99年4月前半の学芸員日誌


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4月15日(木)晴

『共犯者』を見る。
『鮫肌男と桃尻女』と比べると映像はこっちが上。ギャグというか脇役の存在感では『鮫肌』のほうが上。岸辺一徳や若人あきらのあのおもしろさはすごいもん。浅野忠信つまんないから、よけいそう思う。竹中いつも通りだし、内田裕也はそこそこカッコよかったけどね。でも年くってたぞ。あたりまえか。孫もいるしな。
結論。『レオン』にくらべれば、どっちもだめ。
『ビーパップハイスクール』を描いたまんが家が監督だったなんて知らなかったので、びっくりした。

まったく『レオン』と比較しては気の毒だが、女連れでの逃避行と殺し合い。
画面がすすむにつれて、共犯者らしくなっていくきょんきょん。いきなり発砲するし……。でもなんだか、おいおい、これでいいのか。っていう違和感は消えない。

ロードムービーの王道は登場人物たちのこころの通いあい。
最初は反発していた気持ちが、事件やトラブルを乗り越えていくうちに、どんどん高まっていって、ときおりふっと気持ちがふれあったりもして……。そしてついには、二人のこころは通じ合う。

思っていれば、思い続けていれば、いつかは必ず、相手に届くと信じたい。

4月14日(水)曇

黒板ブルース用の黒板が消えてなくなってしまった。
誰かが気をきかせて片付けてしまったんだろう。あああ。

そこでA4の紙に書いて、2階の掃除道具箱の上においた。

4月13日(火)晴 夜半に雨

またもシルバー劇場へ。
『鮫肌男と桃尻女』を見た。なんだ、まあ、なんつうか和製『パルプフィクション』?
嫌いじゃないよ、ああいうドンパチ。にっかつロマンとB級アクションか。でもねえ、浅野忠信、苦手っす。

『旅芸人の記録』のテオ・アンゲロプロス監督の新作『永遠と一日』が公開される。それに先立ち、『旅芸人……』のリバイバル上映があるわけなんだが、劇場で見たいが、電車賃ももったいない。

予告編では『幻の光』の監督の新作=『ワンダフルライフ』がよかった。わたしは黄泉の国には、いっぱい此の世の思い出を持っていくつもりでいたが、あの予告編のように、たった一個にしぼれ! なんていわれたらどうしよう。

4月12日(月)晴のち曇 夜半に小雨

生まれて初めて作詞作曲をして、しかもそれを他人のいるところで歌ってしまった。

志賀3と書いて「しがさん」と読むのだけど、志賀3兄弟のバンドに参入したんである。いいのか、おい。
演奏はともかく、曲自体はたいへんまともですよね。とは包容尊師のお言葉である。

まあ、伴奏はすべて即興演奏なのだから、次回は無難に自分の作品としての詩を語りで入れて、サビだけはメロディで歌う、ってのにすりゃあ、もっとまともになるが、それじゃあつまんないかも。
それらしいの、なんかあったっけ?

そういえば、英会話。
どうもこの3週間。「あかすたむど」を日本語でいうとどうなるかで、もめてしまって楽しくない。
ジェフは「従来」というのだが、edのついた動詞の派生語を「従来」という副詞には訳せないので、あたしはずっと「慣れている」と言い張ってゆずらない。
ジェフも頑固なのでゆずらない。英語でいってるので、よくわからないが「あなたは日本語の先生かもしれないが、ここは英語教室なんだし、僕が先生できみは生徒なんだから……」というようなことを言っているようだ。
それで毎週30分も授業が延長になる。彼のいってることがよくわかんないんだよ。消耗する。小さな電卓みたいな翻訳機に英単語を入力して、彼は日本語が読めないから、あたしに読めっていうの。
「あかすたむ」が他動詞「ナレサセル」だから、その過去分詞「あかすたむど」は「ナレサセラレル」つまり「慣れている」で、いいんだってば、ジェフくん。
まったく中学高校で6年間、英文法は習っているのよ。あたしだってさ。

ということを英語で彼にいってやることができないので、ほんっと消耗すんだわさ。
今日はなんというか、「あかすたむど」によく似た「ふぁみりあ」との違いを説明してたような……。片方は「かじゅあるすたいる」だと確かいってたような……。
で、あたしに「慣れている」を「かじゅあるすたいる」ではない言い方でいってみて。といわれたようなので「慣例である」と答え「でぃす わーど のっと ゆーず すぴーきんぐ ゆーず らいてぃんぐ」なんて言っちまいましたが、よかったんだろうか。

