MARC COPLAND
いわば、不協和音みたいなもので、これがあるから協和音がより一層引き立ってくるのだ
"BRAND NEW"
MARC COPLAND(p), JOHN ABERCROMBIE(g), KENNY WHEELER(tr,flh)
2004年10月 スタジオ録音 (CHALLENGE JAZZ CHR 70122) 

MARC COPLANDのピアノにギターとフリューゲルホンもしくはトランペットの変則トリオである。COPLANDというピアニストは初登場である。以前、"HAUNTED HEART & OTHER BALLADS"というCDを持っていたが、あまり気に入らず掲載することなく処分してしまった。
変則トリオというとJAZZ批評 164."MIRABASSI BOLTRO FERRIS"が直ぐ想起される。ピアノ+トランペット+トロンボーンというリズム陣なしの変則トリオであったが、溢れる出る躍動感に感動したものだった。これは凄いと思ったものだ。であれば、ピアノ+ギター+フリューゲルホンのトリオでも溢れ出る躍動感が期待できるかと思ったが・・・。やはりこれはリーダーであるピアニスト、その人が持つコンセプトの違いによって変わってくるものなのだろう。

このアルバムであるが、前述の"HAUNTED HEART・・・・"と同様にバラード中心に構成されていて溢れ出る躍動感は期待できない。僕はどうもこの手の音楽は苦手で、はっきり言って「面白くない」 
加えて、ギターのABERCROMBIEにもワン・ホーンのWHEELERにも「音に切れ」がない。特に、WHEELERのフリューゲルホンはハイ・トーンもロング・トーンもちょっと辛いところがある。昔から「ジャズは体力だ!」と言われてきたものだが、WHEELERには少しきつかったか。WHEELERをネットで調べたら1930年生まれということだから録音時74歳になる。年をとれば誰しもそうだが、唇の筋力がなくなってきて切れのある音が出しにくくなるのだろう。これは管楽器奏者の宿命とも言うべきものだと思う。
ABERCROMBIEのギターも若年寄みたいで刺激的でない。
・・・というような調子なので、残念ながら僕の波長には合わない。3回ほど全曲繰り返して聴いたが、ここまでが限界だ。

BとHを除く全ての曲が3人いずれかの作品。テーマもバラード調が多い。

@"MONK SPRING" 
A"LIGHTS OUT" NAT ADDERLEYの曲。
B"JIVE SAMBA" 
C"REACH FOR THAT OTHER PLACE" 
D"TAKE FOUR" 
E"BRAND NEW" 
F"ODYSSEY" 
G"WATCHING SIMONA" 
H"TAKING A CHANCE ON LOVE" 

中にはこういう波長の合わないジャズもあって当然だろう。いわば、不協和音みたいなもので、これがあるから協和音がより一層引き立ってくるというものだ。
では、次回掲載アルバムに期待しよう。   (2005.07.23)



独断的JAZZ批評 283.