洗練された大人のJAZZ
刺激を求める人には向かない。
"WHITE NIGHTS" VLADIMIR SHAFRANOV(p), GEORGE MRAZ(b), AL FOSTER(ds) 1990年録音

2月に催した第2回目の「JAZZ・大音量の会」の時にかかった1枚。
実は、ヨーロッパのヨーロッパ人によるジャズというのは、僕自身はあまり好きでない。その一番の理由はベースの音が好きでないのだ。
ヨーロッパのプレイヤーというのは少なからずクラシックの影響を受けているせいか、ビート感が弱い。クラッシクのベースは、基本はアルコ(弓)弾きにあり、強烈なドライブ感やビート感を必要としない、むしろ、それが邪魔になる音楽であり、そこがジャズとなじまない部分だろう。
ビート感を重んじるよりは音程やハーモニーに主眼が置かれる傾向がある。従って、ベーシストもビート感やドライブ感よりもテクニックに走る傾向が強い。概して、ヨーロッパ人のベースは音がダボついている。これがきらいだ。
言ってみれば、レイ・ブラウンやリチャード・デヴィスのような太く、逞しい音色を出すベーシストが少ないのだ。
唯一、このCDに参加しているジョージ・ムラツ(とかペデルセン)はその例外と言える。だから、購入したといっても良いだろう。それでも、このCDにおけるムラツの音はいつもの音と違う。「甘く」聞こえる。録音のせいだろうか?

今話題のピアニストだけあって演奏はなかなか快い。しかし、ムラツもフォスターもピアノに遠慮しているきらいがある。もっと、もっと煽って欲しかったなあ。互いを触発するような緊張感や躍動感があれば最高だった。

1曲目の "LOVE WALKED IN" から始まるどの曲も、心地よくサラーッとしている。4曲目のタイトル曲 "WHITE NIGHTS" は美しい曲だ。全体を通して、非常に洗練された大人のジャズという気がしないでもない。灰汁もなければ、刺激もない。こういうジャズもあってもよいし、こういうジャズを好む人も沢山いるだろう。僕にはチト食い足りないけれど。

昨晩、第3回目の「JAZZ・大音量の会」が開かれた。そこで紹介されたジョバンニ・ミラバッシのピアノ・ソロ・アルバムを早速、手に入れて紹介したいと思う。何しろ、ベースがいないから、これはイケルかも。    (2002.03.21)



VLADIMIR SHAFRANOV

独断的JAZZ批評 58.