やはり、ブルースにこそ
HAWESの持ち味が発揮されるというものだ
"VOL.2 THE TRIO THIS IS HAMPTON HAWES"
HAMPTON HAWES(p),RED MITCHELL(b), CHUCK THOMPSON(ds)
THIS IS HAMPTON HAWES 1955〜56年 スタジオ録音(VICJ-23593)

遅きに失した感はあるが、ウェスト・コーストの代表格 HAMPTON HAWESの登場である。いわゆる「スタンダード曲集」といっても良いだろう。ほとんどの曲が現代にも語り継がれてきた名曲ばかり。このレコードも昔、ジャス喫茶でよくかかった1枚。古きよき時代を彷彿とさせてくれる1枚でもある。
ベースには同じくウェスト・コーストの白人ベーシスト・RED MITCHELLが参加している。太く包容力のある音色でピアノをバックアップしている。

@"YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC" 今も数多くのミュージシャンが取り上げている名曲。軽快なテンポでさらっと流した感じ。
A"STELLA BY STARLIGHT" ピアノ・ソロで入り、イン・テンポからミディアム・テンポの4ビートに移行する。MITCHELLのバックアップが頼もしい。
B"BLUES FOR JACQUE" HAWESのオリジナル・ブルース。こういう曲にこそHAWESの持ち味が出るというもの。滑らかとは言いがたいゴツゴツしたブルース・フィーリングがこの人らしい。

C"YESTERDAYS" ここでもピアノのフリーで入り、2コーラス目からイン・テンポに移行する。どうもこのパターンがお好きなようで・・。
D"STEEPLECHASE" C.PARKERのアップ・テンポの曲。こういうのはお手の物だ。
E"'ROUND MIDNIGHT" T.MONKの書いた名曲。

F"JUST SQUEEZE ME" D.ELLINGTONの佳曲。一連の歌ものの中では一番「らしさ」の出た演奏となった。
G"AUTUMN IN NEW YORK" ベース・パターンのイントロから2ビートのテーマ〜アドリブへ。珍しくきらびやかなピアノを弾いている。
H"SECTION BLUES" RED MITCHELLとC.THONPSONの両者の手によるブルース。ブルース・フィーリング満載でHAWESの真骨頂が聴ける。

全体としては淡々とした印象が強い。スタンダード・ナンバーが多いということも影響しているだろう。奇を衒うわけでもなし、妙に盛り上がるわけでもない。ましてやリリカルでもない。どちらかというと無骨だ。やはりBやHのブルースにこそHAWESの持ち味が発揮されるというものだ。
(2002.12.22)


HAMPTON HAWES

独断的JAZZ批評 114.