独断的JAZZ批評 325.

NIELS LAN DOKY
右の耳から左の耳へ、音がスーッと流れていってしまう感じ
"HERE OR THERE"
NIELS LAN DOKY(p), NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(b), ALVIN QUEEN(ds)
1986年1月 スタジオ録音 (STRYVILLE STCD 4117)

今は亡きPEDERSEN、全盛期の迫力あるプレイが堪能できる
NIELS LAN DOKYとの共演も興味をそそるが・・・

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NIELS LAN DOKYと言えば、最近作は"TRIO MONTMARTRE"という名称でアルバムが発売されている。CDショップで試聴する機会は何回かあったが、購入までに至ったことがない。如何にもと言っては何だが、日本人向けの匂いのするヨーロッパ的リリシズム溢れる演奏という感じで、レコード会社の意向が強く出たアルバムという印象を持っていた。
このアルバムは20年遡るSTORYVILLE RECORDSによる1986年の録音だ。1993年録音でGARY PEACOCKがベースを務めているアルバムとどちらを買うかで迷ったが、試聴の結果、PEDERSENがベースを弾いているこのアルバムを選んだ。

6曲中、
Eを除く5曲がDOKYのオリジナルという意欲的アルバムだ。しかし、残念ながら、このオリジナル曲があまり面白くない。何故か、無機的な匂いのする曲が多く、色艶に欠ける。それと豪腕ベーシスト・PEDERSENとベテランドラマー・QUEENの間に挟まれて、DOKYは実力のほどを発揮できなかったのではないか。豪腕サイドメンの二人に若手のDOKYが食われてしまっている。PEDERSENに対抗するためにはKENNY DREW(JAZZ批評 49. & 292.)くらいの実力者でないと少し荷が重かったのかも知れない。

バイオグラフィを調べると、ベーシストの
CHRIS MINH DOKYは弟にあたるらしい。DOKY BROTHERSと銘打ってアルバムも出しているようだ。


@"I WANT YOU" ベースはゴリゴリ、ドラムスはビシバシ。
A"OKTOBERHILSEN" しっとり系バラード。
B"HERE OR THERE" 
C"I THINK ABOUT YOU" 
D"PEACEFUL" 
PEDERSENがテーマを執るが・・・。
E"ALONE TOGETHER" いつものようにPEDERSENのベースは唸りを上げてグイグイ引っ張っていくが、やはり、ピアノの線が細い。まあ、録音バランスも決して良いとは言えないが・・・。まるでベースが主役のような録音だ。そいうことがあったとしても、3者の心の触れ合いみたいな温もりを感じさせないのが最大の敗因だろう。

トリオとしての緊密感や一体感が欠けていると思う。従って、聴いていてもテンションが上がって来ない。右の耳から左の耳へ、音がスーッと流れていってしまう感じ。   (2006.02.24)