薪による窖窯焼成 その12.













○平成20年6月3日の窯出しの自作品から釉薬モノ

2008年5月の楡窯の窯焚きは何でもありだったのだが、備前が多かった。
5月17日〜19日に窯詰め。22日から27日まで延べ120時間の薪による窖窯焼成。
そして、6月3日、待望の窯出し。
今回は釉薬モノを少なからず入れてみた。土と釉薬と温度の関係を実験してみたら、結構面白い結果がでた。その釉薬モノを紹介しよう。

ぐいのみの高台
・とりあえずぐいのみの高台はこんな具合だ
・窖窯の場合は釉薬モノでも高台まで釉薬をズブ掛けしても道具土で目止めをするので問題ない
・左の列から黒陶荒土、黄土、信楽(2列)、備前
●釉薬モノのぐいのみ
・黒陶荒土+藁灰白萩釉
・この5つのぐいのみは全て黒陶荒土と藁灰白萩釉の組み合わせ
・釉薬の厚い薄いはあるかもしれないが、焼成温度の差が焼き上がりに表れたといっていいだろう
・窖窯のどの位置に入れるか、温度が何度まで上がるかによってこれだけの違いが出た
・総じて、温度が高い場所は釉薬が溶けて透明に近い
・反して、温度が低目の場所は釉薬が溶け切っていないのでマット調だ
・真ん中の白萩釉は溶けて流れて、あたかも、朝鮮唐津のようだ
・黒陶荒土+志野釉
・黒陶荒土に志野釉を流し掛けした
・左の三角ぐいのみではかいらぎ模様
・右のぐいのみは掛け残した部分が景色になっている
・黄土+藁灰白萩釉
・いずれも黄土に藁灰白萩釉をズブ掛けしたもの
・焼成場所によって大きな違いが表れた
・温度が高いところは黄土の鉄分が色濃く出た
・低めのところは白色でマット調
・薪による窖窯焼成の面白さが象徴的に出たのではないだろうか
●焼き締めのぐいのみ
・備前土のぐいのみの高台
・底に藁を敷いて焼いたのでひだすきの文様
・信楽ぐいのみの高台
・道具土の目止めをした部分が白くなっている
・今回、ぐいのみをテストピースとして30個以上投入。なかでも、釉薬モノで土との相性をテストしてみた。結果、想像もしなかった面白い作品がいくつか取れた。だから、窖窯は面白い。焼き上がるまで、窯出しするまで作品の仕上がりが想像できないのだ。
まさに、「運」なのだ。
「悪女」のような振る舞いに僕らはいつも翻弄されてしまうのだ。そして、また懲りずに次回の挑戦を企んでいるのだ・・・。   (2008.06.09)