HAROLD DANKO
"TRILIX"
HAROLD DANKO(p), MICHAEL FORMANEK(b), JEFF HIRSHFIELD(ds),
2003年4月 スタジオ録音 (STEEPLE CHASE SCCD 31551) 

@"FLIGHT TO JORDAN" 
A"PEE WEE" 
B"ELM" 
C"I WISHED ON THE MOON" 
D"BLOOD COUNT" 
E"MONK'S DREAM" 

F"WHAT WAS" この曲はCHICK COREA の書いた曲で、このアルバムの全てはこの曲で台無しになったと言わざるを得ない。何故なら、CHICK COREAこそ僕がジャズにのめり込んだ最大の原因を作ったピアニストであり、さらには、この"WHAT WAS"が入ったアルバムこそがそれにあたるからだ。"NOW HE SINGS , NOW HE SOBS"こそCOREAの最高傑作であり、ピアノ・トリオの最高峰としてジャズの歴史に刻まれる1枚だと今も思っている。
残念ながら、この"TRILIX"におけるこの曲はCOREAの演奏を超えるものでは到底ない。
余談になるが、CHICK COREAにはそれ以降、そのアルバムを超えるアルバムがない。最初にして最後のアルバムにはならぬことを願っているが、その願いは叶いそうにない。
それにしても、この"NOW HE SINGS,・・・"は今もって色褪せない刺激に満ちた演奏である。躍動感、緊密感、美しさ、更に加えて息をもつかせぬスリリングさが横溢している。

本音を言えば、ここでリンクを張っているJAZZ批評 1.のCD盤はお奨めではない。初めて聴く方は、是非、LPレコードを聴いてい欲しいのだ。当初、Solid Stateに吹き込んだアナログLPが、1976年にBLUE NOTEからCDとして発売になるときに新たに8曲が追加された。従って、コンセプトが歪んだ滅茶苦茶なアルバムとなってしまった。全く余計なお世話なのだが、今、手に入れられるCDはこのことを覚悟しなければならない。是非、LP盤で無駄のないコンセプトのしっかりしたアルバムを楽しんでもらいたいと思うのだが、肝心要のLP盤が今も入手可能なのかはさっぱり僕には分からない。最悪の場合はCDを購入した上で、LP用の5曲をチョイスして聴いてもらいたい。
これを機会に改めて聴きなおしてみたが、いまだに色褪せることのない瑞々しさに溢れた傑作であることに何の変化もない。

G"DAMNED IF I KNOW" 
H"SISTER SALVATION" 

このDANKOのアルバムに関して言えば、DANKOの不運としか言いようがない。運悪くFを入れてしまったばかりに焦点のぼけたレビューとなってしまった。気の毒をしたと思っている。
僕に最初のジャズの感動を与えてくれたアルバム"NOW HE SINGS , NOW HE SOBS"への思い入れがこれほどまでに強いということでご勘弁願いたい。   (2005.02.19)



独断的JAZZ批評 252.