BRUNO HUBERT
善意に解釈すれば個性的とか独創的という評価もできるのだろうけど、やはり、これは下手と言った方がいいでしょう
"GET OUT OF TOWN"
BRUNO HUBERT(p), ANDRE LACHANCE(b), BRAD TURNER(ds)
2002年1月 ライヴ録音 (CELLAR LIVE CL011402) 

珍しくカナダからのピアノ・トリオだ。3人とも30歳代だからの脂の乗り切った年齢と言えるのだろうか?確かにカナダ盤という珍しさはあるが、やはりそこから生まれる音楽がどう心を捉えるかだ。

最初に結論を言ってしまおう。これは「外れ」だと。僕にとって、決定的に受け入れられないのは躍動感溢れる4ビートがほとんどないということだ。これじゃあ、まるで「場末のジャズ・ライヴ」だ。尤も、場末のジャズ・クラブと4ビートは何の関係も無いのだが・・・。ライヴなのに拍手も疎ら。リスナーが数人しかいないような寂しい反応だ。ライヴの白熱する熱気もテンションの高さも伝わってこない。演奏も粗い。リズム陣はまだしも、ピアノがいただけないね。
演奏曲目にはスタンダード・ナンバー、もしくはそれに準ずるナンバーがオンパレード。良く知っている曲が多いだけに演奏の解釈に疑問符をつけたくなる。まあ、よくいわれることだが、スタンダード・ナンバー故に、人とは違うスタイルで演奏したいというプロの陥る罠だね。まさにその罠に嵌って身動きが取れなくなったという感じ。時々、道に迷った子供みたいに意味不明なフレーズも散見される。

@"COST OF LIVING" 
A"SIMONE" 
B"ALL BLUES" これが"ALL BLUES"ねえ!
C"NICA'S DREAM" 
D"FOR DAN" 
E"GE OUT OF TOWN" 
F"CARAVAN" 
G"THE MAN I LOVE'" 時々、道に迷子になったようなフレーズが・・・。
H"A NIGHT IN TUNISIA" 
I"MERCY,MERCY,MERCY" 

正直に言って、最後まで一気に聴き通すのは苦痛だった。善意に解釈すれば個性的とか独創的という評価も出来るのだろうけど、やはり、これは下手と言った方がいいでしょう。   (2004.10.15)



独断的JAZZ批評 226.