ご神体であらせられる要くんにおかれましては、ぜひイギリス帰国後はわたくしに英語教えてくださいね。

4月11日(日)晴

いつもとかわらない休日。

映画の採点でも書こうと思ったが、時間がないので失礼する。

4月10日(土)曇ときどき雨

長女が見たいというので『MARCO』を見に行く。
シネコンはやっぱりすごい。雨の日で遊園地にもいけないせいか、家族連れがあふれていて、駐車場がないほどだ。
昨日の『セントラルステーション』もそうだが、南米の乾ききった荒野を子どもが母や父を捜して、旅をする。
「どうして最初から一緒に住まないの?」と次女は聞くが、家族がばらばらになってでも出稼ぎにいかなきゃならない貧困というものを説明しても実感は不可能。

なぜか南米にはこころひかれる。子どものころ、『花まつり』という南米の民謡を聞くと、妙に悲しくなって泣けそうになったことを思い出す。

夕方、つきあいの飲み会を一つこなしたあと、どんちゃんに電話をかけ、だんなもいたので3人でパフェ食べに行く。が、しかーし、だんなはコーヒーだけ。でも、まずかったんだって。

「今日さあ、『MARCO』見てきたんだ」わたし。
「ふうん。でも、あれ、映画にしてどうなるわけ?」どんちゃん。
「どういう話なの?」だんな。
思いっきり映画化には批判的なお二人。
「どうってさあ、普通どんな映画でも90分とか2時間のあいだに、物語のはじめからおわりがあるじゃん。そういうふうにうまくつながってたよ」
「そりゃあさあ、毎週30分の話を一年かけて見るのとは違うけど……」
「そのほうがオレはいいな」
「うわあ、たいへんだったんだねえってわかるじゃん」

4月9日(金)晴

名駅裏のシルバー劇場に『セントラルステーション』を見にきている。ちょっと早めに着いてしまった。
元教師で今は駅の雑踏の中で手紙の代書屋をやっている意地悪なおばさんが少年と旅にでるという映画だそうだ。おばさんの名前が「ドーラ」というんだ。わしのポスペと一緒だ。もっとも、今の環境になってからはポスペはインストゥールされてない。ポスペでメールを下さってもアウトルックで受信してしまうので、ペットを迷子にしてしまうと思います、すみません。
わたしの「どーら」の出典は『天空の城ラピュタ』の海賊のおばさんだがね。

さて『セントラルステーション』。こういう話しにはぜったい泣いてしまうやつなので、いっしょに行こうよ。いいですね。なんていってて結局こなかった人には泣き顔みられなくてよかったわ。

今日はどういうわけか、卒業した生徒さんがいっぱい学校にきた。
今までのぬるま湯から、いきなり「これが本来の風呂です」みたいなところにぶちこまれてあまりの熱さに驚いているのだろうか?
とりあえず前期のりきれ。あとはなんとかなる。まったくの一人ではないのだから。

4月8日(木)晴 花冷え

今日も一日、風が強く春の嵐といったところ、桜も落花さかんというより、散り急ぐという趣き。

さっそく4時間授業が始まる。もう夜は遊べない。
「夜」といえばうなぎパイは「夜のお菓子」であるが、夜学にうなぎパイを差し入れしてくれるなんて新しい非常勤講師くんは、わかってて買ってきたのだろうか?
だとしたら、相当なものだ。

でだ。その進物セットの中になんと「真夜中のお菓子=うなぎパイブランデー入り」なんてのが入っていたのさ。
「真夜中」といえば浅川マキ。包容さんをなんとかしてマキのファンにしてだね、新宿ピットインってのはどうだろう。

