独断的JAZZ批評 815.

AVISHAI COHEN TRIO
「三位一体」を堪能できるアンサンブルの素晴らしいアルバム
"NIGHT OF MAGIC"
SHAI MAESTRO(p), AVISHAI COHEN(b), MARK GUILIANA(ds)
2007年11月 ライヴ録音 (JAZZ IN KIEV : JIK 002-08)

イスラエル生まれのベーシスト、AVISHAI COHENのリーダー・アルバム。
以前、2007年9月録音の"GENTLY DISTURBED"(JAZZ批評 543.)を紹介している。メンバーもまったく同じで、録音時期がわずか2か月しか離れていない。しかも本アルバムはライヴ盤。多分、"GENTLY DISTURBED"をリリースした後に、発売記念ツアーに出て、ライヴ録音されたものだろう。
ABEが同じ収録曲となっている。
ヨーロッパの端正さに哀愁と野性味を加えた感じで、ライヴならではの迫力満点のプレイも披露している。先の"GENTLY DISTURBED"も素晴らしいアルバムで、是非、聴いてほしいアルバムの一つ。こういう哀愁を帯びた演奏に日本人は弱いのではないか?


@"ELI" AVISHAI COHENの書く曲はいずれも美しさに哀愁をまとわせた、ジャズ・チューンらしからぬ楽曲が多いが、この曲もそういう一つ。多分、生誕の地、イスラエルの音楽が微妙に影響しているのではないだろうか?
A"GENTLY DISTURBED" 一聴、ワルツ風だけど・・・。3者のアンサンブルが凄い。ライヴ録音とは思えないほど、3者の楽器の音像がクリア。
B"THE EVER EVOLVING ETUDE" 小節という概念があるのだろうか?10拍子?それとも、4+4+2小節?結論を先に言うと、数えないことだね。流れ出てくる音楽をそのまま受け止めよう。ライヴならではの躍動感と高潮感が素晴らしい!テンションがドンドン高くなってきて最高潮に達したところでオーディエンスを含めた会場全体が解き放たれる。これは凄いね。このトラックのために購入しても損はないと思うけどいかがだろう?願わくば、大音量で聴いてもらいたい!
C"ANI MAAMIN " 
このアルバム、最長の11分半。やはり、アンサンブルの妙だね。
D"REMEMBERING" 
ベース・ソロが凄い!
E"ELEVEN WIVES" これも数えないことだね。難しいリズムだ。それでいて心打つ何かを持っているし、3人の息が寸分違わずピタリと合っている。
F"TO THE BIRD" 
COHENが歌っている。これはご愛嬌でしょう?!
G"COME TOGETHER" 
ビートルズ・ナンバーから1曲。COHENのベース・テクニックの素晴らしさにも拍手を送りたい。オーディエンスと一体となったプレイはライブならでは醍醐味。

このアルバムの良さは何と言ってもライヴならではの圧倒的な躍動感と高潮感。それと、3人のアンサンブルが凄い。最後は何て言っても、このアンサンブルの醍醐味でしょう!
さらに、特筆すべきは録音の良さ。ライヴ録音にもかかわらず、3者の楽器の音が実に生々しく、絶妙なバランスと相まって、最高の高潮感をもたらしてくれるだろう。
言い古された言葉だけど、「三位一体」を堪能できるアンサンブルの素晴らしいアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (20130.07.27)

参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=FGJd_LSktoo
          http://www.youtube.com/watch?v=be8fXMHPWso 



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