"JUNIOR" JUNIOR MANCE(p), RAY BROWN(b), LEX HUMPHRIES(ds) 1959年録音

スウィンギーでグルーヴィー。ジャズ・ピアノのエッセンスを集めたような演奏。時に、こういう演奏を聴くと心底「ホッ」とする。僕にとっては「癒し系」のジャズと言える。

太く、大股で歩くかのようなレイ・ブラウンのベース。その上に乗ったマンスの力みのないスウィング感溢れるピアノ。シングル・トーンでもこれだけスウィングできるという証左。
シンプルに心行くまで楽しむために出来たレコード。ジャズの原点を思い知らせてくれる。

LPの時代にはB面の6曲目から聴くというのが定番だった。
6曲目 "SMALL FLY" のメロディが流れてくるとアドリブを含め最後まで口ずさんでしまう。何回となく聴いたミディアム・テンポの快い曲。ハンフリーのブラッシュワークとベースの原点を教えるレイ・ブラウンのウォーキング。全てが快いスウィングのためにある。
7曲目がマンスの "JUBILATION" 。ミディアム・ファーストの演奏は心地よい。ベース・ラインだけ聴いても面白いかも。
8曲目 "BIRK'S WORKS" はグルーヴィーなブルース。随所にレイ・ブラウンの好サポートが光る。ハンフリーも途中からスティックに持ち替えて、全員がグルーヴィーでエキサイティングな演奏に高揚していく。続く曲もブルースだが、一転してスローテンポ。スローにあっても、ブルース・フィーリングが溢れ出ている。ここではレイ・ブラウンのベース・ソロが堪能できる。

9曲目まで行ったら(A面に返って)、1曲目から聴いてみよう。3曲目 "WHISPER NOT" や "LOVE FOR SALE" といった、スタンダード・ナンバーも楽しい。
特筆すべきは
5曲目の "LILACKS IN THE RAIN"。先ず、出だしの1小節で「痺れる!」。そして、この美しい旋律のスロー・バラードを丁寧に歌い上げていく。ここでもピアノとベースの絡み方が印象的だ。テーマに続く8小節のマンスのアドリブが、また最高!グルーヴィーな演奏ばかりでなくリリシズムに溢れた一面も垣間見せてくれる。

全編を通して、レイ・ブラウンの力強いウォーキングの上で、軽やかに踊るマンスのピアノ。この絶妙なコンビネーションが何と言っても楽しい。
「口直し」という言葉があるが、まさに、このCDは
「耳直し」になる1枚。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。  (2002.03.16)



JUNIOR MANCE
「ホッ!」
とする楽しさ。

JAZZは楽しいと実感できる愛すべき1枚。

独断的JAZZ批評 57.