高知オフシアターベスト10上映会を振り返って
地域欄('04. 5.15.)
[発行:朝日新聞社]


 高知には今年で50回目となる「県民が選ぶ映画ベストテン」という一大イベントがある。だが、これは劇場公開作を対象にしたもので、残念ながらオフシアター(劇場外)上映による作品は対象外だ。しかし、昨年刊行された文化庁の「映画上映活動の現状調査」報告書にて明らかにされているように、高知は全国的に見ても際立ってオフシアター上映の盛んな地で、年によっては作品数で劇場公開作を上回る上映がされてきているのだが、案外そのことは知られていない。
 そんななか、98年から一部有志にて行っていたオフシアターベスト10の選定に、朝日新聞が目を留めてくれた。高知ならではの映画状況を背景にした地域特性に富んだ行事として、02年から主催を担い、広く選考委員を公募する形で実施してくれることになったのだ。そして、二年目の今回、邦洋それぞれの第1位選出作品の再上映を果たしてくれた。そこには三つの大きな意義がある。
 第一には、改めて一年間の最優秀作の鑑賞機会を提供することの意義だ。ほとんどの作品が1日上映しか果たせないでいるオフシアターの現況にあって、上映したこと自体が、あまり知られずに終わっている。さればこそ、この再上映会で初めて既に上映されていたことを知ったという人も多く、強い感銘を受けたようすがアンケートから窺えた。第二に、上映活動に携わっている人たちを顕彰する面での意義だ。再上映を行うことでより多くの観客に見せるのは、優秀映画の上映による表彰状の授与などよりも遥かに大きな面目を彼らに与えることになる。第三として、個々の上映会の実施とは異なった形で「オフシアター上映」という活動自体に光を当てられるという意義もある。
 今回は初の再上映会で、広報が不充分だったのが一番の反省点だが、これらの意義を踏まえ、朝日新聞には“地域に根ざした文化支援事業”として今後も続けてもらいたいものだ。
by 高知オフシアター・ベスト10選考会事務局長 ヤマ

'04. 5.15. 朝日新聞地域欄



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