MICHELANGELO MAZZARI
これも授業料のうちだろう
"JIKYLL E HYDE"
MICHELANGELO MAZZARI(p), ENZO FRASSI(b), ERMANNO PRINCIPE(ds)
2007年5月 スタジオ録音 (MUSIC CENTER : BA 193 CD)


このMICHELANGELO MAZZARIは現在、ベルリンを中心に活動するイタリア人ピアニストらしい。ベースのFRASSIとドラムスのPRINCIPEも同じくイタリア人だという。最近、ALBORE JAZZから"MONKEY'S STATION"というアルバムを出しているが、あえてこのCDを選択してみた。で、結果から言うと、これはあまり良い選択とは言えなかったようだ。
MAZZARIは1974年生まれの新進気鋭のピアニストとして紹介されている。

@"LITTLE SUNFLOWER" 
何とも大げさなイントロで始まる。コケオドシで一発かましてやろうと考えたのかもしれない。確かに、McCOY TYNER的ではある。当たり前であるが、TYNER的であっても、決してTYNERであるわけではない。そういうことだ。ついでに言うと、ドタバタとしたドラムスがうるさい。
A"BLUES FOR HYDE" 
一体感と躍動感の欠如したブルース。このベースのウォーキングもソロもつまらない。全然、躍動感が湧いてこない。配慮の利かないドラムスは手数が多いだけで素人並みだし・・・躍動感が湧いてこない最大の要因はアンサンブルの欠如だろう。
B"EVERY TIME WE SAY GOODBYE" 
もって回ったまだるっこしいピアノに辟易する。
C"MAGNUS WALTZ - JYDE WALTZ" 
D"LAND OF MAKE BELIEVE" 
E"JEKILL'S DREAM" 
F"AUTUMN LEAVES" 
確かに、この3人には、この有名スタンダードをオーソドックスに演奏することはできないだろうね。ハード・ドライヴに叩きまわるドラムス。3者の一体感がないからドタバタうるさいだけ。
G"EVERY TIME WE SAY GOODBYE - solo piano" 
Bのトリオ演奏よりずーっと良い。やはりメンバーに恵まれなかったかなあ。
H"
POISON" 手数の多いドラミングを堪能できる?勘弁して欲しいなあ。

「何でもやります」的な色彩が強く、このピアニストならではの個性を感じない。掘り起こし的なアルバムというのは得てしてこういう傾向が強いが、発掘盤なら多少外れても仕方のないことか。まあ、コメントを書くのに苦労したといったら言い過ぎかもしれないが、聴いていて面白くないのだからしょうがない。それと、ベースとドラムスの人選を誤っているね。はっきり言って、この二人はトリオ向きではない。
こういうアルバムを一か八かで買ってみるのもいいが、日本にも良いアルバムは沢山あると最近気が付いた。少々気が付くのが遅かったが、こういう輸入盤を引き当ててしまうのは、これも授業料のうちだろう。
先に書いた新譜の"MONKY'S STATION"はサポートのメンバーが替わっているという。しかし、このピアニストでは二度と聴く気にはならない。   (2010.07.10)

参考サイト : http://www.myspace.com/michelangelomazzari




独断的JAZZ批評 635.