独断的JAZZ批評 762.

FRANCESCO NASTRO
「超レア・廃盤復刻」
当然とも思える宣伝文句に「いや、その通り」と言うしかない
"TRIO DIALOGUES"
FRANCESCO NASTRO(p), GARY PEACOCK(b), PETER ERSKINE(ds)
1996年10月 スタジオ録音 (ITINERA : ITN 012)


僕は常日頃、「幻の名盤に名盤なし」と思っているので、このアルバムのように「超レア・廃盤復刻」なんて文言があっても基本的に購入しないのである。が、何故か今回購入した。
一つにはCDの未聴アルバムの在庫が尽きて、何でもいいからCDをゲットしようと思っていたから。二つ目は、GARY PEACOCKとPETER ERSKINEがサイドメンならひょっとして面白いかも・・・と思ったから。
これだけ流通が発達した時代に今更「幻の名盤」もなかろうと思っている。まあ、売らんがための常套句だとは認識しているのだけど、こういう間違いもたまにはあるってこと。
先に結論じみたことを書いてしまったが、気を取り直して聴いてみようと思う。

@"LOVE WAVES" リリカルなテーマとリリカルなピアノ。フリー・テンポのような、イン・テンポのような微妙なインタープレイが続く。PEACOCKのベース・ソロも少々独りよがりの様相を呈し、トリオとしての面白さに欠ける。何となくダラダラ始まり、いつの間にか終わっていたという感じ。
A"LAST FIRST" 
同じような雰囲気のテーマで始まる。兎に角、躍動するところまで至らないのだ。ここでもPEACOCKのソロの場面が用意されているけど、ピアノでは持たないのでPEACOCKに下駄を預けたって感じだ。
B"FENESTA VASCIA" 
一転して、8ビートの演奏に。このグループではPEACOCKのベース・ソロが助け舟だ。
C"LOOKING IN" 
インタープレイ風バラード。NASTROはこういうパターンがお好きなようで・・・。その度にソロを執らされるPEACOCKも大変だ。
D"WONDER RHYTHM" 
E"DIALOGO T" 
またまた似たようなパターン。インタープレイ風バラードなのだ。「俺は熱くならないぞ」と決めているが如し。
F"DIALOGO U" 
初めて見せた熱っぽい演奏。PEACOCKがバリバリ弾きまくるが、何故か面白くない。無機的な演奏だ。
G"DIALOGO V" 
また逆戻り。似たような演奏スタイルだ。
H"UP, UP, AND..." 
フリーテンポのベースのソロで始まる。初めてERSKINEが存在感を示す。
I"SWEET BEFORE" 
このアルバムの中ではこれが一番。3者が躍動しているもの。
J
"TIME AT HOME"
 最後は讃美歌風。ところで、PEACOCKってこんなに音程が悪かった?

言っちゃあ悪いが、ピアノがお粗末。それに尽きる。
確かに、宣伝文句には「幻の名盤」とはどこにも書いてない。これは勝手に僕がそう思い込んだだけ。書いてあるのは「超レア・廃盤復刻」とか「入手困難作品復刻」であった。さもありなん!この程度のアルバムなら沢山は作れないでしょう!沢山作ったらすぐに在庫の山だ。しかもすぐに廃盤になるでしょう。当然とも思える宣伝文句に「いや、その通り」と言うしかない。僕の負けです。   (2012.07.19)

試聴サイト : http://diskunion.net/portal/ct/detail/ITN012




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