DAVID GORDON
力量充分だと思うが、何かしっくり来ない印象を残してしまう
"ANGEL FEET"
DAVID GORDON(p), OLE RASMUSSEN(b), PAUL CAVACIUTI(ds)
2002年12月 スタジオ録音 (ZAH ZAH ZZCD 9819) 

今、話題のピアニストらしい。いつもお世話になっているDISKNOTEに予約注文を入れて待つこと1ヶ月でゲット。イギリスのピアニストにデンマークのベーシスト、アメリカのドラマーという多彩な組み合わせのトリオだ。

@"ANGEL FEET" いきなり聴かせてくれますね。高音部でのリズミックでブルージーなピアノがいい。太いベースの音色、軽やかなスティック・ワークの間隙を縫ってピアノのシングルトーンが飛び跳ねる。ベース・ソロを経てテーマに戻る。

A"THE ALCHEMIST AND THE CATFLAP" 切れのあるピアノのアップ・テンポで始まるが、途中に間延びしたベース・ソロを挟む。これは不要では?結構、細かい取り決めがあるようだが、アレンジに懲りすぎの印象も拭いきれない。最後はガーと来てピタッと止まるが、良くあるパターンだ。これだけの実力者、もっとストレートな表現の方が良かったのではないかと思ってしまう。

B"ENGLISH ISOBARS" 
C"I REMEMBER YOU" 
スタンダード・ナンバー。長めのイントロから2ビートのテーマに入る。徐々にテンションが高まってきて一気呵成に4-ビートに突き進むと思った瞬間にベース・ソロが入る。どうもタイミングが悪い。勢いが萎えてしまうのだ。
D"BEBOP TANGO" 
4ビートの合間にタンゴが入る、そういう感じ。勿体ないなあ・・・。

E"FRANCESCO'S RHUMBA" 
ルンバの間に・・・・やはり、ルンバがあった。
F"PAVANNE TOMBEAU" 
G"SNAKES AND LADDERS" 
H"GOOD MORNING HEARTACHE" 
スローだがグルーヴィで情感に訴える演奏。
I"VOYAGE" 
どうもピアノとベースのマッチングが良くない。

力量充分だと思うが、何かしっくり来ない印象を残してしまう。策に溺れたとでもいうのだろうか。全体に懲りすぎである。ストレートに演奏したほうが余程持ち味が出ると思うのだが、それが出来ないのがプロの罠なのかもしれない。従って、1995年に結成したユニットだというが、その割りにグループとしての完成度に疑問符が付く。特にベースとの相性がもうひとつ。ドラムスもブラッシュ・ワークが多くて遠慮がちなのもマイナス要因だ。
それと、無機的な印象が残ってしまう。3者、それぞれになかなかの使い手とは思うのだが、少しテクニックや技巧に走ったか?心を癒す安らぎみたいなものが欠けている。
このピアニスト、DAVID GORDONは面白そうだ。むしろ、違うトリオの組み合わせで聴いてみたいと思った。もっとピアノが活きる組み合わせがあるように思う。   (2005.03.12)



独断的JAZZ批評 257.