独断的JAZZ批評 931.

JOEY CALDERAZZO
ベスト・アルバムの名に恥じない出来
"JOEY CALDERAZZO"
JOEY CALDERAZZO(p), JOHN PATITUCCI(b), JEFF "TAIN" WATTS(ds)
1999年1月 スタジオ録音 (COLUMBIA : CK 69886)

前掲に続いてJOEY CALDERAZZOの中古盤から。このアルバム、巷ではCALDERAZZOのベスト・アルバムと言われており、長らく入手困難であった。たまたま、中古サイトで見つけることが出来て、リーズナブルな価格で入手することが出来た。
録音は1999年、メンバーはJOHN PATITUCCIとJEFF "TAIN" WATTSという凄腕メンバーがサポートしている。全8曲中、CALDERAZZOのオリジナルが6曲という構成になっている。

@"THE ORACLE" ピアノ、ベース、ドラムスの3人がそれぞれの個をぶつけ合うという感じ。ベースもドラムスも単なる引き立て役ではなくて、自己主張するべき時はきちんと主張するというスタイルだ。
A"TOONAY" 
ピアノのバックでWATTSのドラムスがドタバタとうるさく感じる部分もあるが、ヘビー級のインタープレイというとこで目を瞑っておこう。
B"HAIKU" 
前掲のアルバム・タイトルにもなったオリジナル。リリカルな曲想だが、甘さに流されない演奏だ。
C"DETONATION" 
いきなり、超高速の4ビートでスタート。どんなに高速でもPATITUCCIのベース・ワークに乱れはない。3者が互いに煽り、高揚感を高めて進む。最後にWATTSの壮絶なドラムソロが延々と2分以上続いて終わる。
D"TIME REMEMBERED" 
BILL EVANSの曲から。今度はブラシに持ち替えて軽快に進む。盤石なサポートを得てCALDERAZZOもさぞ、楽しかろう!イキイキとしたプレイがいいね。続く、PATITUCCIのベース・ワークも聴きものだ。
E"CATANIA" 
一転、哀愁を帯びたバラード。ベースとドラムスのバランスも良くて徐々に高揚感を増していく。
F"SLINGS AND ARROWS" 
MICKAEL BRECKERの曲。モーダルな演奏で高速で駆け抜け、そのままフェード・アウトしてしまう。
G"THE CHARMER" 
太いベースの定型パターンと心地よいシンバル・レガートに乗って、グルーヴ感たっぷりにピアノが歌う。
 
この録音の時、CALDERAZZOは未だ35歳だった。演奏に若さと勢いがある。PATITUCCIとWATTSの凄腕サポートも申し分ないし、ベスト・アルバムの名に恥じない出来だということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
ところで、こうした入手困難アルバムが中古でゲットできるのはとても有難いことだ。CDの場合はあまり音質劣化の影響は受けないので、中古盤でも十分聴くに耐えられる。そこを見越したのか、最近、amazonではこうした入手困難の人気アルバムの買取も始めたようだ。ちょっと、驚いた。   (2015.04.12)

試聴サイト:https://www.youtube.com/watch?v=RWn8WF2wYRA



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