覇気がない、躍動感がない、チャレンジ精神がない。
これが全て!
DAVID HAZELTINE TRIO "WALTZ FOR DEBBY"
DAVID HAZELTINE(p), GEORGE MRAZ(b), BILLY DRUMMOND(ds) 1998年録音

このCD、名手・ジョージ・ムラツとビリー・ドラモンドがサイドメンとして参加しているが、とてもそうは思えない演奏だ。なんとも印象に残らない演奏なのだ。何回聴いても、まるで、BGMのように流れてしまう。
ヘゼルタインのオリジナル1曲を除いて、全てビル・エバンスのオリジナルを揃えた意欲的な構成にもかかわらず演奏に個性がないし、インパクトも薄い。
結果として、BGMの印象しか残らない。かといって、悪い演奏かというとそうでもない。なんとも、中途半端なのだ。ただ、これだけのサイドメンを揃えたのだから、もうちょっと、何とかして欲しかった。
これも、企画倒れのクチだと思う。

ムラツのベースも本来のノリがない。JAZZ批評 20.で紹介したバリー・ハリスとの演奏と比べても雲泥の差なのだ。
ムラツというベーシストは僕のお気に入りである。確か、チェコのベーシストであるが、ヨーロッパの人に珍しく、ベースの音がダボついていない。硬めの伸びのある艶やかな音だ。ヨーロッパのベーシストは、概して、テクニックを誇るために弦がダボついていることが多い。柔らかい弦でギターのように弾くことがベースの役割だと勘違いしている輩が多い。その分、どうしても強いビート感、と躍動感に欠けてしまうのが常である。

ビート感、躍動感に加えて、ムラツのベースは良く歌うのだ。僕は、スタンダード・ナンバーを弾かせたら、ムラツの右に出るベーシストはいないと思っている。だから、最近の日本企画のピアノ・トリオの録音にはやたらと声が掛かるみたいだ。ファンの一人としては、もう少しチョイスして参加して欲しいというのが本音だが・・・。

詰まらない最大の原因はピアノだ。若いにもかかわらず、覇気がない、躍動感がない、チャレンジ精神がない。これがすべて!   (2002.03.14)





DAVID HAZELTINE

独断的JAZZ批評 56.