独断的JAZZ批評 723.

GIOVANNI MIRABASSI
哀し過ぎる、美し過ぎる、激し過ぎる情念が少しずつフィルターに掛けられた感じかも知れない
"ADELANTE !"
GIOVANNI MIRABASSI(p)
2011年5月 スタジオ録音 (VIDEOARTS MUSIC : VACM-7013)


GIOVANNI MIRABASSIの11年ぶりのソロ・アルバムである。2000年録音の"AVANTI!"の衝撃から11年の歳月が流れた。"AVANTI!"(JAZZ批評 60.)以来、ヨーロッパを代表するミュージシャンとして名を馳せ今日に至ったMIRABASSIがこのアルバムではどんなソロ・ピアノを聴かせてくれるのだろうか?
僕にとってはMIRABASSI10枚目のアルバムに当たる。そして、3度のライヴにも行っている。この間、MIRABASSIは毎年のようにメンバーを変え、確かなる自分のアイデンティティを捜し求めてきたのだと思う。そういう中にあっても、"AVANTI!"は今も燦然と輝くアルバムなのだ。
今度のアルバム"ADELANTE"は「インターナショナル」から始まって、「パルチザン」、「脱走兵」、「手紙」、「モスクワの世はふけて」、「絹織物工の歌」、「人生よありがとう」、「赤いポスター」、「生きる理由」といったタイトルだけでMIRABASSIが表現したかったことが言い表されていると思う。"AVANTI!"の延長線にあるMIRABASSI・ワールドと言えよう。

@"L'INTERNATIONALE" 「インターナショナル」
A"HASTA SIEMPRE" 
これは最初からない方が良かった。歌入りのトラック
B"THE PARTISAN" 
「パルチザン」
C"A LUTA CONTINUA" 
D"LE DESERTEUR" 
「脱走兵」
E"LA ESTACA" 
F"LILI MARLEEN" 
G"LA CARTA" 
「手紙」
H"GALLO ROJO GALLO NEGRO" 
I"ASSENTAMENTO" 
J"LIBERTANGO" 
K"YO ME QUEDO" 
L"GRAINE D'ANANAR" 
M"LE TEMPS DU MUGUET" 
「モスクワの夜はふけて」
N"UNO DE ABAJO" 
O"LE CHANT DES CANUTS" 
「絹織物工の歌」
P"GRACIAS A LA VIDA"
 「人生よありがとう」

ボーナス・トラック

Q「赤いポスター」 
R「生きる理由」
 

全部で19の曲が紹介されているが、手っ取り早く言うと「19曲、全部でひとつの曲」と考えたほうが理解が早い。言ってみれば、組曲のようなもの。19曲でひとつの物語が完結する・・・そういう感じ。人々の喜怒哀楽が歌になったような曲ばかりで、どちらかというとどの曲も哀愁を帯びており喜びよりも哀しみの方がより深い。
圧倒的な説得力を持っていた"AVANTI!"に比べると少し弱い。哀し過ぎる、美し過ぎる、激し過ぎる情念が少しずつフィルターに掛けられた感じかも知れない。   (2011.10.28)

試聴サイト : http://www.amazon.com/Adelante/dp/B005U3PLWE/ref=sr_1_cc_1?s
=music&ie=UTF8&qid=1318341287&sr=1-1-catcorr




..