読者さまから、わたしをミステリ読みと思われたんでしょうか? 東野圭吾の『私が彼を殺した』を読んで犯人が誰なのか、一緒に考えてほしいというメールが……。

東野圭吾なんて読んだことないが、たしか要くんの部屋にあったぞ。と思って聞いてみると、確かに要くんも犯人が最後までわからない、という。しかもわからないということがクチコミで広がっている模様。
「まあ、われわれの仲間うちでは、犯人はこいつだろうという会話がなされてはいるんですが……」
「ねえ、もう読んだんでしょう? 犯人教えてよ。読むのめんどくさいじゃん」
だってファンでもないのに、なんで読まなきゃいかんの?
「あー、はー、いやあ、まあご自分でお読みになったほうがよろしいかと思うんですが……」
「ええー、じゃあ本貸して」
「わたしとしては、これのもう一つ前の作品も最後まで犯人がわからなくて、どんでん返しも用意されていてですね、おすすめなので2冊とも、いかがですか?」
ま、買わないですんだだけでも、よかったけどさあああ。

ご依頼のありました『私が彼を殺した』について
あれは、犯人を当てるのが目的の小説ではないように読めました。
結局、カバーにあるように「読者への挑戦」が目的でもあるし、犯人が最後までわからない推理小説を書くこと自体が目的っていうかさあ。
なんていうんだろう、ミステリの常識をくつがえしたいという欲求は推理作家にはあるはずなんです。でも担当編集者が絶対OK出さなかったでしょう、今までならば。
でも、おれは書いたんだぜっていばれるし……。犯人がわからないということで、読者の飢餓状態をいたく刺激しますよね。で、誰かれとなく「読んでみてよ」といいたくなり、おのずから販売促進されるという二重の効果を呼ぶ。
担当編集者に文句をいわせず、書きたいプロット、書きたいストーリーを書きたいように書ける作家になっていばりたいってやつなんて山ほどいるんだろうね。

ちなみに今朝、くだんの少年(=要くんのことね)が推薦してくれた『どちらかが彼女を殺した』も読了。兄と妹の感情ってこの人好きなのね。
ま、いいけど。これも犯人探しより、別のストーリーのほうを重視してたみたいです。愛知県民にいわせると、なんで名古屋に住んでるのに豊橋警察署勤務なんだろうって疑問が……。ま、こんな疑問は地元民にしか、わかりませんけどね。ついでにいうと容疑者の一人の実家はわたしの住んでる町にあるんでした。

以上、報告おわり。

ミステリ読みの冴島黎さんのご意見はいかがです?

4月7日(水)晴 花冷え

すごい風が一日中吹いていて、日が暮れてからはいっそうまたひどくなって、寒いさむい。

始業式。ま、あんなもんでしょう。

K信先生のいらなくなった98を持って志賀さんちに行く。
が、しかーし、志賀3兄弟は不在。でも上がり込んで志賀父にコーヒーよばれて歓談。高校の先輩後輩の会話ってやつですか。
そうこうするうち、志賀母と3兄弟、ご帰館。
泉くんの部屋でダビングに立ち会う。要くんの渡航前に曲を完成させてセッションできればしたいといわれてあわてる。いいのか! 志賀3に混入したりしても……。芸術にとって「毒」はほめことばだが、あたしにゃそんな威力はねえしな。

4月6日(火)雨ときどき曇

なんだか芸術づいてしまい、名古屋市美術館までオランジュリー美術館展を見に行く。
もとはといえば、長女が見たいといいだし、じゃあ、ヒルトンでランチね。という計画を聞いて次女も同行することになった。
この3人だけで、電車に乗っておでかけしたことなんて初めてだ。

こういうわかりやすい美術展って、大勢の人が見にくるんだな。あらためて感心するわい。雨の中、上野公園で行列してみた「バーンズコレクション」を思い出すねえ。
企画展を見たあとで、たいてい常設展も見るじゃない? そうすると企画展の印象がちょっと、あたしの頭の中でぐちゃぐちゃになるんだよね。
今回は河原温のTODAYシリーズの解説をパンフレットで初めて知って(なんだい、今まで知らなかったのかえ?)あの内側も見られるように鏡とか使えよ! なんて思ったものだから、わけわかんなくなってしまった。
あれは、ああやって毎日、作品を作って、それぞれに値がついて売られていくんだろうが、N.Y.やパリだと高くて、いや違うな、かわった小国に滞在中のほうが高かったりするんだろうな。豊田市美術館はもっとたくさんあれを持っていて中の新聞も見せているけど、あれが箱になっているのか、日付の真裏に新聞が貼ってあるのか、また誰かに聞いてみよう。

