"MOKO-MOKO"
TAKASHI MATSUNAGA(p), DAIKI TASUKAGAWA(b), JUNJI HIROSE(ds)
2003年8月スタジオ録音 (SOMETHINGELSE TOCJ-68059)
高校生のジャズ・ピアニストして今や注目の的、松永貴志の第2弾である。
第1作目の"TAKASHI"
(JAZZ批評 136.)は僕らを驚嘆させるに十分な演奏だった。若さに任せてゴリゴリ弾くピアノもさることながら、大人顔負けの懐の深さを感じさせるスロー・バラードはもっと素晴らしかった。
さて、この第2弾である。結論から言おう。少し化けの皮が剥がれたというところか。テクニックはあると思う。しかし、2枚のCDを通して聴いてみると「松永貴志」のパターン化が歴然としてくる。したがって、2枚目には新鮮味が薄い。正直、「またかー」という部分がある。
@"SOUTHERN CROSS" タイトルに似合わぬ大袈裟なテーマ演奏ではある。
A"MOKO-MOKO" これも定型化したピアノのベースラインの上でアドリブを取るという感じ。このパターンが多い。あまり度々だと流石に新鮮味が薄れる。
B"NEW MORNING" 爽やかな印象の曲。
C"THE DO-TON-BORI RIVER"
D"JUNGLE SONG" 変拍子は所詮、変拍子。生理的に違和感が伴うものだ。
E"THE WORLD IN SORROW" 悲しみのバラード。ジャズ風演歌。
F"STORM ZONE" 8ビートでにぎやかに。
G"THE DOORWAY TO DREAMS"
H"BLUES FOR WHALES" オリジナルのブルース。
全体を通じて、第1作目の延長線というよりもその枠内という印象を拭えない。定型化した左手のパターンが多くて、そのスタイルから抜け切れない。第1作目で味わった強烈な新鮮味や驚きも陳腐化するというものだ。
また、周りの大人がけしかけるのか知らないが、変拍子をやる暇があるならスタンダード・ナンバーやブルースをやるべきだろう。
全曲、オリジナルというのもいかがなものか。自作曲で色々な試みをやっていることは分かるが、結果的に定型化が際立った。
むしろ、今からオリジナルの枠に嵌らないで、定番といわれるスタンダード・ナンバーやブルースに幅広く挑戦してみることが必要ではないか。そういう必要性を強く感じる。
結論として、この第2弾はあまり面白くない。また聴いていみたいという気になれない。凄く型に嵌った感じがして、それが残念だ。 (2003.11.15)