SVEIN OLAV HERSTAD
"I WISH I KNEW"がこのアルバムの白眉
"DIG"
SVEIN OLAV HERSTAD(p), HARALD JOHNSEN(b), TORBJORN ENGAN(ds)
1993年6月 スタジオ録音 (CD SOH 0193)

今年の正月は喪中だったし、休みも世間並みにあったのでCDを聴くチャンスはいくらでもあった。ところが、いくらでも聴ける自由時間があったはあったで、なかなか聴こうとしないものだ。むしろ、忙しくしている時のほうがジャズを聴きたいと思ってしまう。やはり、僕の中では「ジャズは癒し」になっているのだろう。
昨年末にCDの入荷が集中し未聴在庫もたっぷりあるので、本来ならどんどん消化していかなければいけないのだが、そういう気にならなかった。このアルバムも昨年末に入荷した1枚。最近は店頭で試聴する機会がないので、ネット検索して1曲でも試聴しようと努力している。1曲でも聴いたか、聴いていないかの差は当たり外れに大きく影響している。最近は試聴できるURLまでリンクしてくれるネット・ショップがあるので、これは大助かりだ。
ところで、このアルバムの二つ折りのジャケットは上の写真が載っているだけ。CDケースの背面にメンバーの写真と曲目紹介があるだけで、至ってシンプル。というよりは、印刷忘れではないか、あるいは、海賊盤ではないかと思ったほどだ。この写真を見る限りメンバーは相当若い。もしかしたら10代かと思ってしまうほどだ。

@"I WISH I KNEW" 兎に角、この曲がこのアルバムの白眉。曲が良くて、ピアノとベースの相性もバッチリだ。ベースが良く効いている。じっくりと耳を傾けたい8分と15秒。
A"EIN TO TRE" HERSTADのオリジナル。ミディアム・テンポで3拍子を刻んでいく。後半にドラム・ソロを挟んでテーマに戻る。
B"CHERYL" CHARLIE PARKERの書いた泥臭いブルース。ベースの刻む4ビートが心地よい。よく歌うベース・ソロとドラムスとの12小節交換を挟んでテーマに戻る。
C"ELLEN" この曲はベースのH. JOHNSENの書いたスロー・バラード。徐々に高揚感が増してくる8分と58秒。

D"ALTO ACRES" 高速4ビートの2分15秒。運指にも多少の乱れがあり、アドリブでは同じような節回しが随所に出てくる。高速なので余裕がなくてついつい同じ節回しを使ってしまったのだろうが、多少耳につく。ドラムスのソロを経てテーマに戻る。掛け声も聞こえる。
E"SVANTES LYKKELIGE" しっとり系の美しいテーマで始まり、ミディアム・テンポの6/8を刻みだすと徐々に高揚感が増してくる。このピアニストの癖なのかもしれないが前の曲で頻繁に聞ける節回しがここでも顕在だ。ピアノ〜ベースと繋いでテーマに戻る。
F"WHERE ARE YOU " これもしっとり系のバラード。しっとりと聞かせる5分53秒。

ジャケットに写っている3人はいかにも童顔だ。ネットでバイオグラフィを調べようとしたが、不明だ。録音当時、20歳代前半だろうと思われる。
このピアニスト、@やC、そしてGのようなスローな歌モノのが上手い。若いのに歌心がある。これから経験を積んで引き出しを一杯持つようになればもっと良くなるに違いない。さらに言えば、ブルースやグルーヴィな曲が上手くなったら鬼に金棒だろう。
そんな楽しみをもったピアニストと思っっていたのだが、このアルバムから10年経った2002年作の"SOMMERREGEN"の一部がネットで試聴できるので聴いてみた。期待に反して、やや理屈っぽいスタイルに変貌していたのでちょっとびっくりした。   (2008.01.08)



独断的JAZZ批評 458.