FRANCK AMSALLEM
ピアノから発する放射熱が足りない・・・そういう感じ
"OUT A DAY"
FRANCK AMSALLEM(p), GARY PEACOCK(b), BILL STEWART(ds),
1990年7月 スタジオ録音 (NOCTURNE NTCD360) 

BILL STEWARTというドラマーは僕の所蔵するアルバムの中では、1994年のJOHN SCOFIELD & PAT METHENYとのアルバム(JAZZ批評 7.)が最も古いと思うだが、このアルバム"OUT A DAY"は更に古い1990年の録音。しかも、ベースに当時も"STANDARS"のベーシストとして活躍していたGARY PEACOCKが参加している。最強のリズム陣を従えてのピアノ・トリオ・アルバムである。
生憎、僕はこのピアニストを全く知らなかった。正直に言って、このアルバムを聴く限り記憶に残るピアニストとは言えないだろう。全曲、FRANCK AMSALLEMの作曲という意欲的アルバムではあるのだが・・・。

@"OUT A DAY" ドラムスが刻みベースが唸る。さて、ピアノは・・・・放射熱がないなあ。最後にドラムスのソロで締めくくる。流石のドラミングである。
A"FOR THE RECORD" ドラムスのソロで始まり、ベースが絡む。PEACOCKを向こうに回して主役は若きSTEWARTにある。
B"HOW DEEP IS THE OCEAN" ピアノのイントロで始まり、テーマからベースとドラムスが絡む。ミディアム・テンポでの力強いサポートを得てピアノが遠慮がちに歌う。やはり、ピアノから発する放射熱が足りない・・・そういう感じ。
C"...AND KEEP THIS PLACE IN MIND・・・・" 矢鱈長ったらしい曲名のついた曲でこれでも半分で端折った。演奏も似たような感じで冗漫な印象が残る。

D"RUNNING AFTER ETERNITY" このアルバムの象徴的1曲。アップテンポの4ビートでドラムスとベースが躍動していく。特にSTEWARTのドラムスには鬼気迫るものがある。1990年というと未だSTEWARTは売れっ子というほどにはなっていない。この演奏を聴く限り、今の活躍を予感させるドラミングである。勿論、ベースのPEACOCKはいつもひたむきで強靭なベースを弾いている。ただ、ピアノのAMSALLEMには不満だ。PEACOCKとSTEWARTが熱い4ビートを刻み煽っているのだが、なかなか反応しない。熱い魂のほとばしりを感じないのだ。これだけリズム陣が煽っているのだから情熱剥き出しのピアノを弾いて欲しかった。
このことがこのアルバムの全て。

E"DEE" 美しくも軽いノリの曲。
F"ON YOUR OWN" 大仰なテーマ。
G"AFFREUSEMENT VOTRE" この切れ味が鋭くて、良く歌うSTEWARTのドラミングをジックリとお聴きいただきたい。
H"A TIME FOR LOVE" しっとり系バラード。このピアニストにはこういう系統の曲が合っているかも。

悪いアルバムではないのだが、少々食い足りないアルバムなのだ。折角の強靭サポートも生かしきれないままに終わってしまった。肝心のリーダーが「笛吹けど踊らず」というのではちょっと寂しい。その一方で、BILL STEWARTの1990年当時の実力が確認できたのは嬉しい限りだ。今や、ジャズ界を代表するドラマーに成長した足跡を確認するには良いアルバムだった。   (2005.01.26)



独断的JAZZ批評 247.