独断的JAZZ批評 920.

GLAUCO VENIER / YURI GOLOUBEV
ベースにばかり神経が集中してしまい、ピアノのVINIERの印象が極めて薄い
"HOMMAGE A DUKE"
GLAUCO VENIER(p), YURI GOLOUBEV(b), ASAF SIRKIS(ds on D,F,I,J)
2006年1, 4月 スタジオ録音 (CALIGOLA RECORDS : CALIGOLA 2083)

このGLAUCO VENIERはジャズ友の紹介で、YouTubeにアップされていたピアノ・ソロを聴いていいなあと思った。探してみたら本アルバムが入手可能だったのでポチッと押してみた。
二人の名前の連名だったのでデュオ・アルバムかと思っていたのだが、11曲中4曲でドラムスが参加したトリオだった。VENIERはイタリア人、GOLOUBEVはロシア人で、ドラムスのSIRKISはイスラエル人だ。
D. ELLINGTONへのオマージュ・アルバムであるが、同じく「共同作業者」として、あるいは"TAKE THE A TRAIN"の作曲者として活躍したBILLY STRAYHORNの曲も2曲挿入されている。

@"CARAVAN" この曲はELLINGTON楽団のトロンボーン奏者、JUAN TIZOLが書いた曲だが、楽団の代表曲とも言われている。緊迫感のあるイントロでスタート。デュオとは言え、GOLOUBEVのベースは明らかに弾き過ぎ。弦高を低くして弦を弾(はじ)いているというよりは擦っている感じ。この音色は駄目だね。
A"AZURE" 
ベースの音色に締まりがないのは先に同じ。出しゃばるベースに対して控え目なピアノという構図だ。
B"IT DON'T MEAN A THING" 
擦れたベースの音で始まる。
C"AFRICAN FLOWER" 
幻想的なバラード。
D"COTTON TAIL" 
ドラムスが参加。別にギターのように弾けるベースを聴きたいわけじゃあないのだけど・・・。パス。
E"BLACK AND TAN FANTASY" 
ありゃりゃ、ジャズ版ド演歌?
F"I GOT IT BAD" 
カラッと爽やかなテーマ。お邪魔虫のベースはさておいて、生き生きとしたVENIERのピアノがいいねと思っている矢先に擦れたベース・ソロ!
G"LUSH LIFE" 
STRAYHORNの書いた佳曲。流石にアルコは上手い!アルコだと弾き過ぎになることは少ないので、これなら聴けるね。
H"THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE" 
一昔前ならブルースの定番と言われた曲だ。邦題「昔は良かった」 
I"PRELUDE TO A KISS" 
既にスタンダード化している佳曲。いい曲だなあ!
J"A FLOWER IS A LOVESOME THING"
 STRAYHORN作の2曲目。最後を締める仰々しい演奏?

概して、ヨーロッパのベーシストにはこの手のタイプが多い。クラッシクによって培ったテクニックを売り物にして矢鱈弾きたがるのだ。しかも、ギターのように弾かないと気が済まないらしい。必然的にブリッジを低くして弾(ひ)くことになるので、弾(はじ)くというよりは擦るという音色になってしまう。僕はこれが嫌いだ。最近、ヨーロッパのジャズに食傷気味なのはこの部分によるところが多い。
ベースにばかり神経が集中してしまい、ピアノのVINIERの印象が極めて薄い。YouTubeで聴いたソロ・ピアノの方が良かった。   (2015.02.12)

試聴サイト:http://www.amazon.com/Hommage-Duke-Glauco-Venier-Goloubev/dp/B00607PMW8



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