MASATOSHI SHOJI
書くこともあまりなくて困った
"WOOD STORY"
ANTHONY WONSEY(p), 庄司 正敏(b), 佐久間 正浩(ds)
2010年5月 スタジオ録音 (WOODY MUSIC : MS-2010)


リーダーの庄司正敏は日本とニューヨークでライヴ・セッションを重ね、共演者から"STRONG BEAT"と評されているらしい。「ベースはビート!」と常日頃思っている僕にはこの言葉は殺し文句だ。この一言でこのアルバムを購入したと言っても過言ではない。最近では日本のジャズ・ベーシストでも優れたミュージシャンが輩出している。北川潔をはじめ、岡田勉、安ヵ川大樹や川村竜もそういう一人。この庄司正敏は初めて聞く名前だ。
ピアノのANTHONY WONSEYはかつて、1枚のアルバム、"BLUES FOR HIROSHI"(JAZZ批評 222.)を紹介しているが、僕の評価はさっぱりだった。
この"WOOD STORY"は今年5月の日本ツアーの延長線で録音されたものらしい。いかにも自主制作盤と言わんばかりの安っぽいジャケット・デザインがいただけない。

@"WOOD STORY" 
"STRONG BEAT"という割には増幅に頼ったような音色だ。少なくとも張り詰めた弦を容赦なく弾いているという音色ではない。WONSEYのピアノに至っては場末のジャズ・クラブのような安っぽいサウンドにがっかり。続けて聴く意欲が萎える。
A"GIVING RAISER TO DOUBT" 
つまらないピアノだなあ。
B"DAAHOUD" 
ジャケットには"DAAFOUD"とあるけど、CLIFFORD BROWNの曲ならば、正しくは"DAAHOUD"だろう。高速4ビートを刻むけど、3者の一体感がないね。バラバラの感じ。
C"SONG FOR CONSTANCE" 
D"IF I WERE A BELL" 
ピアノの音色もフレーズもチープ。
E"MISTY〜SOMEONE TO WATCH OVER ME" 
WONSEYの独りよがりのピアノには閉口してしまう。
F"RELAXIN' AT CAMARILLO"
 CHARLIE PARKERの書いた名曲。このアルバムの中では一番出来が良いかも。

こういうアルバムに美しさまでは求めないが、全体に躍動感と一体感が不足していていかんともし難い。聴いているうちに、気持ちが萎えてしまって、何回も繰り返して聴く気にはなれない。書くこともあまりなくて困った。   (2010.09.27)

試聴サイト : http://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ100826-52



独断的JAZZ批評 652.