ヨーロッパのジャズに食傷したら、
こういうアメリカのジャズでお口(お耳)直しというのも良いかも知れない
"LIVE AT YOSHI'S  VOLUME ONE"
MULGREW MILLER(p), DERRICK HODGE(b), KARRIEM RIGGINS(ds)
2003年7月 ライヴ録音 (MAXJAZZ MXJ 208) 

スウィング感に溢れるライヴ盤である。この手のアルバムを聴く時は、やはり、アルコールを一杯、臓物に染み渡らせてテンションを高めて聴きたいものだ。当然、ライヴ・ハウスの聴衆にはアルコールがタップリと入っていて、否応にも、テンションは高まっているだろう。
ところで、このライヴ・ハウスはカルフォルニア・オークランドにある高級寿司屋らしい。インターネットで確認した限り、馬鹿でかい店のようだ。何しろ、"WORLD CLASS JAZZ HOUSE & JAPANESE RESTAURANT"と銘打っているくらいだから。しかし、握りを頬張りながらジャズが聴けるのかどうかは分からない。
ヨーロッパのジャズに食傷気味になったら、こんな典型的なアメリカのジャズを聴いてみるのも良いだろう。
 

@"IF I WERE A BELL" 
お馴染みのスタンダード・ナンバーでスタート。2ビートで数コーラス。その後、4ビートに変わるが、ゴリゴリ弾くベースにドライブ感があって、皆がグイグイ引っ張られる。約12分の長丁場。
A"WALTZ FOR MONK" 
ワルツ。
B"O GRANDE AMOR" A C.JOBIMの手になる軽快な
ボサノバ。
C"THE ORGAN GRINDER" 

D"PEACE" 
スローでありながら歯切れの良いピアノを聞かせてくれる。強いピチカートでビート感溢れるベースのソロが花を添える。
E"DON'T YOU KNOW I CARE" 
10分を超えるメランコリックなバラード。2ビート→5分過ぎあたりから4ビート→7分過ぎあたりからピアノソロ で終わる。このピアニスト、どちらかというと音符の多い饒舌型だ。一瞬、OSCAR PETERSONやPHINEAS NEWBORN JR.を想起させる。

F"WHAT A DIFFERENCE A DAY MAKES" 
美しいテーマのスタンダードも結構、泥臭く演奏している。まさに、アメリカン・フィーリング。ここではベースのアルコ弾きが聴ける。Dにおけるピチカート奏法の方が数倍いいと思うが、いかがなもんだろう?
G"PRESSING THE ISSUE" 
ハードなアップ・テンポのオリジナル。

今回のアルバムは7月の22日と23日の2日間にわたってライヴ録音されたもののうちの1枚。タイトルには"VOLUME ONE"とあるので、近々、"VOLUME TWO"が発売されるのだろう。
ヨーロッパのジャズに食傷したら、こういうアメリカのジャズでお口(お耳)直しというのも良いかも知れない。
  
 (2004.07.10)


 
MULGREW MILLER

独断的JAZZ批評 207.