HAN BENNINK
端的に言うと、
また聴きたいと思わせるテーマの曲がないということかな
"HOME SAFELY"
CURTIS CLARK(p), ERNST GLERUM(b), HAN BENNINK(ds)
1994年 スタジオ録音 (FAVORITE FAVORITE 1) 

このアルバムはDISK UNIONの「上半期通販売上ベスト30」として掲載されていたうちの1枚。その中には当サイトでレビュー済みのものも8枚程度含まれている。今回はその30枚の中から未入手であり、興味を覚えるピアノ・トリオを数点ピックアップして掲載していこうと思う。
この後、以下の2枚を適宜、掲載していきたいと思う。
@ENRICO PIERANUNZI "SPECIAL ENCOUNTER"
AMARC COPLAND "BRAND NEW"

最初の1枚が今回のアルバム。ドラムスがリーダーのピアノ・トリオだ。正しくは、ドラムス・トリオと言った方が良いかも知れない。全曲、ピアニスト、CURTIS CLARKのオリジナルであるが、賛否の分かれるところであろう。

さて、このアルバムであるが・・・。
@"HOME SAFELY" やはり、この曲がベストかな?BENNINKの軽妙なブラッシュ・ワークで始まり、徐々に高揚感を増していく。このドラムスは上手い!フリー・ジャズも手掛けるというが、ブラッシュもスティックも上手い。高揚感がピークになるあたりでスティックに持ち替える。このシンバリングの巧みさも印象的だ。
A"MISS T" 
B"BALLAD OF JAKE SPOON" 
C"ESPACE THEATRAL" 

D"ANOTHER BLUES" 唯一のしっとり系ワルツ。
E"SEAN" これでもかというくらいの灰汁の強い曲。
F"SOPHIA" 
G"DUPED" 
H"SPOOKY CONVERSATIONS" 
I"SCRATCHED"
J"MARSEILLE"
K"LETTER TO SOUTH AFRICA" 
ベースのアルコ・ソロで始まるバラード。

ピアノ・トリオとしての完成度としてはいかがなものだろう?確かに、ドラムス・トリオとして聴くとなかなか良いと思うのだが、ピアノ・トリオとしては期待したほどではなかった。CURTIS CLARKのピアノも面白いとは感じなかった。選曲にも一因があるかも知れない。スタンダードが全く無く、その上、メロディアスな曲もあまりないこともあって、親しみに欠ける。相当、聴き込んだが、もうひとつ納得も行かない。無機的とまでは言わないが、艶っぽさに欠ける。
端的に言うと、また聴きたいと思わせるテーマの曲がないということかな。だから、一度に全曲を聴こうとせずに、1〜2曲位に留めて、時々聴くくらいの方が良いかも知れない。   (2005.07.13)



独断的JAZZ批評 281.