JACKY TERRASSONというピアニストには才気を感じる
有り余る才能を遺憾なく発揮したアルバムと評価できるだろう
"SMILE"
JACKY TERRASSON(p), SEAN SMITH(b), ERIC HARLAND(ds),
REMI VIGNOLO(el-b A、C、D)
2002年スタジオ録音(BLUE NOTE 7243 5 42413 2 1)
JACKY TERRASSONというピアニストには才気を感じる。
JAZZ批評 107."JACKY TERRASSON"ではその片鱗は見せるものの豪腕ドラマー・LEON
PARKERに食われてしまったきらいがある。確かに、あのアルバムも素晴らしい才気を感じさせてくれたが、むしろ、PARKERのドラミングの凄さを見せ付けた1枚でもあった。
今回、メンバーを一新し、グループとしてのバランスもまとまりも良くなった。しかし、残念なことはエレキ・ベースを採用したトラックが3曲も入っていることだ。これは、惜しい!全編、アコースティック・ベースで通して欲しかった。
@"PARISIAN THOROUGHFACE" 最初から力強くも小気味の良い演奏で始まる。
A"MO BETTER BLUES" メロディの綺麗な曲。ベースが「ボゴボゴ」
B"SMILE" 垢抜けた美しい曲。音使いのセンスが光る。
C"SOUS LE CIEL DE PARIS" 邦題「パリの空の下」。美しくしっとりと・・・。ベースが「ボゴボゴ」。ピアノ・ソロの方が良かった。
D"ISN'T SHE LOVELY?" STEVIE WONDERの曲。ベースが「ボゴボゴ・ボー」
E"THE DOLPHIN" さて、ここからが本番だ。
F"NARDIS" MILES DAVISの名曲。定型的なドラム・パターンを背景に自由なアドリブを見せる。小気味よさとノリの良いアドリブだ。
G"AUTUMN LEAVES" 聴き応えのあるピアノ・ソロ。才気を感じさせる1曲。こういうソロには痺れるなあ。
H"MY FUNNY VALENTINE" アップ・テンポで演奏。アドリブに入ってからが凄い。若かりし頃のCHICK COREA(JAZZ批評 1."NOW HE SINGS,NOW HE SOBS")を彷彿とさせる演奏。めくるめく珠玉のフレーズと3者のドライブ感が凄い!惜しいのは3分と演奏時間が短いこと。もっと、聴きたい!!!
I"59" TERRASSONのオリジナル。ウ〜ン、いい曲だけど軽めの演奏。
J"LE JARDIN D'HIVER" 美しいバラード。こういうスローの曲にあっても甘さだけに流されない輝きを見せるところが流石。
K"L'EDUCATION SENTIMENTALE" 邦題「感情教育」だそうだ。わけわからん。
L"L'AIR DE RIEN" 気の滅入るような哀しい曲。ピアノ・ソロでエンド。
特にGやHといった聞き古されたスタンダード・ナンバーも新鮮な感覚で料理しており、力強いドライブ感が満喫できる。
一方で、エレキ・ベースを採用した締まらない演奏もある。そのマイナス分を引いたとしても,有り余る才能を遺憾なく発揮したアルバムと評価できるだろう。 (2003.02.08)
.
JACKY TERRASSON