらしい。
中央分離帯といえば・・・
ホンさん:皆さん、ソウルは東京と違って、中央分離帯に段差がないことに気がつきましたか?
Pi-子:ああ、そういえば、日本の中央分離帯は植木が植わってたり、街灯があったりするけど、ソウルの道路って そうゆうものがないな〜って違和感を感じてたんだ。
ホンさん:それは非常時に道路を滑走路として使う為なんです。
路上駐車する為に道路が広いわけじゃないんだ!?
板門店へ着く迄に2回ほど停まって、パスポートのチェックを受ける。
うち1回は韓国軍の兵士(だと思う)が一人一人のパスポートと乗客名簿を照らし合わせていた。
ホンさん:絶対に写真を撮らないでください。撮ったら帰れなくなるかもしれませんよ。
怖ぁ〜 o(>o<)o
無事、全員チェックを終え、やっと板門店へ。
ホンさん:まずは「キャンプ・ボニファス」(国連の施設)に入り、簡単なビデオを見た後、同意書にサインをしてもらいます。 何度もいいますが許可のない所でむやみに外を撮影してはいけません。
心なしかホンさんの表情も固くなってきた、そんな時に
ぴろりろり〜ん、ぴろりろり〜ん・・・
携帯の鳴る音、しかもPi-子さんの携帯なんじゃない!?
まる子:Pi-ちゃんの携帯鳴ってない?
(^_^;
Pi-子:えっ、マジ?あっ、私だ・・・
あ〜、もしもし・・・じゃない、Hello・・・
(以下ぼそぼそ)
心なしか人々の視線が冷たい。
バスを降りると国連旗の上方に"JSA(Joint Security Area)"と書かれているマークのついた建物の中に入り、荷物チェック、パスポートを掲示し、板門店についての簡単な説明を聞く。
その後、「訪問者(見学者)宣言書」なる書類にサインさせられた。要約すると
「北朝鮮軍が管理する警備区域へ立ち入ることの禁止。板門店の見学中、敵の活動によっては危害を受ける又は死亡する可能性があるが、国連軍、韓国政府は責任を負わない 」
っていうこと・・・不測の事態が起きても文句は言えないらしい。
「危害を受ける又は死亡する可能性」なんて文字を見るとなんか、ピリピリと緊張感が。改めてただの観光場所ではないと再認識。
それから一同服装チェックを受ける。
ホンさん:すみません、あなた、替えのズボンかスカートを持っていますか?
ねじき:え、いや、持ってきていないです。
ホンさん:そうですか・・・ちょっと、待ってください。
ねじきさん、ブルージーンズじゃないから大丈夫だと思ったんだけど、やはりジーンズはジーンズだったようです。
しばらくしてホンさんが戻ってきた。
ホンさん:ジーンズはダメなので、これに着替えてください。
ねじき:はい、分かりました。
柄的に「もんぺ」みたいだったけど、広げてみたらスカートでした。
Pi-子:もんぺの方が絵的に面白かったんだけどね。
ねじき:ロングスカートだから、上から履いてジーンズの裾をめくっておけばいいや。
チェック柄の巻きスカートをズボンの上から履くことに。
もんぺかと思ったら巻きスカートでした
ここでも集合写真!?
