99年3月前半の学芸員日誌

梅の花


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3月15日(月)雨

わたしの勤務校の入試は、全日制の発表がすんでからでも、願書が出せる。
だから、20日のかけこみ出願がどれほどになるか、わからないが、今のところハイペースで志願者数が伸びている。っていって初日だけかもしれん。

今日は、みんなで賭けをすることにした。一口500円。ぴったり志願者数をあてた者の懐に全員の賭け金が転がり込む。といっても4,500円だけどさ。
「教頭先生も仲間にいれてあげる?」と主任が聞く。
教頭は神聖なる入試に博打を持ち込むとは……と、思ってんだか、わたしと目があう。
「管理職はこんなことに参加しちゃいけません。これはヒラ教員だけの楽しみです」と言い切るわたし。

3月14日(日)晴ときどき曇

『本の雑誌』4月号、巻頭の真空とびひざ蹴りを見よ。

『ユー・ガット・メール』を本屋が出てくるからという理由で椎名さん(が、書いてんだよね?)も見たらしい。
で、なにか釈然としない、とおっしゃる。わたしがパンちゃんの採点簿に、なかなか書き込めないでいるのも、実は同じ一点が釈然としないせいだったと、今日はっきりわかってうれしい。

というのは、ふたりが恋人どうしになって、めでたしめでたし! のかげにつぶれていった児童書専門店の悲劇がうやむやにされているってことだ。
ま、別にメグも児童文学評論家として執筆活動をしているみたいだし、古参の店員たちもトムの巨大書店のほうで雇ってくれたみたい、という説明があるから、そんなに気にすることはないのかもしれない。

が、しかーし。
巨大書店が進出してきたら、弱小書店は確実につぶれるということを全世界の人が暗黙のうちに了解してしまっている。
なんだかなあ。

3月13日(土)晴ときどき曇

『だんご3兄弟』はスタンダードナンバーにはなれない。
伝説や神話にはなっても。
どちらがいいのか。

実はわたしは「おかあさんといっしょ」は嫌いである。まともすぎる。いい子しか出てこない「アンパンマン」が嫌いなように、あの番組は嫌い。
だが、これが同じNHK−ETVか! と驚愕にあたいするのが、7:20からの「ほっちぽっちステーション」だ。
この番組は、子どもを教育しようなんて、はなっから意図していない。グッチ裕三がやりたいことを、やりたい放題やっている。子どもを番組で教育するのでなく、子どもにうけたい。それだけで突き進んでいる。
もう最高におもしろい。わたしより少し年長で、裕福な銀行員のお坊ちゃまで、麻布中学・高校を出て、それで、あれだもん。すごいや。
挿入歌の選曲からは、ビートルズよりプレスリーが好きらしいグッチの、スタンダードナンバー選考基準がうかがえる。それがまた、あまりにも母のつぼにはまるものだから、母がきゃあきゃあいうのを子どもらはぽけーっとして見ている。
彼がプレスリーの格好で絶叫する『アイアイ』やデーブ・パープルと称して、またも絶叫する『一週間』をぜひあなたに聞かせたいものだ。

番組中に、彼は時としてパペットたちとカラオケスナックに行くのだが、「銀座」がでてくるデュエット曲といえば、あの曲……と誰もが思うところを、もっとアップテンポの『ふたりの銀座』をもってくる。こんな芸当ができるグッチはえらい。
『ふたりの銀座』ったら、あれよ。山内賢&和泉雅子だぜ。日活青春だぜ。『愛と死をみつめて』だ。
わたしはこの曲で「灯ともし頃」という、うつくしい日本語を知った。

ベストセラーより、ロングセラーはすばらしい。スタンダードナンバーになるということは本当にすばらしい。
高校2年の文化祭でF田くんが歌って、拍手喝采だった『なごり雪』は今でも生徒が歌う。もう25年だ。すばらしい。

3月12日(金)晴ときどき曇

さて、そろそろ『だんご3兄弟』のことを書くか。

わたしは、初めて聞いたときから「これはすごい」と思っていた。
が、ここまで騒ぎが大きくなると、ちょっと心配が……。というのは

『およげたいやきくん』を抜くかどうか
このヒットが景気回復につながるかどうか

にばかり話題が集中しすぎている。単に世紀末現象としてだけのとらえかたをすると、歌に永遠のいのちがめばえない。
世相にからめとられてしまっては、歌の本質が拡散してしまう。
『およげたいやきくん』は1976か77の大ヒット。わたしは、この時教養部にいて、心理学の後藤先生のご自宅でのひなまつりゼミコンパで、この歌のことを聞いた。
小さいお子さんがいらしたからだ。学生は誰一人、これを知らなかった。
で、なぜか、泥酔。意識が戻った時はもう、みんなは帰ってしまっていてあたしは先生のお宅のふとんに寝ていた。
生涯で、あんなに泥酔したのは、あれ以降はない。と思う、たぶん。

