活き活きとしたトミフラの50年代後半の大傑作
ハード・バップ時代の連鎖の輪が
次々に広がっていく
TOMMY FLANAGAN TRIO "OVERSEAS"
TOMMY FLANAGAN(p),WILBUR LITTLE(b),ELVIN JONES(ds) 1957年8月録音

トミフラが亡くなった。享年、71歳。JAZZの歴史に欠かせない人だった。特にサイドメンとしての評価が高い。
その人が、リーダーとなってヨーロッパで録音して、皆が「あっ」と驚いた1枚。
あのエルヴィン・ジョーンズを従えて、活き活きと弾きまくるピアノ・トリオの傑作。やはり、やりたいことをやりたいように、節度をもって成したことは人に感動を与えるものだ。この節度の加減が凡人には難しい、と思う。

トミフラと言えば "OVERSEAS" というほどの代名詞&代表作。エルヴィンの力強くも脇役に徹したドラムスも一聴に値する。全編、ブラッシュで通したエルヴィンのドラミングは流石というしかない。時に優しく、時に力強く、軽快にスウィングしている。

1950年代の後半はハードバップ全盛時代だが、JAZZの歴史の中でも数多くの名作が輩出した時代でもある。
ぼくらの青春時代は、この時代のJAZZを聴き、酒を飲み、そして時代を語ったものだ。
兎に角、懐かしいのだ。これを聴いていると、ウィントン・ケリーやレッド・ガーランド、バリー・ハリス、ソニー・クラークと次々と連鎖の輪が広がっていく。

JAZZを聴き始めた人にも是非聴いてほしい。良かかりし時代の良かかりしJAZZを。
しち面倒臭いことも言う必要がない。聴いて、スウィングして気持ちよくなる。それで、十分なのだ。そういうJAZZなのだ。 (2001.12.02.) 


TOMMY FLANAGAN

独断的JAZZ批評 37.