JAZZ雑感 12.
「manaの厳選 PIANO TRIO & α」に100枚を数えて
2001年5月にHPを立ち上げて以来4年と3ヶ月が経過した。この間、アップしたレビューの数は285、そのうち「manaの厳選"PIANO & α"」にピック・アップしたものが合計100枚になった。100/285=0.351という5つ星の確率は高かったのか低かったのか?野球の世界では、打率で3割5分というのは高打率と言えるだろう。しかしこの場合はどうだろうか?少なくとも、僕は全て「厳選」狙いで購入しているわけだし、本音を言えば5割くらいの確率が欲しいものだ。これは欲張りすぎだろうか?
何はともあれ、100枚まで来たということと285枚までレビューをアップして来たというのは、我ながら良くぞ続いたという感慨がある。

ここまでをひとつの区切りとして、振り返ってみると

@評価の基準は「美しさ、躍動感、緊密感(緊迫感)」である。
 
今まで285枚のCDレビューの基準は全てこの3点に尽きる。「独断的JAZZ批評」と銘打っているようにあくまでも僕の主観でレビューし、選んできた。本音で言えば、そうは言っても中には5つ★を勢いで点けてしまったと思うものも何枚かある。それはそれで、その時点では良いと思って点けたことは間違いない。

A当初、北欧のジャズなんてジャズじゃないと思っていた。

 これは紛れもない事実である。しかし、4年後の現実はヨーロッパのジャズが確実にレビューのメインになっている。昔、ヨーロッパのジャズはクラッシク教育の上に成り立っているから頭でっかちだとか、矢鱈甘いという印象を持っていたが、ここ数年、事情は一変したと思う。クラシックという音楽の基礎の上に、抜群のテクニックに加えて表現力の豊かさやストレートな感情表現がアメリカのジャズを超えようとしている。
ミュージシャンの活躍ぶりを見れば、それが全てを表しているだろう。

Bテーマの重要性。
 最近、特に感じるのがテーマの重要性。ジャズと言えどもテーマがあり、そのテーマのコード進行に倣って演奏されるわけであるから、そのテーマが良くなくては良いアドリブも生まれないと感じるのだ。例えば、「枯葉(AUTUMN LEAVES)」はA / A' / C / B 形式で、各8小節ずつの計32小節で成り立っているし、これを1コーラスとしてアドリブが展開されていく。同様にブルースも12小節の枠の中でアドリブが展開されていく。基本的にはそのテーマにおけるコード進行の中でアドリブが展開されるわけなのでテーマにおける曲想がアドリブにも影響を及ぼしている筈だ。従って、「良いテーマに良いアドリブあり!」となるのである。ややもするとアドリブに目が行ってしまいテーマをないがしろにしているアルバムも散見される。この厳選に選んだ100枚はいずれ劣らず、音楽として、曲として美しく演奏されていると思うのだ。

Cスタンダード・ナンバーとオリジナル
 
JAZZにおけるスタンダード・ナンバーは上記の「枯葉」のようにシャンソンからジャズ・チューンになった曲も多いし、ジャズ・ジャイアンツの手になる曲も多い。スタンダードは多くの人に支持されて現在に至ったのであるから、皆が認める「いい曲」なのだ。これらに匹敵する曲を書くというのもミュージシャンの大事な仕事だ。最近、売線狙いでオール・スタンダードというアルバムも珍しくないが、何曲かはオリジナルを入れて意地を示して欲しいものだ。逆に、全曲オリジナルで構成されたアルバムというと一目置くことになる。そして、それを世に出したレコード会社の勇気を買いたいと思うのだ。

DJAZZを聴くことは癒しである
 いいJAZZを聴くことは本当に楽しい。時間が過ぎることを忘れてしまう。同時に快い癒しの時間を与えてくれることになる。僕にとって、お気に入りのJAZZほど眠気を誘うのだ。耳と心に心地よくてついつい睡魔に襲われるのである。まさに、「いいJAZZは子守唄」である。
逆に、3.5★以下のアルバムというのは眠気を誘うどころか、目が冴えてしまうのだ。残念ながら、いい気持ちにはしてくれない。

E試聴機会
 良いCD選びは試聴の如何に関わっている。何と言っても、自分の耳で聴くことこそ、最大にして唯一のいいCD選びのコツであると言えよう。販売店の試聴機で確認する、それが駄目ならネットで検索する。それでも駄目ならあとは「勘」で買う。メンバーを見たり、他のCD評を参考にしたりして購入するわけであるが、この場合は上手くいくケースはそうそうあるとは言えない。


Fライフ・ワーク
 
一体、いつまで続けられるのだろう?仮に1000レビューとすると、今のペースであと10年掛かることになる。どうせなら、このくらい大きな目標を持ちたいものだが、果たして、耳の体力と根気が続くだろうか?

そんなこんなを感じながら次の300レビューに向けて頑張って行きたいと思う。   (2005.07.31)



独断的JAZZ批評 285.