たいやきくんを今、聞くと「あの時の歌」と思う。もう古い。
『おもちゃのちゃちゃちゃ』と『犬のおまわりさん』は古くない。『さっちゃん』や『アイアイ』も現役だな。
哀しい予感だが、だんごはこんな騒がれ方をしてしまうと1999年の歌になり、永遠の歌にはならんだろう。
まことに残念ではあるが、おとなのせいだな。

3月11日(木)曇

看板

岐阜県立美術館へ「荒川修作 マドリン・ギンズ展−−死なないために 養老天命反転地」を見に行った。

鉄橋

帰りの名鉄電車の先頭、パノラマ席にて HP200LXをぷちぷちやっているところ。
窓から見た景色、路面電車など、デジカメ持参の外出は初めてで、数枚ご披露したいところだが、まだ処理してない。(車中だからあたりまえ)

路面電車

片道1時間の旅だかんな、何か書かんと、もったいない。じゃあ、別ファイルを開きますので実況はこれにて。

3月10日(水)曇

かかりつけの歯医者さんへ行く。

ここの待合室には雑誌と子どもの本があるんだが、雑誌は女性向けの月刊誌のほかに自然環境、ヒーリング精神世界系がこのごろ増えてきた。
子どもにせがまれて絵本を読んでやっていると、どの本もみんな、たいへん教育的でまともすぎる感じがする。絵もきれいで、あたし好みのナンセンスな絵本がない。絵本が教育的である必要は必ずしもないと思うわたし。
あの、千秋が声を出していたノンタンのシリーズだって早く寝ましょうだとか、トイレでおしっこしましょうだとか、ちゃんと歯をみがきましょうだとか……。結局しつけ絵本なわけだしさ。
絵本を読ませてしつけようなんて思っちゃいかんじゃない?
しつけは親が直接やるもので、絵本には荒唐無稽な絵空事や夢いっぱいの冒険もの、幻想と現実が渾然一体となったヘンテコなお話を期待したいもんだね。

3月9日(火)雨

昨日CD屋にいって宇多田ヒカルのアルバムを予約しておき、今日は買いに行った。発売日は明日である。
藤圭子もたいしたむすめをうんだものだ。今世紀最後の国際級ヴォーカリスト、おっと歌もうまいが、作詞作曲もやってんだよねえ。いまさらシンガーソングライターってのもねえ。
そしたら、S本からメール入って「売ってないよー」とかいうんで、「もう買っちゃったもんねー」と自慢をし、S本が学校に遊びにきた時、思いついてテープに録音してくれてやった。
S本は夜、H田とスノボに行くのでドライブのBGMにね。

ギアはニュートラルに入れた。ゆっくりとローでスタート。半クラッチはむつかしいね。

3月8日(月)晴

英語の時間。
なんか、頭がぼーっとして、英語の勉強を続けるのがつらかった。
もう、今日は勉強はやめて、なにかお話をしましょうと提案して、20分くらいは話していたかな。
あああ、先生はネイティブなんだが、もう少し聞きとれないものかねえ。ほめられていても喜べないなあ。
「ゆーあ、おねすと」っていってたかな。
たしかにわたしは正直ものだが、おーねすてぃ、さっちゃ、ろうんりわーど。だよな。

3月7日(日)雨

ずっと好きだった人から「I love you」といわれた。
驚天動地で取り乱した。いつから自分を好きだったのか? と聞かれたので正直にすべて書いてメールした。
数時間後「あれはみんな冗談でした」といわれ、地にたたきつけられた。が、既婚者なので自分を律しなければならない。
「こちらこそ、冗談でしたのに」ですべて笑って終わりに出来るはずだった。つきなれないわたしの嘘など、見抜いてくれるはずだった。

アクセルが全開のまま、2台のクルマがぶつかっている。アクセルから足を離し、ゆっくりブレーキとクラッチを踏み、落ち着いてギアをニュートラルにひとまず入れなければならない。お互いが同時に……。

3月6日(土)晴

おじいさんが入院している以上、毎日の配達はわたしがやらんで誰がやる、というもんである。
ひょっとすると、今後ずっとそうならないともかぎらない。そう思っていれば間違いない。
人事の話がでたときも、これで通せばずっと夜間にいられるだろうか?

3月5日(金)曇 にわか雨

ニコラスケイジの新作=「スネークアイズ」を見る会。

新しい仕事にはりきっているどんちゃんを励ます会。

白井先生のお宅を訪問して、4年間の総括をする会。

お仕事でお疲れのどんちゃんのお宅を訪問してマックと遊ぶ会。

3月4日(木)曇

卒業式の日のことで、書き忘れた事がいくつか。
まず、1年1組から卒業生の人数分の花束をいただいた。これは感動もの。いままで1度もこんなことなかったから。嬉しかった。ちゃんと全員に手渡したはずなのに、2つも余ってしまったのはなぜ?

