独断的JAZZ批評 959.

MAKOTO OZONE & GARY BURTON
これは紛れもなく「良いジャズである。でも、「楽しいジャズか、否か」と問われれば、「楽しくない」
"TIME THREAD"
小曽根真(p), GARY BURTON(vib)
2013年3月 スタジオ録音 (VERVE : UCCJ-22112)

最近、日本女子のピアニストのレビューが続いたので、誰か男子はいないかなあと探したのだけど、なかなか気の利いた新譜が見当たらない。そんなときに探し当てたのが本アルバム。
小曽根真が恩師・GARY BURTONの出会いから30年間の歩みを小曽根のオリジナルで綴ったのが本アルバム。


@"FAT CAT" 
BURTONが持っていたヨットの名前だそうだ。息もピッタリ。
A"STOMPIN' AT B. P.C." 
スタンダードの"STOMPIN' AT THE SAVOY"ではないので・・・。相変わらずの超絶技巧で。
B"LEE'S PARTY" 
C"SOL AZTECA" 
BURTONからグループへのお誘いを受けたメキシカン・レストランの名前だそうだ。ヴァイブがアドリブを執り、ピアノがブロック・コードでバンキングする、もしくは、その逆。そういうスタイルが貫かれる。
D"ITALPARK" 
E"HEARTS IN LANGENHAGEN" 
F"POPCORN EXPLOSION" 
BURTONがドジを踏んでポップコーンをキッチン中に撒き散らした時の思い出だそうだ。
G"TIME THREAD(FOR BILL EVANS)" SUITE "ONE LONG DAY IN FRANCE" 
BILL EVANSへのトリビュート・トラック。
HPART T"LYON IN THE MORNING 〜 I HEAR A TROUBLE!" 
フランス・ツアーの思い出。
IPART U"CORDON BLUE" 
JPART V"DEUX PETITES VOITURES FRANCAISES 〜 THE CONCERT" 
K"I HEAR A RHAPSODY" 
唯一、スタンダード・ナンバーから。

正直なところ、小曽根とBURTONなら、何かしらの感動を与えてくれるかと思ったが、これが期待外れ。僕自身の体調というのも一因にはなってるかもしれないのだが、全然面白くないのだ。
30年間のBURTONとの思い出は当事者にとっては笑いもあり、涙もあっただろうけど、音楽を聴く第3者には分かりにくい。
かつて、DUKE ELLINGTONは「ジャズには良いジャズか、悪いジャズしかない」言ったが、これは紛れもなく「良いジャズである。でも、「楽しいジャズか、否か」と問われれば、「楽しくない」と答えざるを得ない。
テクニックはあるし、躍動感もある。緊密感もある。でも、次第に押しつけられているような感じ、あるいは、聴衆は蚊帳の外にいるような感覚にもなってくるのが欠点だ。   (2015.09.02)

参考サイト:https://www.youtube.com/watch?v=bPzbBPBp5k8




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