PETRUCCIANIの哀愁と美しさを兼ね備えた、
そして、ライヴの楽しさを満喫できる1枚
"参 TRIO IN TOKYO"
MICHEL PETRUCCIANI(p), ANTHONY JACKSON(b), STEVE GADD(ds)
1997年11月ブルーノート東京・ライヴ録音(DREYFUS JAZZ VACR-2039)


2週間ばかり家を留守にしていた。この間、JAZZとは縁遠い生活だった。そんなこんなで新譜も全然買っていないし、仕方無しに戸棚の中から1枚ピックアップ。
久しぶりにJAZZを聴くと、まるで砂漠にしみ込む水の如く身体に吸い込まれていく。

このCDではMICHEL PETRUCCIANI TRIOのブルーノート東京におけるリラックスした、そして、ハッピーな演奏が楽しめる。一方で、ベースはエレキ・ベースだし、ドラムスはフュージョン得意の STEVE GADDだし、軽いと言えば軽い。しかしながらライヴならではのノリノリの演奏が満喫できるはず。

@"TRAINING" 先ずは軽く行ってみようか。
A"SEPTEMBER SECOND" これも軽快な曲。GADDの叩きだす音はアフター・ビートのロック調。ライヴに相応しいノリの良い曲。
B"HOME" ピアノ・ソロで始まる美しい曲。 PETRUCCIANIはなかなかのメロディ・メーカーでもある。4分過ぎあたりから軽快な曲想に変化していき、一気にクライマックスへと駆け上がっていく。こういう演奏を生で聴けたら楽しいだろう。
C"LITTLE PEACE IN C FOR U" アップ・テンポでのインタープレイが楽しい。GADDのブラッシュ・ワークも軽快だ。場の雰囲気も盛り上がって、最後の拍手の場面でその楽しさが伝わってくる。

D"LOVE LETTERS" この曲もPETRUCCIANIの美しいオリジナル・バラード。半ば過ぎからミディアム・テンポの4ビートに変化していく。
E"CANTABILE" 調子の良いメロディと軽快なリズム。スウィングするための曲。こういうノリはエレキ・ベースの効用だろう。
F"COLORS" 唯一、シリアスな演奏。
G"SO WHAT" MILESの曲をアンコールで演奏。テーマはベースではなくてピアノがとっている。

Gを除く全てがPETRUCCIANIのオリジナルで構成されている。どの曲も聞き易いアドリブと軽快なリズムで、観客と一体となったノリノリの演奏が聴ける。その分、ポップス的な軽さを感じるけど、ここは、理屈は抜きにして気楽に楽しんだ方が勝ちだ。

1999年の冬、36歳の若さで急逝した PETRUCCIANIの哀愁と美しさを兼ね備えた、そして、ライヴの楽しさを満喫できる1枚。   (2002.12.07)



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MICHEL PETRUCCIANI

独断的JAZZ批評 110.