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月刊『 本棚の溜息』92号(1998年2月号)


【元旦の日経】

全ページ広告は集英社(メイプル創刊と女性誌)、小学館(世界美術大 全集、そちらが目立ちすぎて逆に社名がなかなか見つからなかった)、角川書店(文庫 50周年、リング/らせん)、日本経済新聞社(美術豪華本、経済書)。
第3部では文 化教養書特選ガイドを掲載。五木寛之氏のインタビュー記事と3段1/6大の広告の組 み合わせ。
パルコブックセンターとタイアップしてフェアを開催している。前ページで は見開き2ページで北村薫と宮部みゆきの新春対談。こちらは記事。

【読み始め】

クライブ・カッスラーの「沈んだ船を探り出せ」(新潮文庫)が1998 年の一冊目。
この本を買うときに、私の前にいた人がレジで同書を二冊差し出した。間 違いだったのだが、その気持ちは良く分かる。
今回は初のノンフィクション。米国では既に出ている14作目が早く読みたい!

「装丁物語」は和田誠著(白水社)。
語りおろし。バーコードの項では、図書設計家協会のパネルディスカッションの話がでている。

そういえば、読者代表のパネラーに誘われたが、仕事のスケジュールで参加できなかた 事をふと思い出した。途中から一聴衆として参加したが、バーコード推進派の新潮社の 鈴木氏と、反対派と、かなり白熱した議論が行われていた、が当然議論は噛み合ってい なかった。
当然本書にバーコードは入っていない。

「手作り製本術」は日曜日の遊び方 シリーズの一冊(岩崎博著、雄鶏社)。
ちなみに「日曜日の遊び方」シリーズは、「豆 腐」「味噌」「薫製」の作り方から「バードガーデン」「きのこ栽培」まで、マニアッ クなテーマを割合取り上げている。図が豊富で、本の形態を学ぶのにも良い。用語集付 き。

「本の置き場所」はタイトルに魅かれたが、内容は日本近代文学館35周年記念の エッセイ集の第1巻目(小学館)。
テーマは「作家が語る、全部本の話」。本の収納に 関する内容は殆どなく、執筆陣は豪華だが、不謹慎ながら、少々期待はずれであった。

【椅子自慢】

ついに「椅子」を買ってしまった!
アーロン・チェアというハーマンミラ ー社の製品で、Gマーク選定や、ニューヨーク近代美術館でもパーマネント・コレクシ ョン になっている、その筋ではちょっと有名な椅子である。
高性能オフィスチェア・ブーム の火付け役とされているが、そのような能書きなどなくても、一度座ってしまうと、き っと誰でも欲しくなってしまうのではないだろうか。
フォルムは未来的。前傾姿勢から リクライニング、クッションの固さ、腰の固さ、肘掛けの高さ、角度などを調整出来る 。パソコンを打つときは、肘掛けの角度を内側にすると、肩の負担が減るという。肩こ り予防になれば良いのだが。

本好き通信販売カタログ「LEVENGER」ではThe  world’s most comfortable task chairと紹介 されている。なかなかお薦めの一品である。わが家に似合わないということが唯一の欠 点かもしれない。アーロン・チェアの似合う書斎作りは、夢ではあるが、その夢は多分 実現することが出来ない、という少々悩ましい存在でもある。

【欲しい本が書店にない!】

「本とコンピュータ」3号の巻頭ルポのタイトルが「新刊 本はどんどん増えているのに欲しい本が書店にない!」BY永江朗氏。
本の流通に関する 特集は多いが、このルポは非常に一般の人にも分かりやすい。
本を作るのは偽札を刷る のと同じか? 売り上げと返品は同じである、などというフレーズが飛び出してきて、 どきっとする。
氏の解決策は、「五十坪書店の専門化と販売マージンの改善」「本の値 段を倍に」「本と書店のランキングの明示」「委託配本の中止」「何もせずにほってお いて書店が半分に淘汰されるのを待つ」など。

「本の雑誌」1月号では、「本を読む人 が半分しかいな いことを強調するのではなく、なお半分の人がいることを強調すべし」「マイナス要因 だけでなくプラスの要因を強調するのも大事」と述べている。

私としては、マイナリテ ィーを認めた上で、階層意識の稀有なわが国において、シリアス・リーダーを一つのク ラースにでっち上げ、その層に贅沢な空間を提供する場「サロン」としての本屋という のがありえないかなー、と常日頃思っている。
本の値段が倍になるのはちょっと辛いが 、そのような店があれば、客単価は必ずや上がるだろう。文庫や雑誌は駅前本屋で買え ばよい。書店のランキングではなく、役割の明確化なのだろう。
休日の午後、家族で都 心の「そんな」本屋に出かけて、妻子は新刊書の棚や児童書に寝転びながら本を選ぶ、 私は初老の店員に奥のいかにも座りよさそうなソファが置いてある別室に招かれ、じっ くり本を愛で選ぶ。
店員にお薦め本を聞いたり、世間話しを一言二言。こんな店を誰か 作ってくれないかなあ。赤字で直ぐに潰れても責任は持てないけれど。


★どむか主宰・「本棚の溜息」編集発行人/帰山健一
★平成2月2日発行
★ E-mail:BXJ05656@nifty.ne.jp
★勤務先/100-8066日本経済新聞社総合事業部Tel5255-2847、fax 5255-2860
★E-mail kaeru@tokyo.nikkei.co.jp【どむかPATIO】GFA02534パスワードchoryu1#

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