[HOME][BACK][NEXT]

月刊『 本棚の溜息』90号(1997年12月号)



【こんな本が】

『そこに文字が』は金田理恵著(筑摩書房)。
彼女の本は、いつも大き さ(判型)、装丁が心地よい。この本の装丁は望月通陽。扉の次にマンホールの写真が 載っていて、「そこにも文字が」なんて書いてある。このちょっとしたセンテンスがき っと活字好きには堪らないのだ。税別千五百円。

『書籍再販と流通寡占』は木下修著( アルメディア刊)。
法的なアプローチ、歴史的経緯、論点と見解という内容自体はよく ある紹介方法だが、まとまりよく書かれている。出版物再販年表がついていて、歴史的 流れを掴むのに便利。税別二千四百円。

『帰りたくない!』は茶木則雄氏の初エッセイ 集、本の雑誌社刊、税別千六百円。
氏はブックスサカイ深夜プラス1の店長だったとい うことで有名。今 年フリーエージェント宣言をしてライターに。
「本の雑誌」が届くと、一番始めに読ん でいる連載が一冊にまとまったのであるから、面白くない訳がない。家庭内恥さらし読 書エッセイ、という文学ジャンルに属するのだが、あの語り口調(文体)は癖になる。
なぜか感情移入しながら、はらはら読んでしまう。

八重洲ブックセンターを歩いていて 見つけたのは『AMERICAN BOOK JAM』という「アメリカの雑誌/洋書 を読む人の雑誌」の第3号(バックアップパブリッシング、地方小扱い)。
創刊号は見 逃していた。たまには大きな本屋に行かねばならぬ。紙面のレイアウトや字体は、分か りやすく例えると、ブッククラブ回のニューズレター、余計に分からないって?!
日本 で530円、アメリカで5ドル、同時発売。テイストはブックカフェ。アメリカのブッ クストアガイドが連載。3号ではFORBIDDEN BOOKS & VIDEOというダラスの「大型チェ ーンでは扱わない本に 日の目を」というポリシーの本屋を取り上げている。
NYのSTRANDの横に赤坂の ハックルベリー、その下にNYの旭屋書店の広告が載っていたりもする。なかなか良い 。季刊。買いそびれないように定期購読しとこっと。

『東京1週間』(講談社)の創刊 号は随分とボルテージが高い。このままキープ出来るのだろうか。映画館のエリアマッ プのアイコンは書店、バー、夜遅くまで開いている喫茶店、駐車場、待ち合わせ場所、 となっている。ぴあマップもそうだが、本屋を探すのにの便利。

【今年のどむか】

一応十二月号ということで、今年の「どむか」の活動のまとめ、など 。
最大のメディア活動としては、日本経済新聞の東京版、月一回日曜日に連載の「ゴー ゴー本屋さん」。年内は十一月三十日掲載の第八回まで。当初は半年六回の予定だった が、好評のためもう半年延長となった。来年も続く。
コンテンツは河野さん、梶村幹事 長をはじめとする「どむか」メンバーの有志実行部隊による。ギャラもほんの少し入っ たので、いづれ例会で還元したいと思ってます。
十月の横浜/女性のためのネットワー キングフェアにも、関係者が多数参画。梶村が徒党を組んで立ち上げた「超人研」を中 心にコーナー作りを行ったりした。梶村を利用したのか、梶村に利用されたのか、真偽 のほどは不明、ということにしておこう。
「超流通業研究会(超流研)」は、今年は休 眠状態、来年は何か是非!
河野さんと行っている「ノベルティー研究会」は、お互いの ノベルティーを交換しあってそれなりの成果を得た。

さて、来年はどんなプロジェクト が生まれるのか?

【九十号特別寄稿】

みさきたまゑさんから、祝九十号ということで作品が届きました。 みさきさんは定時制高校の先生兼書皮友好協会世話人兼詩人(詩集を出している事を知 ってますか?)。以下全文掲載!

