独断的JAZZ批評 897.

NICOLAS RAGEAU
シャンソン風ジャズ、あるいは、ジャズ的シャンソンとでも言ったほうが良いかもしれない
"LA COMPLAINTE DE LA TOUR EIFFEL"
ALAIN JEAN-MARIE(p), NICOLAS RAGEAU(b), PHILIPPE SOIRAT(ds), CLOTILDE RULLAND(vo: A,F)
2012年12月&2013年1月 スタジオ録音 (JAZZ 101 PARIS)


別に、ジャケット買いというわけではないのだが、やけに、この明るいイラストが気になったのは事実。一体、どんなジャズが奏でられているのだろうかと思った。何しろ、エッフェル塔によじ登って歌を歌っている女性が描いてあるし・・・。この女性はボーカルで2曲に参加しているCLOTILDE RULLANDだろう。
ドラムスにはどこかで見た名前が!そう、フランスで活躍している村山浩のトリオ(JAZZ批評 622. & 767.)に安カ川大樹と共に参加していたPHILIPPE SOIRATだ。
ベテランピアニストのALAIN JEAN-MARIEが参加した、ベーシスト・NICOLAS RAGEAU名義の自主制作盤。今後の入荷の見込みがないという言葉に踊らされて買ってしまった。

@"J'AI PAS D'REGRETS" テーマをベースが執っている。哀愁の中に流れるどこか明るさを感じさせる演奏だ。
A"LES MAINS D'ELSA" 「エルザの手」 ヴォーカル入りのシャンソンってとこかな?
B"INSENSIBLEMENT" ベースが4ビートをズンズン刻んで進む。明るいタッチで一点の曇りもない。
C"LA COMPLAINTE DE LA TOUR EIFFEL" 「エッフェル塔の哀歌」というらしい。そう言えば、どこかで聞いたことがあるようなワルツ・・・。
D"LA MARCHE NUPTIALE" 
「結婚行進曲」 失礼だが、素人が弾いているようなベース・ソロで始まる。無骨と言えば無骨。
E"JE VOUS AIME"
 これもどこかで聞いたことがあるようなワルツ。
F"QUAND TU DORS" これもシャンソンでヴォーカル付。
G"JE BOIS" 「私はお酒」だそうだ。明るい音楽だ。
H"AVEC LE TEMPS" 
「時の流れに」 これもシャンソンらしい。珍しくドラム・ソロが用意されている。
I"PREMIER RENDEZ VOUS"
 「プレミアランデブー」 フランスのコメディ映画に挿入された曲らしい。

全編に流れるのはジャケットのような明るいシャンソン・タッチだ。このけばけばしいジャケットが採用された理由が分かるような・・・。
これが俺たちのスタイルなんだという、ある意味、かたくなな自己主張を感じさせる。まさに、この音楽をやるためにこのアルバムを作ったと言っていいだろう。その分、ファンキーであったり、グルーヴィだったりするジャズ本来の泥臭さがない。
シャンソン風ジャズ、あるいは、ジャズ的シャンソンとでも言ったほうが良いかもしれない。   (2014.09.17)

試聴サイト : http://nicolasrageau.bandcamp.com/



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