損害賠償請求には全て理由がない!
相模原市議会議員 小 林 正 明
T 経過とコメント
1 経過
私は、平成21年3月2日の議会で、昭和51年から山林の乱開発を防いできた旧城山町の「山林等の開発行為取扱基準」を、当時の八木大二郎町長が合併期日前の平成19年3月9日、即日決済・即日告示で廃止した事実を暴露し問題点を指摘しました。
八木大二郎氏(現県議)は私に対して、翌日の毎日新聞の記事(本件記事)で名誉が棄損されたとして、500万円の損害賠償と謝罪広告を求めて、平成21年5月25日裁判所に訴えました。
平成22年4月22日、相模原の第1審裁判所は私に対して200万円の損害賠償の支払い等を認める不当な判決を言い渡しました。
私は、直ちに東京高裁に控訴し、平成23年5月31日、全面勝訴の判決を勝ち取ることができました。
2 コメント
東京高裁は、私の主張を全面的に認め、公職にある者は他からの意見や批判を甘受すべきであると諭しています。
しかも、八木大二郎氏に訴訟費用の全額負担を命じたのですから、東京高裁がいいがかり訴訟と認識しているものと考えられます。
U 東京高裁判決の概要
1 社会的評価低下の有無に対する判断
本件記事は、利権疑惑を市議会で追及した観点からの報道であり、被控訴人(八木大二郎氏)が疑惑に関与しているとの指摘は実質的にもないから、社会的評価が低下したと認められない。
町長の決裁で開発基準が廃止されたことが重要かつ本質的な内容であり、起案者が誰であるかは上記の判断に大きく影響しない。
公職にある者は、職責上公正な地方行政の遂行が強く求められ、公務に関し選挙民に説明責任があり、その担当する公務に関しては、一般通常の私人以上に他からの意見や批判を甘受し、対応すべきことが要請される立場にある。
社会的評価の低下や名誉棄損の成否の法的判断の際は、この観点からの検討が必要である。
2 公共の利益・公益目的・内容の真実性に対する判断
本件記事は、特定の鉱石業者が公共事業にかかる用地取得に絡む
利権を追及する内容であり、その体裁、記載内容に照らし、公共の利益に関する事項について、専ら公益目的で掲載されたものと認められ、主要部分について真実である証明がされており、全体として真実であると解される。
尚、本件記事を上記のとおり認定判断する以上、控訴人(小林正明)の本件発言(自ら起案)は問題を生じないから、これ以上の判断をしない。
3 結論
@被控訴人(八木大二郎氏)の請求は、全て理由がなく、棄却すべきところ、請求を一部認容した第1審判決(横浜地裁相模原支部)は、失当であるから取り消す。
A訴訟費用は、第1審、第2審を通じ、被控訴人(八木大二郎氏)の負担とする。