独断的JAZZ批評 809.

JOEY CALDERAZZO
モーダルな演奏で艶っぽさとメリハリに乏しい
"LIVE"
JOEY CALDERAZZO(p), ORLANDO LE FLEMING(b),
DONALD EDWARDS(ds)
2013年5月リリース ライヴ録音 (SUNNYSIDE : SSC 1368
)

JOEY CALDERAZZOは初めて聴く。1999年録音の自己名義の"JOEY CALDERAZZO"が評判になっていたが、ついにゲットすることはなかった。今では入手も難しいようだ。
CALDERAZZOはテナーのMICHAEL BRECKERのサイドメンとして活躍し、HERBIE HANCOCKなどの流れを汲むモーダルなピアニストという位置づけらしい。
この"LIVE"の詳しい録音年月日が記載されていないのだが、今年、リリースされた新譜であることは間違いない。


@"THE MIGHTY SWORD" はっきり言ってつまらない演奏だ。ベースのFLEMINGのソロは全然面白くないし、グループとしての躍動感、緊密感も足りない。
A"RAINBOW" 
KEITH JARRETTの書いた曲。饒舌気味のCALDERAZZOのピアノはこんがらかった糸のようですっきりしないし、続くFLEMINGのベース・ソロは相変わらずだ。
B"TO BE CONFIRMED" 
CALDERAZZOのオリジナル。これはいいね。やりたいジャズが明確だもの。遊びついでに、聴いたことのあるフレーズがあちこちに挿入されている。
C"THE MEANING OF THE BLUES" 
KEITH JARRETTなんかも良く演奏しているスタンダード・ナンバー。"BLUES"とあるが、ブルース形式ではない歌モノ。歌詞は切ないラヴ・ソング。まず、テーマがいいし、分かり易い演奏で好感が持てる。11分を超える長尺。
D"TIME REMEMBERED" 
BILL EVANSのオリジナル。
E"TRIESTE" 
17分にも及ぶ長尺演奏。心してかかっても辛いかも。PAUL MOTIANの曲で内省的で多少アブストラクトのかかった演奏で始まる。インテンポになるまでに5分。その後、4ビートを刻むモーダルな演奏にシフトする。最後はまた逆戻りしてアブストラクト風で終わる。

全編通してモーダルな演奏が目立つ。スケールを主体としたモード奏法はコード進行よりも自由度がアップした分、無味乾燥な演奏となってしまうことが多い。「艶っぽさがない」というのだろうか?「潤いがない」とでも言うのだろうか?このアルバムもその一つ。
中音域を中心にモーダルな演奏が続く。艶っぽさとメリハリに乏しくて、ライヴならその場の雰囲気もあり何とか聴けると思うけど、CDではちょっときついかな。
一方でCのようなコード進行を主体とした演奏ではいい演奏を聴かせているので、モーダルな演奏に拘らず、歌モノとのバランスが取れてくるといいと思う。   (2013.06.16)

試聴サイト : http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=8934908&style=music



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