緊張感が漂いながらも、ボニファス内、朝鮮戦争の時に国連軍に参加した各国の旗の前で記念撮影。
しっかりと写真は撮るんだぁ、と思う。
板門店は今までは韓国軍とUN軍(といっても殆ど米軍)の共同警備だったのが、つい最近から韓国軍のみの警備となったらしい。
「UNCMAC GUEST」と書かれたグリーンのゲストカードを受け取る。ここからは見える所にこのカードを携帯しなければならない。
ゲストカードを胸に付け、再びバスに乗り込むと・・・おや、運転手さんがここでチェンジ。 ここからは板門店を警備する兵士がバスを運転するようです。
それともう一人韓国軍(ここでは「国連軍」なのかもしれない)兵士がエスコート役としてバスに乗り込む。
ホンさん:これから"DMZ"と呼ばれている非武装地帯へ入っていきます。DMZ内は速度制限があるので運転手さんは 交代しました。速度制限があるのはバスだけではなく、人間も走ってはいけないので注意してください。
以前、まだロシアがソ連だった頃にモスクワから板門店を見学に来た学生が写真を撮るフリをして、ダッシュで韓国側の建物に入り亡命した、という事件が あったそうで、それ以来、板門店内で走るのは禁止されているそうです。
DMZ(非武装地帯)とは、軍事境界線、南北の国境の両側2kmずつの幅で設けられた緩衝地帯で、この中には一切兵器を持ち込めないことになっている。
しかし板門店だけは例外で、板門店のJSA(共同警備区域)に入る場合は、兵士は必ずピストルで武装することになっているらしい。
我々のバスに乗り込んだエスコート役の兵士も非武装地帯に入る直前、一度バスを降りて、実弾をピストルに込めていた。
ホンさん:彼は万一の事態が起きた時に私たちを守ってくれるます。
監視役兼ボディガードってとこですか。
ついに雨まで降り始めた。なんか場所が場所だけに暗い雰囲気が漂っている。
非武装地帯入口は有刺鉄線で区切られ、どうやらその前後は地雷が埋められているらしい。(映画「JSA」でイ・ビョンホンが地雷を踏みますよね)
韓国側の区域内には、「自由の村」と呼ばれる村があり200人前後の住民が住んでいる。
昔からこの地域で住んでいた人達が停戦後、戻って住んでいるらしい。
ここの住民は納税と徴兵の義務がなかったりと多少の恩恵はあるらしいが、門限があり、11時には点呼をとって家の内に居なければいけない という制限あり、さらには万一の事態が起こったら真っ先に・・・
恩恵があっても住みたくなーい!
ついに板門店到着。
雨が降ってきた為なのかルート変更があったようで、直接、自由の家というビル内に入る。
建物内に板門店全景が見渡せる展望台があり、そこへ移動するのに、本来は板門店内は走るのが禁止されている・・・のですが、雨なので展望台まで小走りに。
展望台に上がるとすぐ目の前にはTVでよく見る青色の建物が!
まる子:わぁ、ここがよくTVに映ってる場所だね!
Pi-子:Pi-子:とうとう着いたって感じだね。
ホンさん:ここでの撮影OKですが、北側の監視小屋の窓には監視カメラが設置されていて我々の動きが監視されています。 絶対北側に向かって指を指したり、突然大きな声を出してはいけません。
撮影はOKだから、写真撮るぞーっと。この為にズーム付きのカメラ持ってきたんだから。
さっそく、ズームすると、北側の板門閣が近づく。
どうやら、韓国側の観光中は北側兵士は姿を現さないらしい。(逆に北側の観光客が来た時は韓国側の兵士は姿を現さないらしい)
人っこ一人いない。でもちゃんと監視はされている。
ホンさん:皆さん、写真は取られましたか?では、移動します。
一旦、自由の家へ戻ってから、先ほど展望台から見たお馴染みの青色の建物、
軍事停戦委員会本会議場
へ。
やはり、走ってはいけないのだが、雨足が激しくなってきたのでつい小走りに。
ちなみに傘をさすのは禁じられているので、監視の兵士さんたちも濡れたまま、不動の姿勢をとり続けています。
軍事停戦委員会本会議場(手前の青色の建物)
と北朝鮮の板門閣(奥の灰色の建物)
軍事停戦委員会本会議場の中
軍事停戦委員会の会議場に入っていく。
中はそれほど広くはないが大きな長テーブルがあり、このテーブルのちょうど真ん中の部分が軍事境界線になっている。
ここでも、なぜか記念写真を撮ることになり、テーブルの片側に全員集められた。
ホンさん:今、皆さんがいる方が北側です。この建物の中だけは境界線を越えて数歩だけ北朝鮮側に足を踏み入れることができるのです。貴重な体験ですよ。
拉致されずに北朝鮮に入ることができた。(^_^;
軍服姿の兵士が北側のドアの前と、長テーブル前(分界線前)、韓国側のドア前に並ぶ。
Pi-子:「JSA(映画)」でビョンホンが韓国軍兵士役だったから、同じ格好してたんだよね〜
(*^o^*)
ホンさん:この中では自由に記念撮影をしてください。でも、兵士の人には触ったり、話しかけたりしないでください。
触ったり話しかけるのはダメだけど、写真を撮るのは良いとのことなので、一緒に記念写真!(笑)
わずか5分位の自由時間の後、自由の家に戻ることに。
あったという間の観光でだったけど、あのTVで見ている場所に行けたんだと思うと感慨もひとしお。
遠くて分かりにくいですが「帰らざる橋」
バスに乗り込み、いざ出発、行きとは別のルートを移動、「帰らざる橋」をバスの中から眺める(バスの中から写真撮影はできたが、下車は禁止)
「帰らざる橋」とは1953年に朝鮮戦争が停戦になった時、ここで捕虜交換が行われた場所。
彼らは橋を渡る前にどちらの国へ行くか決め、一旦橋をわたると二度と戻ることができなかったことからこの名前がつけられたのです。
また映画「JSA」の舞台になった所でもあります。
その後、バスはもう一度キャンプボニファスに戻り、再び旅行社の運転手さんにチェンジし、一路ソウルに向かう。
ホンさん:皆さん、お疲れさまでした。板門店はいかがでしたか?
