各曲の曲想が似ていて、どの曲聴いても代わり映えしないというのが率直な感想
"TRIO LIVE"
IVAN PADUART(p), STEFAN LIEVESTRO(b), HANS VAN OOSTERHOUT(ds)
1999年11月 ライヴ録音 (VIRGIN MUSIC BELGIUM 8113072)


IVAN PADUARTはベルギーのピアニストらしい。最近作では2003年のスタジオ録音盤も出ているようだ。こういう未体験のプレイヤーのアルバムを聴くというのは期待と不安の入り混じるものだ。
先ずは、その演奏をじっくり聴いてみよう。

@"SOLSTICE D'ETE" いかにもKIETH JARRETT的、牧歌的フィーリングで始まるPADUARTのオリジナル。美しくい良い曲だ。ボサノバ調でもあるし、若い女性に受けそうな印象。軽いと言えば軽いが。
A"SUSPONE" ハード・ドライブのアップ・テンポの数少ない4ビート演奏の曲。ベースの4ビートがいまいち。余裕がない。音も良くない。音がモゴモゴしているからビート感を感じない。これはライヴ盤だから仕方ないという録音レベルの問題とは違うと思う。

B"STEPS IN THE SNOW" この曲もオリジナル。長めのドラムス・ソロあり。
C"IF WE COULD" PADUARTのオリジナル。甘い香りのするジャズらしくない曲。当然、4ビートではない。ブルージーな土臭さは微塵もない。ヨーロッパ的な牧歌的フィーリングと言えばいいのだろうか?
D"BALLOONS" これもオリジナル。アドリブに入ってから4ビートを刻むが、4ビートの心地よさとドライブ感が湧いてこない。どうも、リズム陣のコンビネーションがしっくり来ない。特にドラムスは手数ばかりが多いという印象。もともと4ビートを得意とするプレイヤーではないのだろう。ノリがロック系のノリだ。

E"RAINWALTZ" F.HERSCH(JAZZ批評 127.)の曲。
F"LISBONNE" 
G"SKIN DEEP" スロー・バラード。ベース・ソロがあるのだが、このベース、音がこすれている。弦をはじいて生まれるビート感が弱い。
H"THINKING OF YOU"
I"I'LL REMEMBER APRIL" 
 
全体的な印象としてはベースとドラムスのコンビネーションが今ひとつしっくり来ないのと、ベースのピチカートにビート感がないのがマイナス点。
ピアノのIVAN PADUARTにも特に強い個性が感じられるわけでもなく、月並みと言えば月並み。
各曲の曲想が似ていてどの曲聴いても代わり映えしないというのが率直な感想。実際のナマ演奏を聴けば、また違った印象を持つかもしれない。この辺が、ライヴ盤をCD化する難しさというものだろう。   (2004.04.11)



IVAN PADUART

独断的JAZZ批評 190.