堅実さでまとまってしまったきらいがある
無難ではあるが面白みとスリルに欠ける
BARRY HARRIS
"BARRY HARRIS IN SPAIN"  
BARRY HARRIS(p),CHUCK ISRAELS(b),LEROY WILLIAMS(ds)  1991年12月録音

バリー・ハリスというとバド・パウエルの影響を今も引きずっているピアニストというイメージが強いが、もう随分前から独自の世界を創り出していると思う。
このCDとかJAZZ批評 20..で紹介した "FIRST TIME EVER" でもオリジナリティ豊かな独自の世界を創り上げている。随所で、バリー節とも言えるフレーズが聴ける。

リロイ・ウィリアムスはベースのロン・カーターとのトリオで "MAGNIFICENT!" というアルバムでも共演している、ハリスにとっては欠かせないドラマー。前述の "FIRST TIME EVER" も同じくリロイ・ウィリアムス。地味ではあるが堅実な穏やかなプレイをするドラマーだ。
チャック・イスラエルはビル・エヴァンスとの共演もあるが、ドラムス同様に堅実なプレイヤーと言える。2曲目のベース・ソロは良く歌って素晴らしい。

1曲目の "SWEET PEA" は、いかにもハリスお得意のマイナーなブルース・フィーリング溢れるA A' B A'の構成になる32小節のオリジナル。バリー節の聴き所。

ピアノ・トリオの特集雑誌の記事と、メンバーを見て購入を決めたが、満足度は今一歩。試聴も全く出来ずに「勘」に頼って購入したが、残念ながらはずれ!勿論、その雑誌にはバリー・ハリスの最高傑作として掲載されていた訳だけど・・・。
悪くはないのだけど、バリー・ハリスの過去の作品や "FIRST TIME EVER" を知っている者には物足りなさを感じてしまうのではないだろうか?結局、音楽は好き嫌いの世界だから、尺度になるのは自分の耳しかないと改めて実感。

演奏全体が堅実さでまとまっってしまったきらいがある。この点、前述の "FIRST TIME EVER" 方が伸び伸びと良くスウィングしている。なんと言っても、ベースのジョージ・ムラーツが強い刺激を与えているから。 (2002.01.14.)


独断的JAZZ批評 45.