"WOLF" と "GANG" が重なった強面する名前だが、
  名前とは裏腹に優しい、優しすぎる!
ドラムスの BRIAN BLADE は
  売れっ子になること請け合いだ
"REAL BOOK" WOLFGANG MUTHSPIEL(g), MARK JOHNSON(b), BRIAN BLADE(ds)
2001年録音

WOLFGANGという名前は初めて聞く名前だ。"WOLF" と "GANG" が重なった強面する名前だが、名前とは裏腹に演奏は優しい、優しすぎる!

実はDISK UNION の店内で初めて聞いた時、PAT METHENY かと思った。新しいトリオによる新作だと思って、家でネットを探し回ったが検索できない。ジャケット.デザインを覚えていたので、これが WOLFGANG という新鋭のギターリストの作品だと知った次第だ。
なかなかいい作品だと思うけど、迫力や躍動感に欠ける嫌いがある。少し線が細い。

リズム陣はなかなか凄い。ドラムスの BRIAN BLADE も期待の新人らしい。事実、このドラムスは良いなあ。これから売れっ子になること請け合いだ。ブラッシュワークといい、4ビートのシンバリングといい、人を乗せるすべを知っている。今後の活躍が楽しみだ。

ベースのMARK JOHNSON も特筆モノ。このベーシストはかつて BILL EVANS のラスト・レコーディングに参加しているし、PAT METHENY との共演盤もあるが、僕の印象は極めて薄い。しかしながら、このCDでの MARK JOHNSON は今までのイメージを変える逞しさを見せている。ドラムスと一緒になってギターを煽っているのだ。

主役の WOLFGANG はあくまでもクールに受け流すだけで、もうひとつ盛り上がってこない。そんな中、2曲目の "ALL THINGS YOU ARE" と6曲目の "GIANT STEPS" 、最後の "SOLAR" は、アップテンポの4ビートで躍動感がある。ベースが逞しく歌い、ドラムスのスティックが煽る。そこにギターが乗っていくという本来の姿を聴かせてくれる。

全10曲の中はスタンダードや名曲がずらり。
上記のほかに"LAMENT","SOMEDAY MY PRINCE WILL COME","I HEAR A RAPSODY","BLUE IN GREEN"etc.

METHENY のほかに SCOFIELD の影響も感じさせる演奏である。ただ、ギターの音色に抑揚が少なく一本調子に聞こえてしまうのが残念だ。
一皮向けた次の新作に期待したいところだ。  (2002.04.12)


WOLFGANG MUTHSPIEL

独断的JAZZ批評 62.