独断的JAZZ批評 516.

ANDREA POZZA
ジャケットから受けるイメージが、いかにも、受け線狙いで損している
"LOVE WALKED IN"
ANDREA POZZA(p), NICOLA MURESU(b), SHANEY FORBES(ds)
2007年10月 スタジオ録音 (33RECRDS : 33JAZZ174)

ANDREA POZZAというピアニストは1965年生まれのイタリア人で、既に何枚かのアルバムを出しているらしい。13歳にしてデビューを飾ったというから驚きだ。自己のトリオになると、2003年に"INTRODUCING"というアルバムを録音しているので、そのあたりがトリオとしての実質的なデビューということになるのだろう。現在はSTEVE GROSSMAN, GIANNI BASSO, ENRICO RAVA, GEORGE ROBELT などとの共演があるようだ。

残念なのはジャケット・デザインだ。このデザインからは美メロ系甘口の受け線狙いのイメージしか浮かんでこない。ところが、丹念に聴いていくと、結構、芯もあるしグルーヴ感もある。このジャケット・イメージで多分に損をしているのではないだろうか?

@"LOVE WALKED IN" 
ジャケット・デザインと同様にこの演奏を1曲目に持ってきて、これも損しているね。特に、フリー・テンポのイントロが甘口でいけない。イン・テンポになってから小気味の良い4ビートを刻んでいくが、最初はガツンとAの"JUST IN TIME"とか、Hの"GET HAPPY"あたりを持ってくるとアルバムの雰囲気も随分と変わったんじゃないだろうか?
A"JUST IN TIME" 
ベースのソロで始まり、後に、アップ・テンポの4ビートを刻むとピアノとドラムスが絡んでくる。アグレッシブな演奏でちょっと意外な印象を持った。あの軽快なテーマは最後まで出てこない。こういう演奏が彼らの本来の持ち味かもしれない。
B
"GULL'S FLIGHT" POZZAのオリジナル。ピアノのフリー・テンポの演奏で始まり、スローなバラードを奏でていく。
C"BELLS" これもボサノバ・フィーリングのPOZZAの曲。
D"BLUES CONNOTATION" 
ORNETTE COLEMANの曲だという。このあたりはPOZZAの面目躍如というべきもので、達者なプレイを繰り広げる。こういう演奏を聴いているとバップ・スタイルに則ったプレイヤーでもある。
E
"SILENT WORK" マレットを使った長めのドラム・ソロで始まる。
F"SWEET AND LOVELY" 
G"CRAZY SHE CALLS ME" 
美しいバラードだが、甘さに流されることはない。芯のあるしっかりとした演奏だ。
H"GET HAPPY" 
この曲というと、BRAD MEHLDAUの"ANYTHING GOES"(JAZZ批評 181.)を思い出す。ここでは小気味の良いベースとドラムスの4ビートに乗ってPOZZAのピアノが楽しげに歌う。恐らく、これが一番、POZZAらしいのでは?本領発揮の1曲。
I"ORSON"
 最後はお決まりのようにしっとり系ピアノ・ソロ。

POZZAのオリジナルが、
BCEの3曲。それ以外がほとんどスタンダードと呼ばれている有名曲。甘口な演奏スタイルかと思いきや、全然違った。むしろ、バップ・スタイルに根ざした乗りのよいタイプ。いかんせん、ジャケットから受けるイメージが、いかにも、受け線狙いで損している。それと、もう少し録音が良ければ良かった。最近の録音の割にはリアリティに欠ける。   (2008.12.05)

参考サイト: http://www.myspace.com/andreapozza