ホンさんも観光客の皆さんもなんとなくホッした表情になっている。
ホンさん:何回か皆さんで記念写真を撮りましたが、それはこの板門店の説明が書かれた小冊子の中に貼って販売します。
ホンさんが見本の小冊子を回覧する。
ホンさん:値段は24,000ウォン
(約¥2,400)
です。強制ではありませんが、記念にどうぞ。
たびたび集合写真を撮っていたのはこうゆうことだったんだ・・・商魂たくましいなぁ・・・
まる子:買う?
Pi-子:ん〜、HPのネタの為に買っておこうかな。
(-_-;
ホンさん:皆さん、北朝鮮はすごく遠い国に感じていたかと思いますが、とても近いだということがお分かりいただけたと思います。 ソウルから板門店は、ほんの40kmしか離れていません。オドゥ山統一展望台では一番近い所で460mしか離れていない所を見たと思いますが、 過去に潮の流れに乗って北朝鮮のスパイが川から侵入してきた事件がありました。航空機をスパイによって爆破された事件もありました。 日本では拉致問題が大きくとりあげていますが、韓国人は日本人よりはるかに多くの人たちが「北」に拉致されています。でも韓国人は我慢しているのです。 それはどんなにひどいことをされても「北」の人たちは同じ文化を持ち、同じ言語を話している、いわば「兄弟」だからです。そして 「兄弟」と一緒になれること、国を一つに統一することを願っているのです。
外を見ると雨はいっそう激しく降り続いていた。
(まる子)
(板門店観光について補足)
思ったよりもお気楽に行ける板門店観光ですが、普通のお気楽旅行とはやはり違います。
まず、
個人では絶対に行けません
。必ず旅行社のツアーを利用しなければいけません。
一番、お気楽な方法は韓国旅行自体がパックツアー(含、ホテル&航空券のみのツアー)の場合、ほどんどの「オプショナルツアー」 の中に入っていると思いますので旅行申し込みと同時に「オプションで板門店ツアーも」申し込む。
面倒な手続きなし、旅行社によってはホテルまで迎えに来てくれたりするし。
でもね、
高いんですよ!
、調べた限りでは、自分で申し込んで行くより\2,000〜\5,000ぐらい高かったです。
次に自分で申し込んで行く場合ですが、旅行社によって集合場所・日時が違うので、都合のよい日によって旅行社を選べばよいと思います。
(お役立ちリンク:
ソウルナビ
ツアー>板門店ツアー)
いろいろ調べると支払いが円だったりウォンだったり、申し込み時に払ったり、当日旅行社で払ったりと様々ですので、情報集めてみてください。
前述の通り「オプショナルツアー」よりも安いけれど、
申し込みは1週間以上前必須
だったり、申し込んでからも
前日の18時までにリコンファームが必要
だったりと、やはり面倒な手間は発生します。 板門店は政治的・軍事的な諸事情で急なキャンセルがあるので、必ずリコンファームが必要なんだそうです。
日本人は上記の通り簡単な申し込みですみますが、
韓国国籍の方
は様々な身辺調査(本人と家族の思想など)があるそうで たいへんみたいです。板門店ツアーに携わるバス運転手・ガイドさんはそういった身辺調査をパスした方に限るんだとか。
本文にも書いてありますが、
ジーパン、Tシャツ、運動服、半ズボン、サンダル ミリネタリースタイル、ミニスカート、露出の多い服装、男性の長髪
は全部
禁止
です。 できれば襟のある服が望ましいらしいです。実際スーツを着た人もいました。
うっかり禁止された服装で行っちゃっても服・靴は貸してもらえるようです(ねじきみたいに)が、長髪の場合どうするんだろう・・・(途中で切るのか!?)
それから、
10歳以下の子供はダメ、飲酒もダメ
。うっかり・・・な行動が許されないのですね。
当日は
必ずパスポートを持参
う〜ん、こんなもんですかねぇ。
いろいろと制約はありますが、一見の価値はありますよ。
(Pi-子)