このトリオの弱点はドラムスにある
「手数を多くしないと不安に駆られる症候群」に陥っているかのよう
"SWEET MARTA"
LUIGI MARTINALE(p), DREW GRESS(b), PAOLO FRANCISCONE(ds) 
2001年スタジオ録音(BLACKSAINT DDQ 128043-2)

正直に言って、最初に聴いた印象はすこぶる悪かった。最初は車の中で聴いていたのだけど、その時は妙にドラミングの音が耳についてやかましいという印象だった。改めて、家の中で聴きなおしてみるとその印象は多少良くなったが、それでも望むものと大きな隔たりがあった。

このCDはイタリア録音とあり、演奏スタイルからもイタリア人のピアノ・トリオと想像できる。当然だが、ヨーロッパの匂いが強く、メロディは美しく洗練されている。
スウェーデン発のLARS JANSSON TRIO(JAZZ批評 106.)と演奏スタイルが非常に良く似ているというのが第一印象。

全11曲中、MARTINALEのオリジナルが6曲(@ACDFI)。
@"NEWS FROM THE PIER" 3/4拍子のMARTINALEのオリジナル。DREW GRESSのベース・ソロは聴きもの。
A"FULL IN THE SUN" ここではドラムの音が少々耳障りだ。特に釘をさしているサイド・シンバルの多用とスネア・ドラムがドタバタとうるさいのが気になる。
B"I FALL IN LOVE TOO EASILY" 多くのピアノ・トリオが取り上げる名曲。比較的淡々とした演奏に終始する。デリカシーのないドラムスがネックだ。

C"A CREW WITH DREW" メロディが明るく印象的なオリジナル。ベース・ソロも楽しい。
Dタイトル曲 "SWEET MARTA" 3/4のワルツ。
Gお馴染みのスタンダード・ナンバー "LOVE IS A MANY SPLENDID THING" ミディアム・ファーストのアップ・テンポで軽快にスウィングする。このCDの中のハイライト。

H"IL PRIMO PRESIERO D'AMORE" これも3/4。このトリオはワルツがお好きなようで・・・。
J"IT MIGHT AS WELL BE SPRING" あたかも前述のLARS JANSSONの演奏かと耳を疑った。慌てて"HOPE"を確認してみたが、同名曲はなかった。       

このトリオの弱点はズバリ、ドラムスだ。やたらに手数が多く、ドラミングにデリカシーと安定感がない。「手数を多くしないと不安に駆られる症候群」に陥っているかのよう。前掲の
"JACKY TERRASSON"におけるLEON PARKER(ds)を見習って欲しいものだ。
ピアノもベースも結構いけるので、これは惜しい。特にベースのDREW GRESSは良く歌うし、音色も良い。
次の作品は安定感のあるドラムスと交代して録音して欲しいものだ。    (2002.11.14)


LUIGI MARTINALE

独断的JAZZ批評 108.