そうだよ、打ち上げひとつ満足にできないのも、あたしにいわせれば「やつらはたるい」ってことになる。
「何時から、どこでやるっていうのをみんなにきちんと早めに連絡する」これだけのことができない。やり方は教えてやったのにさ。
「連絡はしたんだけどさあ、もう予定いれちゃった子もいるんだよね」
「じゃ、また今度にすれば?」
「うんじゃあ、そうする」
わたしだって、着物を着てんだから、生徒の打ち上げになんか参加したくないのが本音。たばこの臭いにおいを着物につけたくない。そういう気分にもなれなかったしさあ。
そしたら、もう解散しちゃってから、また
「打ち上げ、どうしよう」ってさっきのメンバーがいう。
「また今度ってことになったんじゃないの?」というとなんか、ぐずぐずいっている。
あのさあ、どうせ全員は来ないっていうのが、わからんか? 幻想みてんじゃないの。4年いりゃわかろう、全員は集まらない。
やりたいやつらは自分らだけで、さっさとやれって。いちいちオトナの意見を求めるな。

卒業式のあと、わたしは元同僚とお茶だけ飲んで、答辞を読んだH田のバイト先へ行く。
「まったくもう、ガキじゃないんだからさあ」と憤慨する、わたし。
卒業式の夜も、翌朝まで働いてましたっていうのも、それはそれでかっこいい。
がんばれH田。もっとも彼は打ち上げに出ないですむようにバイト組んだんだけどね。

3月3日(水)晴

定休日。おばあさんを誘って、おじいさんのお見舞いに行く。

そのあとで英会話。元U.SアーミーのJefにU田さんとの2ショットを見せる。
「でぃすぃず ゆーえす ねぃびぃず ゆにふぉむ、ひー ぼぅとぅ いっと あっと あーみー しょっぷ」
「あーみーしょっぷ? あーはっはっはー」

軍服フェチっているもんなあ。いいじゃんねえ、何が好きだって。
オタクで悪いか! である。
本人はオタク呼ばわりを迷惑に思っても、世間からはオタクとひとくくりにされちまう現実は存在するもんな。

ポストペット導入。

3月2日(火)晴

帰りに同僚を誘ってヴィレッジヴァンガードへ行こうとしたら、どんちゃんからcall。
「あのですね、おかあさん。今、ひま?」
「うんとねー、今からヴィレヴァンに行くんだが……」
「まあ、なんという偶然。CAT’S CAFEでパフェを食べようという話なんですが」
「おけー、待ってろ」

てなわけで、あたしと男性4人(どんちゃん、航平、どんちゃんの弟、事務のよねちゃん)は本屋とパフェツアーに出発。
そのあとで配達いったから、帰宅は23:00でしたよ。不良ですねえ。
「おかあさん、早く帰って来て」ってぼうずから電話。
「だって、おかあさん、おとうさんのおつかいしてんだもん。まだ帰れないよ」

3月1日(月)晴

こんなにしみじみできない卒業式もはじめてだ。
普段のあたしは、あんなにヒステリックじゃない。誰がキレたって全然平気だった。
なのに、なのにである。整列しようとしたら、5人もいない。2人はわかっていたからよいとして……。なにゆえ3人いない。
それだけのことなんだけど、あたしが今度はキレる番だった。紋付き袴も台無しだ。来賓の見てる前で
「TとRがまだ、来てないってどういうこと? それにM森はなんで、いないの? さっきまでいたじゃん。どこ、行ってんの? どうなってんの」と叫んでしまった。

この期におよんで、遅刻してくるとは何事じゃ! である。
わたしに恥をかかせたやつらを許せない。やつらはあたしがどんなに恥をかこうとそれはわたしの職務上のことなので自分らにゃ関係ないのだ。
そのせいで、せっかく時間どおりに、ちゃんと来た子たちにやさしくしてあげられなかったこころの狭い自分がなさけなく、ゆるせない。

自分のクラスが卒業するのに、こんなに最後までぷんぷん怒っていて、しみじみできないなんて……。
そう思ったら、やつらはいつもちょっと目をはなすとどっかいっちゃって探しにいかなきゃ全員そろわなかったこと思い出してまた、怒りがふつふつと湧き起こる。
予餞会だって、さあ始めようって思ったら生徒会長がいない。だなんて……。普段の信頼関係がいかに希薄だったか、と思って愕然とするね、まったく。

こんなんだったら「おれは卒業式には出ない。終わった頃、19:30ごろ行くから」っていってちゃんと予告した時間通りに来てくれる人のほうがどんなに精神衛生上ありがたかったことか。

おまけにるりちゃんとポストペットまでくれたし、4年間ずっと見てきて、わかりあえたような、わけわかんないような……。でも、ま、いっか。ありがとう。こころから礼をいうぞ。
ただもう、こういう場面で平気で(じゃないって他の先生にはいってたらしいが……。わしは許さん)遅刻できるやつとは、わかりあう必要なんてないんじゃない、と思う。




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