ピアノのワンマン・トリオという印象が強いが
こういうスタイルは古いと思う
ピアノだけで聴かせるのは
余程の技量とセンスがない限り難しいものだ
"SOMETHING TO LIVE FOR"
JOHN HICKS(p), DWAYNE DOLPHIN(b), CECIL BROOKS V(ds)
1997年スタジオ録音(HIGHNOTE HCD 7019)


サブタイトルが"A BILLY STRAYHORN SONGBOOK"という通り、HとKのHICKSのオリジナルを除く全てがB. STRAYHORNのオリジナル、もしくはD. ELLINGTONとの競作となっている。
改めて思うのは、B. STRAYHORNの手による作品がいかに多いかということ。このアルバムの中に収録されているナンバーを見てもE"CHELSEA BRIDGE"、F"LUSH LIFE"、I"PASSION FLOWER"、J"SATIN DOLL"など、今やスタンダードとして定着した感の強いナンバーが目白押し!

@タイトル曲"SOMETHING TO LIVE FOR" ボサノバ調で楽しく。多少、饒舌の感を免れない。最後はフェード・アウト。
A"DAYDREAM" ミディアム・テンポでスウィンギーに。
B"MEDLEY:LOTUS/BLOSSOM" ピアノ・ソロの後、トリオ演奏で締めくくり。
C"BLOOD COUNT" ボサノバ調

D"A FLOWER IS A LOVESOME THING" ピアノ・ソロ。
E"CHELSEA BRIDGE" 名曲のひとつ。
F"LUSH LIFE" この曲もピアノ・ソロ。むしろ淡々と奇を衒わず真面目に弾いているのは好感が持てるが、ソロだけではチト苦しい。

G"UMMG" トリオの演奏。
H"MINOR BLUES" HICKSのオリジナル・ブルース。
I"PASSION FLOWER" しっとりと小粋な演奏。
J"SATIN DOLL" ここでは勢いのある軽妙な演奏を披露。
K"SUMMARY" 最後はピアノ・ソロで締めくくり。

残念ながら、全体を通してベターッとした印象を免れない。ひとつはピアノタッチに歯切れがない。サスティン・ペダルを多用しているのだろうか?

どちらかというとピアノのワンマン・トリオという印象が強い。こういうグループの良し悪しはどうしてもピアノの出来次第とならざるを得ない。しかし、こういうスタイルは古いと思う。ピアノだけで聴かせるのは余程の技量とセンスがない限り難しいものだ。(2002.11.17)



JOHN HICKS

独断的JAZZ批評 109.