独断的JAZZ批評 750.

TRIO FIX
多分に奇を衒ったアルバム
FRIENDS REQUEST""
ROBERT SOELKNER(p), WALTER SINGER(b), FLORIAN BAUMGARTNER(ds)
2011年リリース スタジオ録音 (ATS RECORDS : CD-0746)

このTRIO FIXはオーストリア出身のミュージシャン3人によって2010年に結成されたグループだという。室内楽、ロック、タンゴなどなどあらゆるジャンルの音楽と実験的とも思わせる多彩なアレンジを施した音楽である。
結論から言うと"NO!"である。全然面白くない。聴くのが苦痛だ。ごった煮を無理やり食べさせられるような気分。ならば、聴かなければよいということで4回ほど聴いて投げ出してしまった。(よくぞ4回も聴いたものだ!)
全12曲のうち8曲がピアニスト・SOELKNERのオリジナルで、3曲がベーシスト・SINGERのオリジナル。いずれのテーマもジャズらしくない。クラッシックのようなテーマだ。いずれも若いメンバーなので、既存グループとの差別化の意味も含めてこういうスタイルを選択したのだろう。しかし、これではジャズの世界では生きていけないだろう。

@"DANGER IN THE WOODS" 最初にこの曲を聴いて駄目だと思った。
A"FRANZ, MARTHA, HEIDRUN UND ENGELBERT" これは美しい曲だ。ベースのSINGERはそれなりの技術も持ち合わせているので、こういうコンセプトで演奏しなければならないというのは惜しい。
B"SISSIFUSS" まるでグルーヴ感はない。
C"YOU THINK YOU HAVE EVOLVED...BUT YOU HAVEN'T" 
D"FREUNDSCHAFTSANFRAGE"
 
E"SPAGHETTI TRAIL" ラジオのノイズやら人の声や馬のいななきが入ったりして始まる。げんなり!最初の部分は不要だ。ベースのSINGERはなかなかのプレイヤーでアルコを弾かせても上手い。
F"PALADIN" 
G"SHOES ON MAIN STREET" 
H"DIAGRAM"
 群衆のざわめきを背景にしたまったく無意味といいたくなるトラック。
I"JEDESMAL" エレキ・ギターの音色が!メンバーが三人とするとオーバー・ダビングしてるのかしらん?もしかしたら、シンセサイザーかも。この3人がやりたい音楽っていうのはこういうのかなあ?
J"PAULA" ベースのSINGERは良いプレイヤーだ。記憶に留めておこう。
K"CRESCENT STREET REMIX"
 ここでもラジオのようなノイズが挿入されている。

多分に奇を衒ったアルバムである。若者らしく正々堂々と真正面からジャズに取り組んでほしかった。
ジャンルがどうのこうのとは言いたくないが、少なくてもジャズ・フィーリングを求めて聴くと裏切られる。聴く人を相当選ぶと思うので心してかかるべし。それ以上のコメントはない。   (2012.04.13)

試聴サイト :
http://www.robsoelkner.at/index.php?option=com_content&task=view&id=27&Itemid=77




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