年とるほどに若々しく、燃えたぎる情熱を感じさせる
FRIEDMAN のピアノを堪能あれ!
"PRISM"
DON FRIEDMAN(p), MARCO RICCI(b), STEFANO BAGNOLI(ds)
1997年スタジオ録音(ABEAT AB JZ 002)

JAZZ批評 55."THE DAYS OF WINE AND ROSES" から2年後の97年のイタリア録音。サイドメンは同じくイタリア人だが、ドラムスが GIAMPIERO PRINA から STEFANO BAGNOLI に替わった。新しいドラマーは若々しくも小気味のよいドラムスを叩くが、曲によって(2、7曲目)スネアドラムの音だけがやけに強調されているのが難点。パタパタと耳障りだ。録音レベルの問題かもしれないが。

ピアノとベースのコンビネーションは前作同様に良い。全9曲の内、メンバーがそれぞれ2曲ずつオリジナル曲を提供し、残りを KEITH JARRETT のタイトル曲"PRISM" 、MONK の "ASK ME NOW" と美しくも軽快な曲 "I REMEMBER YOU" といった構成になっている。

特筆すべきは各人が提供したオリジナル曲の素晴らしさだろう。前述の KEITH とMONK の曲が霞んでしまうほどの佳曲だ。彼らのオリジナル曲に絞って聴くのも面白いかもしれない。
僕はドラムスの BAGNOLI の手による "I VECCHITTI DEI NOSTRI CUORI"(イタリア語?)と FRIEDMMAN の"FROM A TO Z" が好きだ。前者の曲は心に残る美しいバラードで、ブラッシュを使っているのでパタパタ音は気にならない。後者は FRIEDMAN の作曲家としての力量を認識するに十分な1曲。
最後はブルースで締めくくり。伸び伸びとブルースでスウィングする FRIEDMAN というのも珍しい。

全編通してピアノとベースとの絶妙なコンビネーションが印象的なアルバムと言える。そして、新しいドラマーに触発された FRIEDMAN (当時、62歳)が若々しく、燃えたぎる情熱をストレートに表しているところが新鮮だ。    (2002.07.06)



DON FRIEDMAN

独断的JAZZ批評 80.