「オレ高校1年の時、ヘルペスで入院したことあるだあ。だけどヘルペスってよくわか らんだ。なんの病気だ?」
「ヘルペスですか? 性病です」
 あたしははっきり言いきっ ちゃった。もちろん彼の顔色はかわる。やっべー、傷ついてるよ。ってこれ、授業中の 会話なんだが、夜間定時制高校はなんでもありだから、いいのだ。
「そんなことないだ ろ。もっと軽い病気じゃねえの?」
「かもしれん。皮膚科の待合室でポスターを見たこ とあるから」
 このクラスには、わたしよりニつ年上で子どもが十人いるという看護婦さ んがいるので聞いてみた。
「ヘルペスって性病でしたっけ?」
「違います」
 ええっ、違うの?
「皮膚病です。ヘルペスの意味は湿疹ですから」
 いつのまに恐怖の性病がただの 湿疹になってしまったのだろう。 わたしはずっと「ヘルペス」とはAIDSという言 葉ができる直前までエイズ的な恐怖の性病をさす言葉だったと信じていた。その根拠は 村上春樹の本だ。
 ええと、なんかで読んだんだけどな。ということはよくある。でも今 回は確かに、あの本の中に書いてあった、と確信をもっていえる。そしてその本は実家 の本棚のニ番めの一段め、村上春樹を集めてつんであるところにあるはず……。
 「'THE SCRAP'--懐かしの一九八0 年代」(87年刊/850円)文芸春秋、あった。
 ここにあると信じて探しにいったものが本当 にそこで見つかることはめったにない。それも実家のドアを開けてから、わずか三秒で 見つかるなんて奇跡だ。
 おおげさか。ページをめくる。ちゃんと書いてある。初出は20ページだ。別にヘルペス という題で書いてもいる。当時のあたしはよほどヘルペスが気になったらしく付箋まで 貼ってあるが、本人は貼ったことなど忘れていた。でも確かに「新種の性病」と書いて ある。
 だけどこの本は十年前に出た本だ。初出の「NUMBER」は'82年9月5日号。いつ のまにか 十五年もたってしまっている。そのあいだに世界の性病事情は大きく変化した。きっと ヘルペスはもう性病じゃなくなって、ただの湿疹で皮膚の疾患ということになったのだ 。でもまだヘルペスをこわい性病だと思いこんでいる人はあたしのほかにもいるはずだ 。(了)

 三秒で探し物を見つけたことにあまりにも感激してなにか書こうとしたら、こんな内容 になってしまいました。このごろほんとになさけないっす。(みさき談)

【どむか大忘年会】

12月16日(火)午後8時より、年末を締めくくる大忘年会開催 。会場は「THE ROCKS125」(渋谷区松涛1の26の22電話3469ー0 125)。東急文化村の先、セブンイレブンを越えてローソンと薬局のある五差路を右 斜め前方へ、畳店の先。ちょっと洒落た、でも妙に心騒ぐワインカフェです。前 回参加者19名、いつのまにか立席パーティーになってしまいました。(あと一歩、シ ンクの安藤さんが来ていれば20名達成だったのに!)次回も知人、友人を誘って、い ざ渋谷へ。お待ちしています。事前に出欠はとりませんが、当方の心の準備としてメー ルで参加の意志表示をいただけると有難いです

【どむかメンバーズニュース】

どむか会員の尾方です。今回学生主催のパーティのお手 伝いをすることにいたしましたので、どうぞよろしくお願いします。みなさんのご参加 を多数お待ちしてます。なおどむかの会員の方は参加表明尾方までよろしくお願いしま す。当日飛び入りも歓迎です。会費は2500円ですが、赤字らしいので、社会人の方は 多少のカンパまたは、ノベルティ等のご提供お願いできれば幸いです(あくまでも希望 です)。e-mail ryon@calen.ne.jp ogata@internship.co.jp(以下、案内文)

インターンシップキャンパスクラブ主催学生企業交流パーティー開催!インターンシッ プキャンパスクラブは大学生間のネットワーク作りを進め、インターンシップについて の情報提供と月一回の交流パーティーを行う団体です。 会員になっていただくとインターンシップキャンパスレポートをお送りします。

私たちはこんな人を待ってます ・企業の生情報が聞きたい人、・就職に関する情報が聞きたいなら参加するべし! 就職コンサルタントの尾方僚さんも参加!・様々な大学に友人を作りたい人 参加予定大学 慶應・早稲田・東大・聖心・白百合ほか ・参加人数100人!


★どむか主宰・「本棚の溜息」編集発行人/帰山健一
★平成9年12月2日発行
★ E-mail:BXJ05656@nifty.ne.jp
★勤務先/100-8066日本経済新聞社総合事業部Tel5255-2847、fax 5255-2860
★E-mail kaeru@tokyo.nikkei.co.jp【どむかPATIO】GFA02534パスワードchoryu1#

メール メールお待ちしています
[HOME][BACK][NEXT]