ひょっとしたら日付フェチかも>自分。アラーキーだって、日付だもんな。

で、オランジュリーといえば「睡蓮」ですが、これはやっぱり展示されてはいなくて、ビデオと写真で見るしかないのでした。

あたしは、アンリ・ルソーが好き。常設展で見たフリーダ・カーロの小品もとってもよかったなあ。

職場のほうは入学式で、ついに新学年がスタートしちまって、あああ、腹をくくるしかないざんす。がんばれよお、新入生。小黒板を倉庫の中から見つけたので「黒板ぶるーす」も#84から再開さ。

4月5日(月)曇

保育園の入園式というのは、学校の一学期始業式のように毎年、全園児を対象に行われるのですよ。
ことしは、お向かいの名門F幼稚園のご父兄かしらん? と思っちゃうようなご夫婦での参加が多いんで、ちょっとびっくり。
って別にいいんですけど、今年からなんと「母の会」が「父母の会」になったのさ。よく考えたら今まで30年間も「母の会」であったこと自体がおかしかったのだ。
SAMのポスターも貼ってあることだし、お父さんもしっかり育児をする時代だよ。

午後から夜にかけて、また志賀家へ行く。
ついに、古いHDDに別れを告げる時が来た。
今、わたしはこれをあたらしい窓たち98とIE5でもって作成中である。詳細の報告は後日。
FTPがうまくいくか、テストするため、取り急ぎ更新。

4月4日(日)晴 陽気

家康行列かあ。興味ないけど、しみじみ観光地に住んでるんだなあ、と思った人間の多さ。

あ、昨日、書き忘れたんですが、大須で画廊に行ったあと、ずんずんずんずん歩いてパルコまで行き、楽器屋さんでウクレレとオカリナ買って、帰って来たのさ。

さて、どうなりますやら。

4月3日(土)曇ときどき晴

大須へ行ってきた。
とはいっても、先週のような電脳ショッピングが目的ではない。
アーティストになって、個展をやりたいな。オープニングパーティ好きだし……。ミュージシャンになってライブやりたいな。打ち上げが楽しみだし……。
などという冗談をいってはいけない。友人の木村昭平氏の個展である。
ちょっとアバウトすぎる案内状の地図のせいでもう少しで道を一本間違えるところだった。ついてみれば、先週みんなで昼ごはんを食べた「しるくろーど」のすぐ近くだった。
絵については、まあ、あんなもんでしょう。いつもと一緒でございましたわ。

「今日はY田K子さんも来るのよ」とKのみちゃんがいう。
「ひえーっ、卒業してからずっとあってないよ。あたしが誰かわかるかなあ」わからいでか、自慢じゃないが全然かわってないんだもんな。
同級生が400人いて、そのうち女子が110人だっけか。院長夫人や社長夫人になった人もけっこういて、彼女たちにはオーラが見えるぜ。

なんかでも林真理子の小説によくあるような意地悪な気持ちにもなるもので
「こないだねえ、知ってる絵描きさんとT愛さんの悪口でもりあがったんだよ」だなんて、どうでもいいことを口走る。
あああ、あたしってやなやつ。ま、いっか。一人だけごはん食べながら生ビール飲んでたわけですから、そのせいってことで……。

4月2日(金)晴ときどき曇一時にわか雨

昼ごろ「今から来れるか?」とだんなさまから電話。
おじいさんのお迎えと急ぎの仕事の配達である。店にいくと、夫はミシンを踏みながら元愛人の(今でも愛人かもしれないが、よく知らない)K子ちゃんと話していた。
おっと、じゃましちゃいけねえ。
おじいさんには「荷受けにいますんで……」といって外へ出る。

そのあとは職場に戻って、しっかり仕事したぞ。

4月1日(木)晴ときどき曇

桜花満開。

ウクレレを買おうと思うんだ。で、練習するんだ。NHK教育TVの「趣味悠々」は旬の内容でオトナのための講座をばんばんやるが、今度のクールでは講師に高木ブーを迎えて「ウクレレ講座」が始まるというのを、同僚のY田先生から聞いた。
Y田先生は現在、ギターとハーモニカを先生について習っておいでである。さっそく本屋でテキストを買ってきたのさ。
さて、ウクレレ。目標は弾き語り。もちろんライブもやりまっせ。さしあたって志賀3ライブが実現したら、その前座に登場してやるぜいっ!
きみも仲間にはいりなさい。バンド名はどうしましょうね。




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