独断的JAZZ批評 801.

URI CAINE
たまにはこういう灰汁の強いアルバムも楽しいね
"LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD"
URI CAINE(p), DREW GRESS(b), BEN PEROWSKY(ds)
2003年5月 ライヴ録音 (WINTER & WINTER : 910 102-2)

ジャズ友のブログの中にリンクが張られていたYouTubeを聴いたら、これは結構、面白いと思った。すかさず、amazonに注文を入れてゲットしたのがこのアルバム。
URI CAINEのアルバムは初めて購入した。今までもチャンスはあったが、心に響くものがなくて試聴した段階で止めていた。
このアルバムではベースに名手・DREW GRESSが参加していたので購入を後押しした。録音はちょっと古いが2003年のVILLAGE VANGUARDでのライヴ。VANGUARDの割には珍しく録音が良い。全10曲でトータル時間が76分あまりもある。聴き応えあり。4曲がスタンダード、もしくは、カヴァー曲。残る8曲はCAINEのオリジナル。

@"NEFERTITI" W. SHORTERの書いた曲。ピアノが切れに切れている。ちょっと、若かりし頃のCHICK COREAみたい。3人のアグレッシブな演奏がいいね。
A"ALL THE WAY" 
この曲と言えば、LEE MORGANの"CANDY"(JAZZ批評 64.)の演奏を思い浮かべるが、素直に弾かないところがCAINEの個性だろう。でも、またこれも良し。
B"STILETTO" 
抽象画のようなアプローチで始まるオリジナル。やがてアップ・テンポのリズムを刻みだす。躍動感と緊迫感溢れる演奏だ。
C"I THOUGHT ABOUT YOU" 
スタンダード・ナンバーを律儀には弾かない。遊び心と「崩れた」感じが面白いところだ。
D"OTELLO" 
この曲ではドラムスのPEROWSKYのプレイに注目したい。思い切りの良いプレイはCAINEのピアノと相性抜群だ。
E"SNAGGLETOOTH" 
一筋縄にはいかない剽軽な演奏。個性の塊だ。
F"GO DEEP" 
一転して、ミディアム・テンポの静かな演奏で始まるが、徐々に高揚感が増してきてグルーヴ感と躍動感に溢れた演奏にシフトしていく。
G"CHEEK TO CHEEK" 
前曲から連続して突入するスタンダード。軽快なアップ・テンポの4ビートを刻む。なんと心地よい4ビートなのだ!コロコロと珠のように転がるピアノ、ズンズン突き進むベース、楔を打ち込むドラムス。そして、この疾走感!こりゃあ、最高だ!
H"MOST WANTED" 
I"BUSHWACK" 
アハハハ!これだけ暴れるとうるさいとか喧しいと感じる人がいっぱいいるだろう。

このアルバム、誰にでもお勧めというわけにはいかない。結構、灰汁の強いアルバムなので好き嫌いが分かれるだろう。
勿論、僕はすこぶる気に入った。一筋縄ではいかない強い個性と同時に、溢れる躍動感と疾走感が堪らない。
いつも、お行儀の良いアルバムばかりでもつまらない。たまにはこういう灰汁の強いアルバムも楽しいということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。

試聴サイト : http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6738814/a/live+at+the+village+vanguard.htm
 http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=GtlLdyBHxwE



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