ピアノ・トリオというのは3人揃ってナンボの世界だと思う
そういう意味ではリズム陣に恵まれなかった   
"UN PO' COME....NOI"
DINO MASSA(p), PIERO LEVERATTO(b), CLAUDIO BORRELLI(ds)
2000年 スタジオ録音 (PANASTUDIO JAZZ CDJ 1117-2)

ヨーロッパのジャズの中にあって、このイタリアのピアニストというのは個性豊かなプレイヤーが多く、ヨーロッパにありがちな叙情性や透明感とは一線を画しているケースが多い。代表的なピアニストとしてはGIOVANNI MIRABASSI、ANTONIO FARAO、ANDREA BENEVENTANO、ENRICO PIERANUNZI、NICO MORELLIなどが挙げられる。以上は既に1枚以上のアルバム紹介をしている。詳細はINDEX(A TO Z)をご覧いただきたい。

今回紹介するDINO MASSAというピアニストはほとんど無名のプレイヤーらしい。僕も初めてアルバムを聴いた。特に際立った個性がある訳でもなく中間的な位置に属するだろうか。
ベーシストのPIERO LEVERATTOは速弾きが得意らしい。ベース・ソロで速弾きするなら歌心を発揮しなければいけない。でないと、単に指が早く動く、もしくは、ビートを犠牲にしたということだけで終わってしまう。例えば、MIROSLAV VITOUS(JAZZ批評 82.)のようにベース・ソロで感動するほどの歌心が欲しいものだ。
これは録音の問題と思うけど、全体を通してベースの音がクリアでないのが残念だ。

@"CANZONE" 演奏にまとまりがない。バタついた感じ。
A"PANNONICA" フリー・テンポで始まるT.MONKの書いた曲。3/4になったり4/4になったり。
B"SAILOR-MAN" ベースの速弾き。だからどうしたと問いたくなる。

C"THE MASQUERADE IS OVER" 
D"OVER THE RAINBOW" 
E"MARYU" アップ・テンポのMASSAのオリジナル。
F"WALTZ FOR BILL" ベースのソロは弾き過ぎ!全然面白くない。この方が誤魔化しは効くけどね。途中に"WALTZ FOR DEBBY"のフレーズが挿入されてるところをみると、BILL EVANSに捧げた曲なのだろう。

G"DON'T ASK WHY" 
H"CONCERTO N°2・・・・・" 
I"UN PO COME...."
 むしろ、この曲とかDのようなイージー・リスニングの曲の方が合っているかも。

全体を通しての印象はまとまりに欠けてバタついた感じがする。演奏にも格別な個性は感じられない。従って、この手のピアニストは世の中に五万といるので、それなりの特徴を持たないと生き残っていけないのでは?
ピアノ・トリオというのは3人揃ってナンボの世界だと思う。前掲のDON FRIEDMANといいこのアルバムといい、そういう意味ではリズム陣に恵まれなかった。    (2004.03.14)



DINO MASSA

独断的JAZZ批評 184.