独断的JAZZ批評 740.

CHARLIE HADEN / HANK JONES
このアルバムは「ジャズっぽくない」 
賛美歌のようでもあり、鎮魂歌のようでもある
"COME SUNDAY"
HANK JONES(p), CHARLIE HADEN(b)
2010年2月 スタジオ録音 (UNIVERSAL MUSIC : 0602527503684)

HANK JONESが91歳で亡くなったのが2010年の5月16日というから、このアルバムはなくなるわずか3ヶ月前に録音されたということになる。JONESは生涯現役を貫き、90歳を過ぎてからも日本ツアーを敢行している。このアルバムはHANK JONESの最期のアルバム録音となった。相棒はデュオの名手、CHARLIE HADEN。
結論を先に言ってしまうと、このアルバムは「ジャズっぽくない」 賛美歌のようでもあり、鎮魂歌のようでもある。ジャズと共に生きたJONESが人生の最期に残した記録でもある。全14曲中A、B、C、G、H、Kの6曲がTRADITIONALとある。

@"TAKE MY HAND, PRECIOUS LORD" ナチュラルの権化とも言えるHADENのベースはあくまでもシンプル。余計なものは一切ない。
A
"GOD REST YE MERRY, GENTLEMEN" いかにも賛美歌風。
B
"DOWN BY THE RIVERSIDE" HADENがテーマを執ることが多いが、ここでもテーマを忠実に弾いている。
C
"GOING HOME" アドリブでスイング・・なんてことはない。ちょっと、寂しい。
D"BLESSED ASSURANCE" 
E"IT CAME UPON THE MIDNIGHT CLEAR" 
F"BRINGING IN THE SHEAVES" 
G"DEEP RIVER" 
H"GIVE ME THAT OLD TIME RELIGION" 
I"SWEET HOUR OF PRAYER" 
J"THE OLD RUGGED CROSS"
 
K
"WERE YOU THERE WHEN THEY CRUCIFIED MY LORD" 
L"NEARER MY GOD TO THEE" 
M"COME SUNDAY"
 D.ELLINGTONの書いた名曲。

あくまでも、原曲再生に徹している。14曲もあるので1曲の演奏時間も短い。テーマを前後に弾いているが、アドリブらしきコーラスは極めて少ない。御年91歳のHANKの指さばきも乱れがちだ。
脂ぎったジャズとは正反対の慈愛溢れる演奏だ。そういう意味で、ジャズっぽくない。クールだけど温かい。正直なところ、HANK JONESの最期のアルバム録音という以外にはこれといった価値を見いだせないのが残念。   (2012.02.05)

試聴サイト : http://www.amazon.com/Come-Sunday-Charlie-Haden/dp/B005NEJM02



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